重厚な響きとクリアな知性が交差する、アシュケナージの交響的練習曲

交響的練習曲 作品13(遺作の変奏を含む)
作曲:
ロベルト・シューマン(1834年作曲、1852年改訂)
演奏: ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)
構成: 主題と12の変奏曲(遺作の5つの変奏を含む)
特徴: シューマンのピアノ曲における最高峰の一つ。重厚なオーケストラ的響きと変幻自在な技巧が要求される傑作。アシュケナージの冴えわたる構築美と圧倒的なクリアさが光る名演。

シューマンの『交響的練習曲』(作品13)をウラディーミル・アシュケナージのピアノで聴くとき、そこにあるのは無駄な感傷に溺れない、強靭な意志と知性に裏打ちされた音楽の構築である。

重厚なテーマに導かれて始まる変奏の数々は、アシュケナージの濁りのないクリアなタッチによって、まるで精緻な建築物のように鮮やかに組み上げられていく。

オーケストラを思わせる壮大な響きと、細部まで磨き上げられた繊細な音の粒が完璧に調和し、楽曲が本来持つ劇的なコントラストをスマートに浮かび上がらせていく。

無駄な装飾をそぎ落としたその研ぎ澄まされた構築美は、聴く者の神経を心地よく整え、洗練された深い静けさへと導いてくれる。

数ある名演の中でも、私はこの曲はアシュケナージの演奏が一番好きだ。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集