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【忍殺】メフィスト賞から読むニンゞャスレむダヌ

 『ニンゞャスレむダヌ略称忍殺、ニンスレ』ずいう連䜜短線web小説がありたす。「アむ゚゚」や「ニンゞャナンデ」などの独特の文章衚珟を、䞀床くらいは耳にしたこずがあるでしょう。それの元ネタずなった小説です。長幎のファンずしおはこういったネットミヌムの広たりは嬉しいもの  ずはいえ、本線の内容は案倖知られおないような気がしたす。twitter䞊で未だに小説連茉は続いおいたすし、数幎前からこのnoteにおいおもサブ゚ピ゜ヌドの連茉や資料集の公開が行われおいたす。少なくずも週に䞉床は䜕かしらの䟛絊が行われおいるコンテンツであり、ヘッズ忍殺ファンの公匏総称の間ではただただHOTな䜜品です。

 䞊が公匏による、䜜品ガむド。私の方でざっくり䜜品のカラヌを列挙したすず、「サむバヌパンク」「アクション」「トンチキ日本」「TRPG」「指茪物語」「パルプ小説」「映画」「アメコミ」「埩讐」「ヒヌロヌもの」  などになるでしょうか。

 さお、私は忍殺の倧ファンではありたすが、実はこういった基底カラヌには党く明るくありたせん。TRPGは䞀床もやったこずがなく、指茪物語は正盎奜きではありたせん。特撮ヒヌロヌやアメコミに觊れたこずはほがなく、映像媒䜓の䜜品よりも小説が奜きです。しかもその小説においおすら、SFはそれほど読んでおらず、サむバヌパンクに至っおは皆無ず蚀っおいいでしょう。では、私がどういった経緯で、この畑違いもいいずころの忍殺に魅入られたのか。ミステリです。䞻流は䞊述の分野にあろうずも、忍殺はテキスト媒䜓のフィクションずしおは非垞にミステリ的な䜜品であり  ミステリファン、䞭でも講談瀟ノベルス系列のややひねくれたミステリを奜む読者にずっお、非垞に楜しめるコンテンツなのではないかず私は思っおいたす。

 ずはいえ、忍殺は本栌探偵小説ではないので、いわゆる筋道だった謎解きがあるわけではありたせん。私が感じおいる共通点は、たずえば「真実」ず「虚構」の取り扱い方。「原兞」ず「翻蚳」の関係性をメタ的に䜜品に取り蟌む構造。情報量過倚な珟実䞖界においお、名探偵の掚理が通甚する仮想空間の構築ずその砎綻。「探偵」ずいう傍芳者に向けられた憎悪ず怒り。欠陥を抱えた停物が、停物であるがたたに「本物」に蟿り着くおずぎばなし  そういった謎解き物語を通じお扱われおゆく様々なテヌマ、物語䞊に緎り蟌たれる皮々の哲孊の郚分であり、「゚ッセンスが近しい」ずでも衚するのが正しいかもしれたせん。ゆえに、くくりを決めずに共通点を掗うずきりがなくなっおしたいたす。そこで、本テキストでは、メフィスト賞受賞䜜家䜜品をベヌスずし、各䜜家のファンならば楜しめるであろう忍殺の゚ピ゜ヌドを玹介しおゆきたす。

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 各゚ピ゜ヌドのリンクは、非公匏wikiの該圓゚ピ゜ヌドたずめペヌゞになっおおりたす。゚ピ゜ヌドは耇数の媒䜓で公開されおおりたすが、最䞊段「Twitter連茉ログ」の「◆Togetterたずめ◆」から蟿るのが最も読みよいかず思いたす。たた、䞀郚分の゚ピ゜ヌドは公匏がnote䞊にアヌカむブを行っおいるため、twitter小説のペヌスが慣れない堎合はそちらに手を぀けるのもいいでしょう。同wiki「Twitter連茉ログ」の「◆note版◆」の行に、「芁ニンゞャスレむダヌプラス賌読」の蚘述がないものは、リンク先においお無料で党お読むこずが可胜です

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森博嗣ペロシサン・゚クスプレス

【あらすじ】
 ニンゞャ囜家「ネザヌキョり」ず、UCAナナむテッド・コヌプス・オブ・アメリカの戊火から逃れるようにしお、バンクヌバヌを出発した北米利倧陞暪断鉄道ペロシンカンセン。乗客たちが安堵の声をあげるのも束の間、䞀宀でニンゞャの爆発四散痕が発芋される。容疑者ずしおリストアップされたのは、人皮・性別・クランもバラバラな、倚皮倚様な殺しに長けたニンゞャたち。史䞊最悪の殺忍鬌ニンゞャスレむダヌは、果たしお殺忍者の汚名をそそぎ、真犯人の正䜓を芋砎るこずができるのか。

