逮捕、から48時間勾留の後、十日勾留が決まるまでの3日間の話
4月22日(水) 登場人物 H(元恋人の不倫相手)、M(知り合いの弁護士、のちの私選弁護人)
逮捕。浦和署に連行される。どんなことがあろうととりあえずは48時間勾留されることを知り愕然となる。
当番弁護士が来る。当番弁護士とは、とりあえず逮捕された人に外部と連絡を取らせたりする為につく弁護士のこと。その人がそのまま国選弁護人になることもあるだろう。
頼りなさそうなお爺さんだった。が、後から知ったことだがやるべき最低限のこと(妻に連絡や家族に連絡)はやっていてくれていた。
留置所に連れて行かれる。(留置所は大宮西署に移動された)心には不安しかない。すでに全員寝ている。水を持ち込めない。トイレの水を飲む。相部屋のパキスタン人が寝ている。ふと閉所恐怖症になる。
4月23日(木)
何もすることのない1日。留置書では官本という留置所備え付けの本を借りれる。1日三冊朝8時半から7時ぐらいまで。 くだらない小説を読む。座るところもないので、床に直に座る。腰が痛くなってきたので、ヨガにトライ。うろ覚えでも経験しておいて良かった。ヨガだけが楽しみだった。
Mという友達の弁護士がいたことを思い出し、連絡をとってもらう。だが連絡先もわからないので、看守にフルネームを伝え東京弁護士会で調べてもらった。その結果連絡がついたのかどうかはすぐにはわからない。が、連絡がついたようで今日中に来てくれると思うとのこと。
便通が悪い。がかろうじて半分ぐらい出せた。唾液が出ない。身体が緊張しているのだろう。ご飯も全く食べられない。
弁護士が来た。Mが来たと思ったら別の当番弁護士が現れた。心に余裕は全くなく、Mを待つ時間も惜しく思え、その人に国選弁護士をお願いしようかと思って話を詰めたら、その直後Mが来た。Mが来た途端、唾液が分泌されていくことを感じれた。
人間の身体ってすごいなと思った。
何かを考えることはこの場所ではストレスになる。何を考えても結果をコントロールすることができないからだ。悪いことを考えてもいいことを考えてもダメ。何も考えない訓練の一つとして、祈ることを覚えた。ヨガとともに、呼吸をしながら頭からいろんな思考を取り去ってみる。
前の日、全く眠れなかったので、とてもよく眠れた。Mに妻の身元引受人の依頼をすることと、H(僕を訴え出た本人)に示談交渉をすることをお願いする。
24日(金)
検察に行く。48時間の勾留から10日間勾留するべきかどうかを裁判所に判断してもらうための検察の調べがあるのだ。
最終的に最後まで付き合うことになる検察官が、極めて感じの悪い女だった。正直ハズレくじを引いたと思った。
(後に僕はこの検事のおかげで罰金刑を言い渡されることになるのだが、検事の当たりによっては不起訴になる可能性もあったと思う。というよりM弁護士の見立てでは5割不起訴ではとのことだった。)
検察の待合室ははっきり言えば地獄の場所。
手錠をキツめに締められ、私語は完全に禁止、同室に五人から十人ぐらいの人間を押し込められ、歩き回ったり、足を伸ばしたりすることも認められず、何時に終わるかもわからない。僕は三度検察に行ったがいずれも12時間ぐらい待った。その間トイレに行くことと水を貰うことは出来る。トイレに行くときだけ片方だけ手錠を外してもらえる。
ただし水は手錠をはめたまま檻の入り口のところでもらったその場で飲み切らねばならない。それは留置所も同じことだが。
警察は検察よりもレベルの下の組織。要は警察官は、検察庁の囚人の管理を委託されているような立場なので、警察もその管理を厳しくせざるを得ない事情があるのだろう。実にくだらない。これが刑罰でなくて何なのだろうかと僕は思う。
裁判官は子供みたいな女。まだ司法試験通ったところぐらいにしか見えない。
こんなガキに僕の裁判を任せるのかと思うと、ゾッとした。
10日勾留の決定が夕方に下された。だが僕はその時留置所で祈りを捧げていたので、心をそこまで乱すことなくそれを受け入れた。
留置所に帰るとそこではM弁護士が待っていた。Hとは連絡がつかないとのこと。
Hは弁護士とかそういった社会的ステータスに極めて弱い女なので、びびっているに違いないと思ったのだが、実際は違った。
妻からのメールを読んでもらった。涙が出た。
Mの接見が終わった後、知り合いの「Cたか」に顔がよく似ている看守は、僕が閉所恐怖症であることを知って、Mの開けたドアを開けたままにしてキープしておいてくれた。すぐそちら側のドアが開くからと励ましてくれて。
ポリ公はろくなもんじゃないと思ってはいたが、もちろん大抵のポリはろくなもんじゃないが、中にはいい人がいる。後から聞いた話では、留置者とはいえ人間なのだからそれ相応の扱いをしろという教育がなされるらしい。
夜あまり眠ることができなかった。眠れない頭でどうしても色々と考え事をしてしまう。
Hに対して100万の示談金の交渉をすることを思いつく。何一つ悪いことをしてないのだが、100万払ってでもこんな場所から出たい、そう思わせる場所が留置所だ。それに、関係に金が関わらせることは、関係を終わらせることに対しての良い要素となり得るだろうと思ったからもある。
