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260527 叩け

今日のプレイリストから 583
"Strike It"
ルーン
ロック/フォーク


アイルランドのアンダーグラウンド・シーンで長年活動してきた3人が結成したバンドです。ルーンは"rún"と書きます。アイルランド語で、「秘密」「神秘」「愛」などさまざまな意味があるそうです。この3つを一つにした何かを表現しようとするバンドなのでしょうか。

  ☆

本曲はdehumanisation非人間化を扱ったとヴォーカルが言っています。その例として、1920年代にアイルランドに設立された「母と子の家」を挙げています。未婚の妊婦と生まれた子供たちのための施設です。その多くがローマ・カトリックの修道女会によって、一部は国家によって運営されていました。

カトリックの価値観では未婚の妊娠は罪であると考えられています。そのため、未婚の妊婦は、その家族ともども地域社会に受け入れられるのが難しくなります。そこで、「母と子の家」へ送られました。実態は強制収容所のような隔離施設でした。

2015年に政府が設立した調査委員会によると、1922年から1998年までの間に、18の施設で57,000人の赤ちゃんが収容・出産されました。その死亡率は15%だったといいます。ちなみに、同期間の日本の乳児死亡率の推移をみると、戦中戦後の混乱期のデータがない時期もあるでしょうが約4.9%です。

  ☆

アイルランドが特殊なのではありません。どの社会にも歪みがあります。日頃、多くの人は見ないようにしています。しかし、"rún"は目を背けません。重苦しく激しい反復と、深みから響くマントラによって聴く者を絶望の淵に突き落とします。

石牟礼道子さんが水俣を「苦海浄土」と呼んだことを思い出しました。絶望から目を背けないことだけが浄化を促すことができるのかもしれません。