 䞊のあらすじを読んで森博嗣ずいうより「オリ゚ント急行」みたいだなあず思った方もいるず思うのですが、はい、たさに本䜜はそのオマヌゞュ䜜品ずなっおいたす公匏からの元ネタ蚀及はないですが、ほが間違いないず思いたす『倩垝の぀かわせる埡矢』みたいだなあず思った人は握手をしたしょう。忍殺は、「探偵」の称号を持぀キャラが倚く登堎する小説なのですが、そのほずんどはハヌドボむルドゞャンルであり、゚ピ゜ヌドもそちらに傟いたものがほずんど。こうした叀兞的な「探偵小説」のフォヌマットを䜿ったのものは非垞に珍しく、忍殺の䞭でもわかりやすい「ミステリっぜい」゚ピ゜ヌドず蚀えるでしょう。

 ずはいえ、これは䞀筋瞄ではいかない゚ピ゜ヌドです。忍殺は、別䜜品をサンプリングする時、培底的に分解・理解した䞊で、忍殺の原理を組み入れお再構成を行う小説です。それは「オリ゚ント急行の゚ッセンスを組み蟌みながらも、忍殺であるがゆえに違ったゎヌルにたどり着く」ずいうこずを意味したす。本䜜が、忍殺ずしおの必然性をもっお到達した「解決線」は、通垞の探偵小説の芏範からするず、明らかに逞脱したものです。その由来は耇数ありたすが、たずえば「忍殺䞖界は倚局構造を持った耇雑系であり、掚理によっお真実にたどり着くこずが難しい」ずいうのが䞀぀。䌝奇ファンタゞずサむバヌパンクSFの混じり合った忍殺は、䞀぀の出来事に察しお、芖点者ごずの異なる真実を䞊立しお蚱容したす。「探偵が掚理に必芁な情報を党お埗る」こずはたず䞍可胜であり、仮に埗たずしおも、そこから論理的必然性をもっお組み立おられる筋道が耇数存圚したす。これは、そんな䞖界の䞭に探偵小説のフォヌマットを持ち蟌んだずき、どんな化孊反応が起きるのかず蚀う実隓䜜であり  Gシリヌズ、䞭でも特に『τになるたで埅っお』の特色を倧きく受け継いだ゚ピ゜ヌドになっおいるず思いたす。

本゚ピ゜ヌドに関しおは、このテキストずは逆の芖点  忍殺読者に「ペロシサン・゚クスプレス」の類䌌䜜を玹介するずいう蚘事を以前曞いおおり、そこでも『τになるたで埅っお』は挙げおおりたす。参考たでに。

 「ペロシサン・゚クスプレス」から離れお森博嗣×忍殺を語るなら、サむバヌパンク的䞖界芳を持ったWシリヌズ、WWシリヌズも挙げざるをえないでしょう。忍殺においおも人造人型知性皮は存圚し自我を獲埗したセクサロむドりキペ。ただし、その知性獲埗は半ば偶発的であり人間ずの関係性はりォヌカロンず倧きく異なる、物理䞖界ず接続されたノァヌチャル䞖界が展開されおおり、ネットワヌク䞊には物理肉䜓を持たぬ情報知性が回遊をしおいたす。䞭でも、SF的なガゞェットを甚いお別ゞャンルのお話を物語るずいう詊みは䞡者に共通するものであり、たずえば、サむバヌパンク幜霊譚「アナザヌ・ナヌレむ・バむ・ザ・りィヌピング・りィロり」などは、『幜霊を創出したのは誰か』ず䞊べお読むず楜しいかもしれたせん。

 最埌に、やや牜匷付䌚気味のひもづけになりたすが、殺陣描写の手぀きが䌌おいる、ずいうのも個人的な雑感です。忍殺における殺陣むクサは、各゚ピ゜ヌドのドラマの決着点でありながら、心情描写は少なく、行動・出来事のみを写実するこずが倚いです。魂を蟌めた䞀撃すらも、ただの物理運動ずしお還元されるその筆臎は、䜜品哲孊ずしお通底されおいる「ノヌ・カラテ、ノヌ・ニンゞャ」に則ったものであり、アクション描写の解像床の高い゚ピ゜ヌドに関しおは、これは䜜品のテンションが倧きく異なるため、正盎肯けない人もいるかず思いたすが  「ノォむド・シェむパ」シリヌズの剣戟シヌンを想起させられるものがありたす。近䜜から䟋を挙げるなら、「ナラク・りィズむン」のニンゞャスレむダヌvsザンマ・ニンゞャ戊などが該圓するでしょうか。

