見出し画像

『急に具合が悪くなる』なんなんやこの涙は

「急に具合が悪くなる」の映画を観てきた

原作は 何年か前に購入し 難しい部分を何度も繰り返しては読み なんとか読破していた

わたしには 時間がかかった読書だった

それにしても あの往復書簡を どうやって映画にするのか 皆目見当がつかない

しかも 3時間15分の長編映画だという


観てみたいけど おそらく言葉の応酬が繰り広げられるであろう 3時間15分を 耐えられるやろうか

なかなか ふんぎりがつかずに 上映スケジュールだけは ちょくちょくチェックしていた


あら
なんの加減か 今日と明日だけ なんだかわたしにぴったりの時間帯に 上映されるらしい


もう これは ご縁やなと 思い切って出かけてきた
万一 集中力が続かなければ 途中で退席すればいいと そんなことまで考えていた


結果 ひきこまれっぱなしの3時間15分

あっという間というのとは違って ずっと脳みそ使いっぱなしって感じだった


驚いたのは 途中で何度も何度も 涙が流れ落ちてきたこと

しかも なんてことのないシーンで はらはらはらと 涙がこぼれてくるのだ


えっ?
ここで?

主役の二人が歩いているだけのシーンだったり ちらっと出てくる人の横顔だったり 大きく映し出される足だったり

そういうもので ものすごい勢いで涙が落ちてくるのだ


泣くんやったら ほかに もっと それっぽい場面はたくさんあるのに そういうところは 落ち着いて観ていられた

なんなんやろう この涙は


目に見えるものしか見えない鈍感なわたしやのに なにが こんなにも 涙を落とさせたんやろう


映画の観客は ほとんどの人が おひとり様やった

わたしも そう

一組だけ 60代後半のご夫婦らしき二人組がいた

この映画を観て この後 どんな会話をするんやろう

めちゃくちゃ聞いてみたい


ショッピングモールの中にある映画館は エスカレーターを降りていくと すぐに スターバックスがある

エスカレーターを降りる動線上に 上手に設置されている

こんな 長時間の映画の後なら お茶でもしたくなるんやないやろうか

もし そのご夫婦がスタバに入っていかれたら そっと 隣の席に座って 会話を盗み聞きしたいという 衝動に強く襲われる


ドキドキしながら ご夫婦の後ろから エスカレーターで降りていく


スタバが見えてきたところで ご夫婦はさっと向きを変えて 出口へと向かわれた


残念なような
盗み聞きなんてせずに済んで ほっとしたような


いやあ でも ほんとは 聞いてみたかったなあ


わたしも ご夫婦をならって すぐに帰路についた

帰宅してすぐに 原作を読み直す

あらためて 浜口監督や 役者さんたちの 読み込みの深さに圧倒される

映画化するって ストーリーを実写化するだけじゃないんやな

原作の この作品で言うところの 魂を 映像化するってことなんやな


そのことを あらためて 強く強く感じた

そして またもや 思いっきり涙を流す羽目になってしまった


宮野にしか紡げない言葉を記し、それが世界に届いたかを見届けるまで、絶対に死ぬんじゃねーぞ!

「急に具合が悪くなる」晶文社  宮野真生子 磯野真穂

なめんなよ、磯野真穂

「急に具合が悪くなる」晶文社  宮野真生子 磯野真穂



自分のことを大切に思ってくれる人がいる
自分のことをわかろうとしてくれる人がいる


それがあれば 人って頑張れそうな気がする

大人も子どもも

いいなと思ったら応援しよう!