プレーボーイの条件――女性が選ぶ、本物の大人の男*その3「観察力」
第3話 彼女の心を動かした褒め言葉――観察力
男性から褒められたとき、あなたは素直にうれしいと思いますか。
「きれいですね」
「その服、似合っていますね」
「若く見えますね」
もちろん、そう言われて嫌な気持ちになる女性は少ないでしょう。
しかし、誰にでも言える褒め言葉は、その場ではうれしくても、心の奥までは届かないものです。
では、女性の心に残る褒め言葉とは、どのような言葉なのでしょうか。
私は、それは「男性が何を褒めたか」だけではなく、「自分のどこを見ていたか」が伝わる言葉だと思っています。
**横断歩道で見かけた女性
ある日、私は車を運転していました。
信号のない横断歩道の手前で、一人のおばあさんが道路を渡ろうとしていました。
足元が少しおぼつかず、一歩ずつ確かめるように歩いています。
私は車を停め、おばあさんが渡り終えるのを待つことにしました。
すると、歩道の向こうから一人の女性が小走りでやって来ました。
最近、知り合った女性でした。
彼女はおばあさんのそばへ行き、何かを話しかけました。そして、おばあさんの歩調に合わせて、ゆっくり横断歩道を渡り始めました。
腕を強く引っ張るわけではありません。
自分が先に立って急がせることもありません。
転びそうになれば、すぐ支えられる距離を保ちながら、ただ隣を歩いていました。
おばあさんが無事に渡り終えると、彼女は軽く頭を下げました。

そして、何事もなかったように自分の道を歩いていきました。
おそらく彼女は、私が車の中から見ていたことに気づいていなかったでしょう。
だからこそ、その姿が私の心に残りました。
人に見せるための親切ではありません。
考えるよりも先に、身体が動いたのです。
**後日の食事で
後日、私は彼女と食事をしました。
会話の途中で、横断歩道での出来事を話しました。
「先日、おばあさんと一緒に横断歩道を渡っていましたね」
彼女は少し驚いた顔をしました。
「見ていたのですか」
「ええ。車を停めていたのは私です。本当に素晴らしかったですよ」
私は、素直にそう伝えました。
ところが、彼女はうれしそうに笑いませんでした。
少し下を向き、どこか寂しそうな表情を見せました。
私は、何か余計なことを言ったのだろうかと思いました。
しばらくして、彼女は静かに話し始めました。
「最近、田舎に住んでいた大好きなおばあさんが亡くなったの」
そして、少し間を置いて続けました。
「だから、お年寄りを見ると、どうしても放っておけなくて。つい声をかけたくなるのです」
あの日の親切には、理由がありました。
彼女は見知らぬおばあさんを助けながら、亡くなった自分のおばあさんを思い出していたのです。
私は、彼女の顔を見ながら言いました。
「そうだったのですか。でも、あのときのあなたは、見知らぬおばあさんを助けているだけには見えませんでした」
彼女は顔を上げました。
「あの横断歩道を、あなたと亡くなったおばあさんが、もう一度一緒に歩いているように見えましたよ」
彼女は、また少し下を向きました。
そして、小さな声で言いました。
「ありがとう」
その「ありがとう」は、最初に親切を褒めたときのものとは違いました。
私は彼女の行動を見ていました。
しかし、その行動の奥にある思いまでは知りませんでした。
それでも、私の言葉が、彼女の大切な記憶に少し触れたのだと思います。
**心を動かすのは、言葉の上手さではない
褒め言葉が上手な男性はいます。
会ったばかりなのに、
「あなたのような美しい人には初めて会いました」
と平気で言える男性もいます。
しかし、本当にそう思っているのか、それとも誰にでも同じことを言っているのか、女性には案外分かるものです。
言葉だけが先に出る褒め方には、相手を見ていません。
本当に心を動かす褒め言葉は、相手をよく見た後から出てきます。
「あのとき、店員さんにありがとうと言っていましたね」
「皆が話に夢中になっている間、あなたは一人で片づけていましたね」
「緊張している人に、さりげなく声をかけていましたね」
本人が当たり前だと思っている行動を、誰かが見つけてくれる。
そのとき人は、「この人は私を見てくれている」と感じるのです。
**大人の男は、容姿の奥を見る
女性は、男性から容姿を褒められる機会があるでしょう。
しかし、容姿は誰の目にも見えます。
髪形、服装、笑顔。
これらを褒めることは、それほど難しくありません。
大人の男が見るのは、そのもう一つ奥です。
誰も見ていないとき、どのように行動するか。
自分に利益のない相手にも、優しくできるか。
困っている人を見たとき、身体が自然に動くか。
そして、それを大げさに褒めません。
相手を口説くための材料にも使いません。
ただ、自分が感じたことを、自分の言葉で静かに伝えます。
本物の観察力とは、女性の弱点を見つける力ではありません。
女性の中にある、自分でも気づいていない美しさを見つける力です。
**女性に見てほしいこと
女性にお伝えしたいことがあります。
あなたの容姿ばかりを褒める男性よりも、あなたの何気ない行動を覚えている男性を大切にしてください。
「今日もきれいですね」
そう言う男性も素敵です。
しかし、
「さっき、困っていた人に声をかけていましたね」
と伝えてくれる男性は、あなたの顔だけではなく、生き方を見ています。
もちろん、何もかも細かく観察されると、少し怖いでしょう。
大切なのは、監視することではありません。
見つめすぎず、見逃さないことです。
本当に大人の男は、女性の自由を邪魔せず、その人の小さな優しさだけは見逃しません。
**褒めるとは、その人を発見すること
褒めることは、お世辞を言うことではありません。
相手の中にある素晴らしさを見つけ、それを本人に返してあげることです。
人は、自分のことをすべて分かっているようで、案外分かっていません。
自分では当たり前だと思っている優しさを、誰かが見つけてくれる。
「あなたの、そういうところが素晴らしい」
そう言われたとき、人は初めて、自分の中にある美しさに気づくことがあります。
横断歩道で、おばあさんの隣を歩いていた彼女。
あのとき私は、彼女の親切を見ていました。
しかし彼女は、亡くなったおばあさんとの思い出の中を歩いていたのでしょう。
女性の美しさは、顔だけに表れるのではない。
誰も見ていないところで差し出した手に、最も美しく表れる。
そして、その手を見つけて言葉にできること。
それが、本物の大人の男に必要な「観察力」なのです。
タモ・ヤン著
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ありがとうございます。これからも人生が、魅力的で素晴らしいエッセイを書きます。又、何かのお役に少しでも立てばと体験談を書きたですね。
今まで歩いた人生は、運あり、裏切りの不運ありと不思議な旅です。
そんな話を共有できれば、嬉しいです。
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