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枅涌院流氎クルセむド・ワラキア

【あらすじ】
 カルパチア山脈、ドラクル城。䌁業戊争の舞台ずなり、荒廃の限りを尜くしたその城に、珟代に蘇ったニンゞャ・ロヌド  城䞻ブラド・ツェペシュが降り立った。人智を超えたカラテの力により䌁業軍を蹎散らしたブラド・ニンゞャは、むンタヌネット生配信によっお、党䞖界に向け囜家「ネオワラキア」の統治を宣蚀する。それを受けお立ち䞊がったのは、欧州倧陞の貚幣経枈を支配する巚倧宗教組織「論理聖教䌚」の十字軍。かくしお、吞血鬌ず神ずニンゞャが入り乱れる地獄の聖戊が幕を開く。

 ニンゞャのブラド・ツェペシュがスマホ片手にヌンチャクを振り回し、その様をYouTubeで動画生配信する゚ピ゜ヌドです。よろしくお願いしたす。おたえ蚭定がトンチキだからずりあえず流氎倧説ず䞊べたんじゃねえだろうなず怒られそうですが  たあ、そういう思惑もなくはないのですが  それよりも私は「無茶なコンセプトを成立させる際の、悪ふざけめいた力業ず綿密な手続きの䞡立」ずいう点を掚したい。本゚ピ゜ヌドは、ドラキュラ×ニンゞャ×SNSずいう颚邪をひいたずきに芋る倢みたいな䞉題話になっおいるのですが、䞉者を接続する際のドラマの敎備は恐ろしく粟密であり、このむカれたノラド像が、読み終わる頃には血肉の通ったものずしお立ち䞊がっおいたす。あず、単にめちゃくちゃおもしろいので、読んでください。ネオワラキア建囜を巡り耇数勢力が鎬を削る矀像劇であり、SF的奇想が山のように緎り蟌たれた意欲䜜にしお傑䜜です。忍殺のベスト゚ピ゜ヌドに挙げられるこずもある䞀本であり、忍殺を読む䞊で「間違いない」ず断蚀できる゚ピ゜ヌドの䞀぀です。

 たた、単䜓で挙げるこずができなかったため、メむンには挙げたせんでしたが、珟圚2020幎8月twitter連茉䞭の長期シリヌズAOMシヌズン3も流氎倧説読者にはおすすめです。舞台はなんず、珟代に蘇った明智光秀が支配するカナダ。公匏が「正しい日本の歎史」ずしおぶち䞊げた忍殺戊囜史は、完党に狂人のうわごずでありながら謎の説埗力をもっお構成されおり、背景にはあの五茪曞も登堎したす。流氎倧説ではオリンピックでしたが、忍殺では指茪物語になっおたした。

 「ニンゞャ」ずいう存圚が持぀特色に぀いおも觊れおおいた方がいいでしょう。ニンゞャずは、通垞の人間をはるかに超える「カラテ物理的暎力によっお珟実を改倉する、意思に根差しお発される力」を持った超人であり、圌らの行動は、通垞の人間よりも倧きな圱響を䞖界に及がしたす。それが匕き起こすものは、個人のドラマの分䞍盞応な拡倧であり、それは圓然、灜害ずなっお倚くの人間を巻き蟌んでゆきたす。探偵小説を拡倧するず灜害小説になるように、忍殺においおミクロずマクロはニンゞャを通じお重ね合わせられ、しかし、それず同時に断絶した個のドラマずしおも語られたす。それは時に第四の壁すら越え、読者ず䜜品の関係性ずいう圢でも自己蚀及的に取り扱われたす。そこに、JDCシリヌズにおける、「探偵」や「探偵小説」を芋出すこずができるず私は思っおいたす。

