売春防止法◆男性が売られていたら誰が守るのか?「買う側を罰すれば女性を救える」売春をなくすために買う側を罰する――それでも女性が『オジには捕まってほしい、でも客がいなくなれば生きられない』と語る矛盾。北欧モデル、フランスの地下化、貧困と自己決定から考える、本当に女性を守る法律とは何なのか
「買う側を罰すれば女性を救える」
なぜ「買う側だけ処罰」に賛否が分かれるのか
現在の日本の売春防止法は、単純に「売った人は合法、買った人は違法」という制度ではありません。
むしろ特徴的なのは、売春そのものを禁止しながら、売春した本人と買った本人を同じように直接処罰する構造にはなっていないことです。
そこで議論になっているのが、
「需要側を処罰すれば、供給側である女性を救えるのではないか?」
という発想です。
これは経済学的には非常に分かりやすい。
買う人が減る
↓
市場の需要が減る
↓
売春市場が縮小する
↓
搾取する側の利益が減る
↓
人身売買なども減る
というロジックです。
ところが、人間社会はコンビニの商品市場ほど単純ではありません。
「需要を消せば市場が消える」は、本当に正しいのか?
ここが最大のポイントです。
例えば、
「買う側を取り締まる」
↓
普通の場所では買えなくなる
↓
それでも需要が残る
↓
より見つかりにくい場所へ移動する
↓
仲介者・反社会的勢力・オンライン化などに依存する
↓
結果として、働く側の安全が悪化する
という逆回転が起こる可能性があります。
つまり、
市場を消す政策が、市場を地下化させる政策になってしまう可能性
がある。
これは売春に限った話ではありません。
麻薬、違法賭博、違法労働、偽ブランドなど、歴史上何度も登場してきた問題です。
さらに厄介なのが「本人の意思」という問題
ここも一括りにすると間違えます。
例えば同じ路上売春でも、
A
借金や脅迫によって強制されている。
B
貧困によって実質的な選択肢がない。
C
他の仕事より短時間で収入が得られるため選択している。
D
ホストや交際相手、家族などへの依存・借金が絡んでいる。
E
本人は自由意思だと思っているが、実際には極端に弱い立場に置かれている。
これらは全部違います。
ところが法律は、現実の人間関係を「売る側」「買う側」という二つの箱に入れたくなる。
ここに無理があります。
「オジが捕まってほしい。でもオジがいなくなったら稼げない」
今回の取材で紹介された女性の発言は、ものすごく重要です。
一見すると矛盾しています。
買う側には捕まってほしい。
でも買う側がいなくなったら自分は生活できない。
しかし、これは矛盾ではありません。
むしろ、
「自分を苦しめている市場から抜け出したい。しかし、その市場から得ている収入がなくなれば生きていけない」
という構造的なジレンマです。
だから、「買う側を逮捕します」だけでは政策になりません。
本当に必要なのは、
「では、あなたが明日から売らなくても生活できる仕組みを用意します」
までセットにすることです。
北欧モデルを「買春禁止法」とだけ理解すると危険
北欧モデル型の政策思想には、
需要を減らすこと だけではなく、
売る側を処罰対象から外し、支援対象として扱う
という考え方があります。
ここは非常に重要です。
つまり、
「売っている女性を逮捕する」
から
「なぜ売らざるを得ないのかを調べ、そこから離脱できるようにする」
への転換です。
これは単なる刑罰政策ではなく、
福祉政策+貧困政策+人身取引対策+ジェンダー政策+治安政策
の複合問題なんですね。
そして「フランスでどうなったか」が重要
フランスの事例も、「北欧モデルは成功した/失敗した」
と一言で結論づけるのではなく、
何を指標に成功と判断するのか を考えなければいけません。
例えば、
指標成功なのか?路上売春が減った○?売春全体が減った○人身売買が減った◎女性への暴力が減った◎地下化した×性感染症リスクが増えた×働く女性の収入が減った×支援制度へのアクセスが増えた◎
つまり、「街から見えなくなった」=「問題が解決した」
ではありません。
