見るとわかる
「家のピアノだとダンパーペダルが踏みやすいのに、レッスンのグランドピアノだと重くてうまく踏めない」
調律先でこんなご相談を受けました。
ピアノの先生には「調律のときにペダルを重くしてもらえるかお願いしてみて」と言われたそうで。
ペダルは決まってる
残念ながらピアノごとにペダルの重さは決まっていて、大きく変更するのは難しいです。
潤滑剤で滑りを良くするとか、ペダルの踏みはじめの「あそび」の量を調整することでほんの少しだけは変えることができます。それでも重さや踏み心地のキャラクターを劇的に変えるほどにはなりません。
最終手段でバネを抜いたり交換するというイレギュラー技も無くはないですが、基本的にはペダルの踏み心地は支点・力点・作用点のバランスによって設計段階で決められています。
アップライトとグランドの違いはペダルにも
ダンパーペダルを踏むと、弦から全てのダンパー(音を止めてる部品)が離れ、音が伸びます。そしてペダルを戻すとダンパーが戻り、弦を押さえます。
この目的は同じですが、実はアップライトピアノとグランドピアノのダンパーペダルは構造がまったく違います。
色々な違いがある中で、意識してもらいたいのは支点・力点・作用点のバランス。
どちらも踏む箇所は同じなのでとうぜん力点は一番手前です。
アップライトピアノのペダルは支点が一番奥にあり、作用点がその手前にあります。(第2種てこ)
対してグランドピアノのペダルは支点が真ん中で、一番奥に作用点(第1種てこ)


アップライトの第2種てこのほうが効率は良く、軽い力で作用点を動かすことができます。その分細かいコントロールは難しい。
グランドピアノはスペース上の制約も少なく、より理想的なコントロールができるペダルの配置になっています。ただアップライトのペダルの感覚で踏むと雑さが目立ってしまう。
見るとわかる
そのあたりを説明しつつ、弾き手である高校生のお子さんにはアップライトの蓋を開けてペダルの動きを見てもらいました。さらに先生のグランドピアノでも、ペダルの後ろを覗き込んで動きを見てもらえればベストです。
ペダルに限らずピアノの動きは複雑で、理解するのは大変ですが、それにしてもピアノはブラックボックス過ぎます。
ペダルを踏むとなんで音が伸びるのか知っているかを尋ねると「知らない」とのことなのでそこも見てもらいました。
「見る」というのはものすごく大事です。よくわからなくても、興味はなくても、ご自身の弾いている楽器が動いているところを一度でも見ておくと、その後の演奏に大きな良い影響があるのではないかと信じています。
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