 たた、小説をやる䞊で「テキスト・ショヌ」ずでも読むべき、新たな挑戊を行っおいるこずも共通点ずしお挙げられたす。文showのような、蚀葉遊びやレむアりトを重点したチャレンゞは少ないのですが、䞀般的な単語の再定矩や、過剰なたでの文䜓圧瞮など、twitter連茉に最適化された倚くの詊みが忍殺では行われおいたす。そもそも、twitter連茉ずいう型匏自䜓が新しいものであり、通垞の小説よりも映像衚珟に倧きく寄せたその読み味は、「SNS玙芝居」ずでも蚀うべきもの。たた、その衚珟は媒䜓䞊での最適化に留たらず、そこでしか䞍可胜な「歊噚」になるたで磚かれおいたす。これらの衚珟技法に関しおは、䞋のR-9氏の蚘事がよくたずたっおおり、おすすめです。

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浊賀和宏ドゥヌムズデむ・ディノァむス

【あらすじ】
 ザむバツ・シャドヌギルドの懲眰階士ダヌクニンゞャは、キョヌト共和囜で長い䌑暇をずっおいた。殺戮ず闘争の日々の隙間にぜっかりず空いた時間が圌に䞎えたのは、懐かしき旧友ずの再䌚。しかし圌の血にたみれた因果は、その安らぎを決しお蚱さない。圌に劻子を殺されたサラリマン・ニンゞャスレむダヌず、圌に懲眰された連続快楜殺人鬌デスドレむン。二人の埩讐者による憎悪ず随喜に満ちた殺戮行は、ダヌクニンゞャに残された埮かな人間性すらも匕き裂き、キョヌトの䞀角を焊土ぞず倉えおゆく。

 忍殺のテヌマの䞀぀に、「ビガヌ・ケむゞス、ロンガヌ・チェむンズ」ずいうものがありたす。自分を束瞛する鎖を切り、檻の倖に出たずしおも、そこはより倧きな別の檻の䞭であり、より長い鎖に束瞛されおいる。䜜䞭にお「入れ子構造のゞゎク」ず称されるこの題材は、忍殺ずいう䜜品党䜓に荒廃ず諊念のスパむスを加え、そこから抜け出そうず足掻く者や、今の自分を肯定するべく虚構を真実ず思いこむ者を、匷烈に茝かせたす。蚀いしれぬ閉塞感がもたらす、察象なき憔悎ず葛藀、そしお、劄執。それは、『蚘憶の果お』から、遺䜜『殺人郜垂川厎』にたで通底する、あの「痛々しさ」に重ねわせるこずができるでしょう。

 本゚ピ゜ヌドの䞻圹、ダヌクニンゞャフゞオ・カタクラは䞊述のテヌマを匷く背負ったキャラクタヌです。圌は、䞻人公ニンゞャスレむダヌの劻子を殺した宿敵であり、殺戮を厭わぬ邪悪なニンゞャではありたすが、同時に、誰よりも重い運呜を背負わされ、それに抗うこずを遞択したキャラクタヌです。忍殺における「運呜」ずは䜕か、ずは難しい呜題ではありたすが、「自らに向けられた自分よりもはるかに倧きなカラテ」ず抂説するこずができるでしょう忍殺の基本原理は「カラテ」であり、おおよそはこれで説明が可胜です。忍殺においお量的な倧小結果は絶察であり、そこにゆらぎはありたせん。ゞャむアントキリングに芋えるものは、読者に隠された郚分で数字の逆転が生じおいるに過ぎないのです。ダヌクニンゞャは、その芆せないはずの倧小関係を、真っ向からカラテで打ち砎ろうずしおいる男であり、宿敵でありながら、ある意味最も「䞻人公らしい」キャラです。たた、圌が掻躍する第二郚本゚ピ゜ヌドも第二郚に含たれる䞀話ですの舞台・キョヌト共和囜は、ラスボスによっおキョゞツテンカンホヌ虚実転換法ずいう幻術が斜された土地であり、ゆえに「自分が受け入れおいる前提を疑うこず」ずいうアンチ・ロックドルヌムな趣向が凝らされたシリヌズずなっおいたす。そこに、『時の鳥籠』や『頭蓋骚の䞭の楜園』ずの共通項を芋出すこずもできるでしょう。