ここを間違えると、行政にとっては「数字が改善した」、当事者にとっては「さらに見えない場所へ追いやられた」という悲劇が起こります。
本当に議論すべきなのは「買う側を罰するか」だけではない
私は論点を5段階に分けたほうがいいと思います。
① 買う側
違法化・罰則強化によって需要を減らす。
② 売る側
原則として処罰よりも支援へ。
③ 仲介者
ここは相当に厳しく取り締まる。
特に、
強制
脅迫
借金による拘束
人身取引
未成年者の利用
暴力
組織的斡旋
などは別格です。
④ 「辞めたいけれど辞められない人」
ここに社会保障を投入する。
住居、仕事、教育、相談、借金問題、依存関係からの離脱など。
⑤ 貧困そのもの
実はここが根っこです。
「女性を守る」という言葉にも注意したい
ここにも少し毒を入れて考えてみます。
「女性を守る」。非常に美しい言葉です。
しかし、守るとは誰が何から守るのか? を考えないといけません。
買春客から守るのか。暴力から守るのか。
貧困から守るのか。人身売買組織から守るのか。
家庭から守るのか。ホストなどへの依存から守るのか。
それとも、
「その仕事を選ぶ女性自身の意思」から社会が守ろうとしているのか。
最後の問題は非常に難しい。
社会が「あなたのためだから」と本人の選択を奪い始めると、今度は別の問題が発生します。
経済学的に見ると、もっと面白い
売春を一つの市場として考えてみます。
需要 × 供給 × リスク × 価格
です。
買う側への罰則を強化すると、通常は買春の期待コストが上がります。
すると需要が減る。
しかし同時に、
リスクが上昇した分だけ、売る側が高い価格を要求する
可能性もあります。
さらに仲介業者が入れば、「摘発リスク料」
のようなものが価格に転嫁される。
つまり、
規制したら市場が消える
とは限らない。
市場構造そのものが変化する可能性がある。
これが政策の難しさです。
だから私は「刑罰か無罪か」の二択にしないほうがいいと思う
本当にやるなら、「買う側への罰則強化」だけではなく、
① 買春客への罰則
+
② 売る側への非処罰・相談支援
+
③ 強制・搾取・人身売買への重罰
+
④ 離脱者への住居・就労支援
+
⑤ 地下化を監視する仕組み
+
⑥ 施行後の効果測定
まで一つの商品、いや一つの政策パッケージとして設計すべきでしょう。
ここに「日本の弱点」がある
日本は法律を作るのは比較的得意です。
しかし、
「法律を作った後、その人はどう生きるの?」
が弱い。
「売春をやめましょう」
↓
「じゃあ明日からどうやって家賃を払うんですか?」
ここに答えられない政策は、理念としては立派でも、現場では機能しません。
ビジネスとして見ると、実は巨大な「支援市場」でもある
これは少し冷たい見方ですが、社会課題には必ず需要があります。
例えば、
女性向け就労支援
夜職からの離脱支援
住居支援
借金整理支援
オンライン相談
職業訓練
資格取得支援
メンタリング
一時避難住宅
子育て支援
など。
行政だけでなく、NPO、企業、金融機関、教育機関を組み合わせる余地があります。
つまり、「売春をなくす」ではなく、
「売春をしなくても生活できる市場を作る」という発想です。
こちらのほうが、私ははるかに重要だと思います。
この問題の核心
結局、
「買う側を罰するか?」
という質問は、少し小さい。
本当の質問は、
「人間が、生きるために自分の身体を市場に差し出さなくても済む社会を、どうやって作るのか?」
だと思います。
そして同時に、
「本人が自分の意思で選択したことまで、国家が『あなたのため』と言って禁止していいのか?」
という反対側の問いも残ります。
この二つを同時に考えないと、議論がただの「善悪合戦」になります。
「買う男が悪い」だけでもない。
「売る女が自由に選んでいる」だけでもない。
「法律で禁止すれば解決する」わけでもない。
その間に、貧困、依存、暴力、自由、自己決定、需要、供給、そして生活があります。
そして私は、この問題では**「市場を消す」より「市場から出ても生きられる道を作る」ほうが先ではないか**と思います。
