男の子は「メカ」が好き
一般に「中二病」と片づけられてしまいいそうだが、男子というものは、メカが好きらしい。
確かに、僕もその一人かも知れない。
以前、自転車についての記事を書いたが、きっかけはやはり中学生時代に遡る。通学途中に自転車屋があって、かなり高価そうなスポーツバイクが展示されていたのだ。
理屈抜きである……カッコイー!
ウインドーの前で、うっとりと鑑賞していたものだ。あのメカニカルなギャーを操ると、どんな音がするのだろう? 考えただけでゾクゾクしたものである。
実際に直後、自転車(スポーツバイクではない)を買ってもらったのだが……希望に反して内装の三段ギャーだったのが不満で、五十円玉をせっせと溜めて、外装のギャーに変更してもらったものだ。やはり、リアディレイラーなんぞのメカが堪らないのだ。
高校時代、サックスに興味を持ったのも、あの独特のメカニズムなのだ。トランペットなどとは違う、複雑な金属のかみ合っている様……選択の余地はなかったわけだ。
一般の男子と違って「車」には興味はなかったが、カメラに魅かれたのもやはりメカの美しさだったし、ナイフやモデルガンが好きなのも同じ理由だろう。
特に高級なフォールディングナイフの、刃を引き出した時の「カチッ」という音の快感は例えようもない……
要するに、メカに共通するのは金属の冷たい表情と、擦れたり弾かれたりした時の甲高い音なのだろう。
よく言われることに、男子のこういった嗜好には「闘争本能」との関係が取沙汰される。
確かに、鉄の武器を手にしてから……人類は本格的な闘争の歴史に踏み込んだのだろう。
肉体という、いかほど鍛えたにして、生身のグニャグニャした手触りは、野性の生き物の牙や爪や角と比べて見劣りがする。
金属で武装することで、これに太刀打ちできる力を手に入れたかったのだろう。
とはいえ、僕としては単なる「闘争本能」的な安直な解決には満足出来ないのだ。
そう、金属的なメカの魅力はたぶん、その腐ることのない「永続性」という一面もあるはずなのだ。たぶん「芸術」のようなものかも知れない。絵画しかり。詩や文学しかり。
ナイフの発する「カチリ」という音は、とりもなおさず、そのツールが……すなわち、これに象徴される「芸術」が、今も、そして百年後も、不滅であることの確認なのかも知れない。
この観点から考えると、女子があまりメカに興味を示さない理由も理解できそうである。
女子は、肉体の外部から探し当てた金属やメカに「永続性」を夢見ずとも……子宮の奇跡を以て、自らの内に「永続」を作りだせるのだ。
いかに頑丈なメカでも、いつかは壊れるかも知れない。多くの芸術が焼失等によって失われたことを考えるならば……男子の「夢」はどこか悲しげであり、硬質である分、脆さも秘めているのだろう。
反面、子供を生むこと……グニャグニャとした肉の再生産こそ、本当の「永続性」であると……未だに「闘争本能」などという遺物を「男らしさ」と勘違いしている男子に教え続けているように感じられるのだ。
いや、最近の女性達は、より進化を遂げているようにも思える。
そう。「子供を産まない自由」……この思想は、決して人類の滅亡を願っての表明ではないはずだ。男性中心の伝統的な、物理的な子宮ではく……地球そのものを巨大な子宮と見立てての、むしろ人間賛歌の哲学ではないのだろうか?
もとより「中二病」の誹りを受けようとも、趣味のナイフを手放すつもりはないが、人間に一番相応しいナイフは、[闘争本能」とは無縁の、包丁なのかも知れない。
女子と男子が協力して包丁を使い合う先は、絶対に幼稚な「闘争本能」の場である戦場ではなく……人類に一番似合う、「食卓」ではないかと僕は考える。
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