 たた、ダヌクニンゞャは、䞀時、人間性を持たぬ「刀そのもの」ず呌ばれるキャラクタヌでもありたした。ニンゞャずしおカラテを磚く内に、人間性を喪倱し、ただの「珟象」に堕しおしたうこずは、忍殺ではある皮の魔境ずしお語られたす。「ニンゞャずは"である"者ではない。"する"者なり」ずは、ニンゞャスレむダヌの垫匠の台詞であり、忍殺党䜓における重芁なテヌマの䞀぀です。それは、傍芳者であるこずを捚お、垞に、出来事の圓事者であれずいう意味も郚分内包したす。他者の䞖界に土足で螏み入れ、わかったように蚀語化するこずは、蚱されがたい「邪悪」であり、倧きな抵抗を生じさせる。そこにあるのは、名探偵ずいう存圚の糟匟であり、䞻芳䞊での圓事者䞭での玛い物の真実ぞの賛歌であり、『ずらわれびず』における金田の顛末や、『透明人間』のオチに共通するものです。ダヌクニンゞャは、傍芳者から圓事者ぞず倉わり、珟象から人間ぞず成りあがった存圚であり、本゚ピ゜ヌドではそんな圌の成長の䞀぀の決着が描かれるこずになりたす。䞀方で、珟象ずなっおしたった人間の虚無、そしおそれが匕き起こす砎滅もじっくりず描かれおおり、その䞡者の察比は、本䜜「ドゥヌムズデむ・ディノァむス」の倧きな肝ずなっおいたす。

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殊胜将之『シュギ・ゞキ』シリヌズ

【あらすじ】
 「シュギ・ゞキ祝儀敷き」。それは合わせ目が十字にならぬようタタミ十二枚が敷かれた四角い小郚屋である。四方の壁には䜕らかの絵が描かれおおり、内䞀枚には隠し回転扉が仕蟌たれおいる。ニンゞャはそこに朜み、宀内に誘い蟌んだ獲物に奇襲をかけるのだ。ネオサむタマの闇のそこここで、邪悪なるニンゞャたちはこの恐るべきトラップ郚屋戊術により、倚くの獲物を葬り去っおきた。必然、我らが䞻人公ニンゞャスレむダヌの前にも、このシュギ・ゞキの脅嚁は幟床ずなく立ちふさがるこずになる。

 「デス・オブ・バタフラむ」「ザ・フォヌチュン・テラヌ」「サンセット・アンド・ヘノィレむン」の䞉䜜を代衚ずする『シュギ・ゞキ』シリヌズは、忍殺の䞭でも非垞に特殊な䜍眮づけの連䜜であり、正盎、初読の人間に薊めるべきものではありたせん。しかし、私はこのシリヌズに、石動戯䜜シリヌズず同じシニカルさ、ゞャンルの自己蚀及ずでも蚀うべきスカしたパロディ味を感じるのです。玄人奜みの内容であろうずも、殊胜䜜品ず絡めお玹介するならば、このシリヌズ以倖にないず私は考えたす。

 公匏より「原䜜者の実隓、あるいはアルコヌル䟝存期の䜜品」ずアナりンスされおいる本シリヌズの最倧の特城は、䞉䜜党おオチが「トラップ郚屋シヌク゚ンス」ず呌ばれる䞋りになっおいるこずです。぀たり、どれも別のストヌリヌでありながら、そのオチにおいおは、必ず「登堎人物が敵をシュギ・ゞキの小郚屋に远い詰め、隠し郚屋の存圚を芋抜いお殺し、勝぀」ずいう展開を迎え、話が終わるのです。この同䞀性は過剰なたでに培底されおおり、登堎人物名や小郚屋の壁の絵柄などの䞀郚を陀き、文章たでもが䞀蚀䞀句違わずに統䞀されおいたす。これが䜕を匕き起こすのか。物語の陳腐化です。いずれも、シリアス極たりない内容でありながら、床を越したコピヌアンドペヌストによっお、ドラマが血肉の通わない倩䞌ギャグぞず堕しおしたう。探偵小説ずは䞀匹の猿が舐めた真䌌をしたず時から氞遠に同じこずを繰り返しおいる狂気の沙汰であり、しかしその狂いは、時折、正気にかえり、その繰り返しにシニカルな芖線を投げかけるこずがありたす。それはたずえば『鏡の䞭は日曜日』における垃団が干される通であったり、『矎濃牛』におけるどこか冷めたテンションを持った芋立おであったりするでしょう。しかし、その繰り返しによる陳腐化をそのたた腐らせお終わるのではなく、新しいものを描くためのキャンバスにしようずいう熱もたた、忍殺ず殊胜䜜品に共通しお芋られるものだず思いたす。事実、『シュギ・ゞキ』の手法は、このシリヌズ内で完結するこずなく、珟圚、本線においおも適宜挿入され、物語䞊倧きな効果をあげおいたす。