ただし、AIの裏返しの声を最後に置くなら――
「いや、それでも買う側を放置して何が人権だ。需要がある限り搾取市場は続く。まず需要を断つ。それから支援を考えるべきだ」
……さて、どちらが正しいのでしょう。
たぶん、社会政策で一番難しいのは、**「正解を選ぶこと」ではなく、「正解を選んだことで発生する新しい不幸まで引き受けること」**なのだと思います。
++++++++++++++++++++++
「女性を守る」という目的自体は否定する必要はありません。問題は、性売買をめぐる被害を「女性被害」の問題だけにしてしまうと、制度が現実を取りこぼすことです。
守るべきなのは「女性」という属性ではなく、「搾取される人」
例えば、
👩 女性が搾取される
👨 男性が搾取される
🧒 児童が性的搾取を受ける
♿ 障害のある人が弱い立場につけ込まれる
🧑🦽 判断能力や生活基盤が弱い人が利用される
🌐 外国人など、言語・在留資格・経済的事情から逃げにくい人が搾取される
――これらを**「女性問題」という一つの箱に入れてしまうと、むしろ不公平**です。
本来の原則はこうではないでしょうか。
「誰を守るか」ではなく、「誰が搾取されているか」。
これなら男性も、女性も、子どもも、障害者も対象になります。
特に「児童」は別格
ここは成人の売春と分けて考える必要があります。
児童の性的搾取は、本人の「自由な選択」という議論だけでは処理できません。
成人には自己決定権という非常に重要な問題があります。
しかし児童の場合、
「本人が同意したから問題ない」
とはできない。
だからこそ、児童への性的搾取・性的虐待は、需要側を含めて強く取り締まる必要性が極めて高い領域です。
そして「男性被害」が見えにくい
ここも社会の妙なところです。
男性が性的搾取を受けると、
「男なんだから自分で何とかしろ」
という空気が残ってしまう。
さらに、
恥ずかしくて相談できない
「男が被害者」という認識を持てない
周囲から信じてもらえない
性的被害を受けても弱音を吐きにくい
という問題があります。
つまり、
「女性を守る制度」を作ることと、「男性被害を無視すること」は本来セットではありません。
女性への支援を強化しながら、男性への支援も強化できます。
障害者については、さらに深刻な論点がある
障害があること自体を「弱者」と一括りにするのも危険ですが、
介助者・家族・施設職員・交際相手など、本人が依存せざるを得ない関係性
の中で性的搾取が起こる場合があります。
ここでは単純な、「売った人」vs「買った人」
という市場モデルだけでは説明できません。
むしろ、
権力差
を見る必要があります。
だから「買う側を罰する」という法律だけでは足りない
私は政策をこう整理したほうがいいと思います。
対象必要な政策成人女性自己決定+搾取からの保護+離脱支援成人男性同じく自己決定+搾取からの保護+相談支援児童原則として性的搾取から最大限保護障害者自己決定を尊重しつつ、権力差・依存関係からの搾取を防止強制・暴力・人身取引性別を問わず厳罰買う側年齢、強制性、搾取性などを踏まえた規制仲介者・搾取者組織的搾取ほど厳格に取り締まる
こうすると、かなり景色が変わります。
そして、もう一つ重要なこと
「女性=被害者、男性=加害者」
という構図に固定してしまうと、現実から外れるケースが出ます。
もちろん統計上の男女差や被害構造を無視してはいけません。
しかし法律は、
「女性だから守る」
ではなく、
「人間だから守る。そして、特に搾取されやすい立場にある人には追加的な保護を与える」
という設計のほうが強い。
これは男女平等というより、人権保障の問題です。
もっと根本的な問い
今回の記事を読んで私が一番引っかかるのは、
「女性を守るために買う男性を罰する」
というフレーズです。
では、
男性が売られていたら誰が守るのか?
児童が売られていたら誰が守るのか?
障害者が搾取されていたら誰が守るのか?
そして、成人女性自身が「私は自分で選んでいる」と言った場合、その自己決定をどこまで尊重するのか?
