ネットフリックスは叩けば響く
昨年12月に突然、Netflixからメールが来て「合同インタビューに来てくれ」と言われた。なんじゃこれは、と思ったが、今回のWBCは取材のガードが固く、現場に密着せずにいろんなジャンルを渉猟している私は「お呼びでない」という感じであきらめていたのだが?
全く違う雰囲気で
赤坂のネトフリのオフィスに行くと、一般紙、スポーツ紙の記者のほかに、フリーのジャーナリスト、ライターもいる。私がずっと読んでいたライターもいた。ネットではやり取りをしていたが、初めて対面した。
日本の普通の記者会見とは全く違う雰囲気で、ネトフリの方から名刺交換してくるし、いろいろ話ができた。
「これは面白いかな」と思ったので、メディアと相談して「あれもやりたい」「これもやりたい」と提案をしたのだが、途端にレスポンスが悪くなって「なしのつぶて」になった。
「なんじゃこれは?」と思ったが、私はずっと日本の地上波民放の野球中継にはいら立ちと、残念な気持ちがあったので、その思いのたけをメールで送ったりした。

強烈な自負
あとでじわじわわかってきたのは、ネットフリックスの「自負」だった。
ネットフリックスは、アメリカ人の視聴習慣を一変させたメディアだ。
特にモータースポーツのF1、私はバブル期にF1をよく見ていた。主催者のFIAは、何とかアメリカでF1市場を開拓すべく、アメリカで人気の「インディ500」をF1シリーズに組み込んだりしたが、レースの「思想」が全く違うので、アメリカではF1は全くの不人気だった。
しかしネットフリックスは2019年「Formula 1: 栄光のグランプリ」というドキュメント作品を出してアメリカの視聴者を夢中にさせた。それ以降、アメリカではF1の認知が進み、ファンが増えている。
「全裸監督」「浅草キッド」「サンクチュアリ -聖域-」「極悪女王」
日本ではドラマで多くの視聴者を引き付けてきたが、ネットフリックスは「俺たちが日本のスポーツシーンを(も)変えてやる」という強烈な自負があったわけだ。

冬季五輪にかすんでいた2月下旬まで
1月の終わりまでネットフリックスは「音なし」だった。
前回は、開幕2カ月を切ったあたりから、民放各局はWBCに誰が選ばれたかを連日放送した。特に大谷翔平の動向はほぼ毎日のように報じられていたが、今回はおとなしかった。2月に入って冬季五輪が始まり「りくりゅう」コンビなど異様な盛り上がりになったこともあり、WBCが一時的にかすんでしまった。
その時期に
1月30日 Netflix 2026 ワールドベースボールクラシックアンバサダーに渡辺謙、スペシャルサポーターに二宮和也が就任!
2月3日 稲葉浩志 不朽の名曲『タッチ』をスペシャルカバー!Netflix大会応援ソングに決定!
と二つの発表があった。地上波民放と変わらんじゃないか、という感じがしたが、ここからネトフリは「本気を出してきた」のだ。
解説者、アナも決まり
2月も半ばになって、ネトフリは二度目の「合同インタビュー」を実施した。この席上で、解説、アナウンサー陣が一挙に発表された。
私は五十嵐亮太を買っているので、さてこそ、と思った。また異様な「野球愛」の田中大貴アナが筆頭で選ばれているのも、さてこそ、ではあった。
気に入ったのは「47試合全部中継する」ということだ。
その会場で私は、日本のネトフリのトップの坂本和隆さんに
「47試合は全部同じクオリティで中継するのか?」と聞いた。隣にいたスタッフが「47試合すべて解説者をつけ、どの試合も同じ情熱で届けるというスタンスだ」と言った。それもなかなかのことだと思った。
私はなおも
「スポーツニュース用に、地上波民放に動画を提供するのか?」と聞いた。
「提供する」とのことだったが、なおも
「そこにアナウンサーの実況は入っているのか?日本のスポーツシーンではアナウンサーの声入りで名場面になることが多いが?」と聞いた。
「検討する」みたいな感じだった。

大谷がチャーター便に乗って
冬季五輪が終わって、大谷がチャーター便に乗って、いよいよWBCが「盛り上がりモード」になった。
そのころからネトフリは、どんどん情報を投げてくるようになった。レスポンスも良くなった。
大会が始まる前から本気のドキュメントをどんどん投下してくる。これがネトフリ流なのだろう。
村上宗隆の移籍までのドキュメント「Mune Let's get to work」のクオリティはなかなかのものだ。
こういう形で加速度的に、畳みかけてくるのがネトフリなのだ。
今日はTBSで「侍ジャパン対中日」の試合をやっている。私はデータモードで見ているが、明日から「試合中継の批評」をしていこうと思う。
