ハノジ
丸っこくてふわふわした生き物が二つリビングにいる。当たり前の光景になってきたが、よくよく考えると不思議なシチュエーションだ。人間の生活空間に彼女たちはそれとなくいる。
猫。我が家には二匹の猫がいる。この家が彼女たちの世界のすべてだ。宇宙のことも世界のことも人間の生活もわかってない。でもなんだかすべてを知っているかのようにそこにいる。不思議な生き物だ。
ハノジは一年くらい前にやってきた。
娘がスマホで見つけ、妻と二人でカワイイ、カワイイと言っていた。画像を見せてもらったがカワイイというより可哀そうな見た目をしていた。エキゾチックなので鼻が短く目も鼻の周りのしわもなんだかすべてが垂れ下がっていた。全部がハの字だった。
わが家では名前を付けるときは必ず姓名判断をする。僕が占えるわけではない。そういうサイトで運勢をみてみるのだ。なにげなしに「ハノジ」と打ち込んでみた。すると「大吉」と出た。
僕はその画面をスクショして家族に送った。
それを見て、これはもう僕も飼うことに前向きだと妻も娘も思ったらしい。ただ僕は自分が考えた名前が大吉だったことがうれしかっただけなのだが。
ハノジが家に来て、先住猫はそれまで聞いたことがない声で「シャー!」と言って威嚇した。
少しずつならそうとケージを分けて、なるべく顔を合わせないようにした。いつからか二人は顔見知りになり、ケンカもしなくなった。
今やのびのびとリビングに二人で横たわっている。寝たいときに寝て、自由に行動を共にしている。でも人間からするとこれは本当の自由なのか?などと考えたりもする。窓から外の景色を眺める姿に少しだけ哀愁を感じる。本当の世界はもっとずっと広いのに、などと勝手に思ってしまう。
僕たちの生活もさらに俯瞰してみれば、例えば宇宙人からしたら、どうなんだろう?と思われているのかもしれない。
あくびをする猫たちは、はたして何を思っているのだろう。