ここまで問い始めると、問題は「売春防止法」から一気に、
「国家は、人間の身体と自己決定にどこまで介入していいのか」
という、ものすごく大きな問題になります。
そして私は、ここにこの議論の本当の面白さがあると思います。
「女性を守る法律」を作るだけではなく、
「誰であっても、弱い立場につけ込まれて身体を商品化されない社会」をどう作るのか。
こっちのほうが、はるかに普遍的です。
そして皮肉なのは――「女性を守る」という正しい言葉ですら、使い方を間違えると、男性や児童、障害者など別の被害者を視界の外に追いやってしまうことです。
++++++++++++++
「性被害を性別によって見えなくしてきた社会構造」
「女性を守る」という言葉だけでは説明できない
ジャニーズ事務所をめぐる問題で衝撃的だったのは、被害を訴えた人の中に男性が多数いたことです。
それなのに長期間、
「男が男から性的被害を受ける」
という事実が、日本社会の「性被害」というカテゴリーに入りにくかった。
なぜか。
「男は被害者にならない」という思い込み
これが非常に大きい。
男は強い。
男は拒否できる。
男なら嫌なら逃げられる。
男が性的な対象にされても「羨ましい話」くらいに扱う。
こういう無意識の偏見があった。
つまり、「男性は加害者、女性は被害者」
という単純な図式が、逆に男性被害を見えなくしてしまう。
ここに今回の売春問題との共通点がある
今回の記事では、
「女性を性的搾取から守る」
という話が中心です。
もちろん重要です。しかし、本当に普遍的な人権政策にするなら、
「女性だから守る」ではなく「性的搾取を受ける人を守る」
でなければならない。
すると、
女性
男性
児童
障害者
高齢者
外国人
経済的に困窮している人
など、さまざまな被害者が視野に入ってくる。
ジャニーズ問題が突きつけたのは「男も被害者になる」だけではない
もっと怖いのは、
社会が「見ようと思えば見えたもの」を見なかった
ということです。
半世紀という時間の長さを考えると、「誰も知らなかった」
だけでは説明できません。
芸能界という閉鎖的な権力構造。
若いタレントと巨大事務所の力関係。
仕事を失う恐怖。周囲の沈黙。メディアとの関係。
そして、「男の子が性的被害を受ける」という事実を社会が受け入れにくかったこと。
複数の要素が重なったと考えるべきでしょう。
だから「ジェンダー平等」の意味も考え直す必要がある
ジェンダー平等というと、
女性の社会進出
女性管理職
男女賃金格差
女性への暴力
などが中心になりがちです。
もちろん全部重要です。
しかし、もう一段深くすると、
「性別によって、被害者になり得る範囲を決めつけない」
こともジェンダー平等ではないでしょうか。
女性が加害者になることもある。
男性が被害者になることもある。
女性が自分で選択することもある。
男性が搾取されることもある。
児童は男女を問わず守らなければならない。
つまり、「男らしさ」「女らしさ」という固定観念そのものが、被害を隠すことがある。
ここには日本社会のかなり根深い問題がある
私はこう整理すると分かりやすいと思います。
女性被害「かわいそうな女性を守ろう」
↓
社会が認識しやすい。
一方、男性被害「男なのに?」
↓
認識されにくい。
そして、権力者による被害
「そんな大物を批判して大丈夫なのか?」
↓
さらに言いにくくなる。
そして、子どもの被害
「芸能界では昔から……」
↓
慣習という言葉で正常化される。
これが重なると、被害者が沈黙することを社会そのものが促してしまう。
今回の法律論にも、この視点を入れるべき
「買う男性を処罰する」だけを議論するのではなく、
誰が被害者になり得るのか? を最初に定義する。
そして、
誰が権力を持っているのか?
を見る。
さらに、
誰が声を上げられないのか?
を見る。
最後に、
法律ができた後、被害者が安全に逃げられるのか?
を見る。
この4つをセットにしないと、また同じことが起こる可能性があります。
私なら、この記事の核心をこう言います
「女性を守る社会」を目指すだけでは足りない。
「男だから被害者ではない」という社会も終わらせなければならない。
ジャニーズ問題が日本社会に突きつけたのは、まさにそこだったのではないでしょうか。
そして、これはジャニーズだけの話でも、売春だけの話でもない。
「被害者とは誰なのか」を社会が勝手に決めてはいけない。
これが今回の二つの問題をつなぐ、かなり重要な視点だと思います。
+++++++++++++++++++
おそらく、「人類史上、一度も性的サービスと対価の交換が存在しなかった時代」を確認することはできません。
ただし、「売春」という現代的な法的概念をそのまま古代に当てはめるのは注意が必要です。
むしろ面白いのは、売春が古いことではなく、なぜ人類は何千年もなくせなかったのかです。
「人類最古の職業」は、実は少し雑な言い方
よく「売春は人類最古の職業」と言われます。
でも、これは歴史学的にはキャッチコピーに近い。
古代の記録を見ても、
古代メソポタミア
古代ギリシャ
古代ローマ
中国の歴代王朝
インド
日本
中東
ヨーロッパ
など、性的関係と金銭・財物・身分・保護などが結びついた記録は非常に古くから確認されています。
ただし、
「お金を払って性交する」
だけが売春なのか、
「身分保障と引き換えの性的関係」
まで売春なのか、
「愛人関係」はどうなのか、
となると境界線が急に曖昧になります。
人類は昔から、
食べ物を売る
家を貸す
労働を売る
知識を売る
身体を使って労働する
そして性的サービスを提供する
という市場を作ってきました。
だから売春を考えるとき、
「なぜ人類はこんな悪い商売を始めたのか?」
と考えるだけでは足りない。
むしろ、
「なぜ人間の身体や性的関係まで市場になり得るのか?」
を考えたほうが本質に近い。
そして、売春がなくならない理由はかなり単純でもある
極端に単純化すると、
需要がある
↓
供給する人がいる
↓
そこに価格がつく
↓
市場が成立する
という構造です。
だから、
「法律で禁止する」
だけでは、
需要そのものが消えるとは限らない。
ここが今回の「北欧モデル vs 合法・規制モデル vs 非犯罪化」の議論につながります。
ただし、ここで絶対に混同してはいけない
「昔から存在する」=「正しい」
ではありません。
奴隷制度も長く存在しました。
戦争も長く存在しました。
児童労働も長く存在しました。
だから、
「昔からあるのだから仕方ない」
という結論にはなりません。
むしろ歴史から学ぶべきなのは、「なぜ消えないのか」です。
そして最大の問題は「売春」という一語が巨大すぎること
例えば、
A
成人が自分の意思で行う。
B
生活苦で選択肢がほとんどない。
C
借金で拘束される。
D
暴力や脅迫を受けている。
E
人身売買されている。
F
未成年者が性的搾取される。
これを全部、
「売春」
という一つの言葉で処理してしまう。
そりゃ議論が噛み合いません。
だから「売春をなくす」という目標そのものを疑ってみる
ここで一段ひねります。
もし、
「人類史上ほぼ常に存在してきた現象を、法律だけでゼロにする」
ことを目標にしたら、政策として無理があるかもしれない。
では目標を変える。
❌ 売春をゼロにする
ではなく、
⭕ 暴力を減らす
⭕ 強制を減らす
⭕ 人身取引を減らす
⭕ 児童への性的搾取をゼロに近づける
⭕ 搾取する仲介者を潰す
⭕ 貧困による「逃げられない選択」を減らす
⭕ 被害者が安全に逃げられるようにする
こうすると、かなり現実的になります。
「ジャニーズ問題」ともつながる
実は同じなんです。
問題は、「性が存在すること」ではありません。
問題になるのは、
権力を持つ人間が、逃げられない人間の身体や性的欲望を利用すること。
これは売春でも、芸能界でも、職場でも、家庭でも起こり得る。
だから本質は、
「性をなくす」ことではなく、「力の差を利用した搾取をなくす」こと
なのではないでしょうか。
そして、ここからが私の一番大きな疑問
もし人類が数千年、いやそれ以上にわたって売春を完全にはなくせなかったのだとしたら、
「売春をなくす法律」を作ることと、
「売春によって生じる不幸をなくすこと」は、同じ目標なのだろうか?
ここを分けるべきなんです。
もしかすると、
売春ゼロを目指すことより、
「売春をしなくても生きられる人」を増やすことのほうが、はるかに人道的なのかもしれない。
そして逆に、
「本人の自由意思だから」と言って、強制・貧困・依存・人身取引まで自己責任にしてしまうのも違う。
この両方を同時に成立させるのが、ものすごく難しい。
だから私は今回の議論を、
「売春は悪か?」
から始めるより、
「人間はなぜ、自分の身体を市場に出さなければならない状況に追い込まれるのか?」
から始めたほうがいいと思います。
売春の歴史を調べると、人類の性欲の歴史が見えてくる。
でも、さらに深く掘ると、そこには性欲よりも「貧困」「孤独」「権力」「お金」「自由」「人間の尊厳」が見えてくる。
結局、売春は「性の問題」というより、人間社会そのものを映す鏡なのかもしれません。
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