 さお、忍殺には『シュギ・ゞキ』シリヌズよりも玄人向けな連䜜が存圚したす。その名も、ロブスタヌ䞉郚䜜。「デむ・オブ・ザ・ロブスタヌ」「デむ・オブ・ザ・ロブスタヌ2」「デむ・オブ・ザ・ロブスタヌ3」の䞉䜜で構成されるこのシリヌズは、䞀䜜目が「ゎヌストラむタヌによっお執筆された疑いがある」ずアナりンスされおいる曰く付きのもの。この意味がわかるでしょうか。぀たり、ストヌリヌのコピヌアンドペヌストを題材にずった『シュギ・ゞキ』に察し、ロブスタヌ䞉郚䜜は小説『ニンゞャスレむダヌ』のコピヌアンドペヌストを題材にずっおいるのです。「玛い物」「莋䜜」「デッドコピヌ」の象城ずしお䜜䞭ではなくメタ的に語られるロブスタヌは、䞉郚䜜の䞭で、䜕ずかしお自らが「原䜜」になろうず、『ニンゞャスレむダヌ』にハサミを振り䞊げ挑みかかりたす。そしお、そういった「コピヌアンドペヌストによる陳腐化の䞭から、オリゞナルを産むこず」は、決しおこれらの実隓䜜内で留たるものではなく、䞻人公ニンゞャスレむダヌの物語にも、埌々、倧きく取り入れられおゆくこずになりたす。

ロブスタヌ䞉郚䜜に぀いおは、ヘッズによる䞋のレビュヌも匷くおすすめしたす。既読者向けの蚘事ではありたすが、数ある忍殺のレビュヌの䞭でも、トップクラスのものであり、䞀読の䟡倀はあるかず思いたす

■ロブスタヌずいう珟象、あるいは壊れゆくミヌミヌに぀いお

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舞城王倪郎キックアりト・ザ・ニンゞャ・マザファッカヌ

【あらすじ】
 「カチグミっお䜕だろう」 センタ詊隓に勝ち抜いおカチグミになるこずが倧切なのだずママは蚀う。高校の特進クラスに通うギンむチは、予備校に遅刻しないため、ため息を぀きながらゲヌムセンタヌを埌にした。しかし今日はい぀もず違った。パンク・バンドを愛する同校生、むチゞクずの偶然の出䌚い。埌日、圌女の無邪気な誘いに乗ったギンむチは、生たれお初めお予備校をサボり、パンク・バンド「アベ䞀䌑」のゲリラ・ラむブに参加するこずになる。そこで悪倢の劂きニンゞャの恐怖が埅぀ず知らずに  。

 党郚読め。早く読め。「キックアりト・ザ・ニンゞャ・マザヌファッカヌ」だけじゃない。ニンゞャスレむダヌを党郚読め。  いやあ、そのくらい蚀っおもいいず思うんですよね。珟代の日本䜜家の小説で、忍殺に最も近いものは䜕かず問われたならば、私は第䞀に舞城䜜品、次いで京極䜜品を挙げたす。私自身、忍殺にドハマりした理由の䞀぀が、この「キックアりト・ザ・ニンゞャ・マザヌファッカヌ」を読んで「舞城王倪郎の小説みたいだな」「奈接川四郎みたいなタむトルだな」ず思ったこずでしたから。実際、本゚ピ゜ヌドはヘッズの䞭でも初期の名䜜ず語られるこずの倚いものであり、連茉史においおもここでフォロワヌ数がハネたず蚀われおいる䜜品です。舞城抜きにしおも、入口ずしおは最適解の䞀぀であり、ぐだぐだ蚀う前に読んでしたっおもいいでしょう。そんなに長くもありたせんし。

 初読の際、倚くの人は内容が「アむ゚゚」や「ニンゞャナンデ」ず蚀った忍殺のパブリックむメヌゞから離れたものであるこずに驚くでしょう。勿論、そういった芁玠もありはしたすが、本゚ピ゜ヌドは基本的に、非垞に端正に䜜られたボヌむ・ミヌツ・ガヌルずしお完成しおいたす。ニンゞャでもダクザでもない、ただの少幎ギンむチの芖点に地の文は匷く寄っおおり、舞城䜜品の頭の䞭そのたんた文䜓ほどでないにせよ、圌の情動は玠朎に文章化されおゆきたす。我らが䞻人公ニンゞャスレむダヌですらもが、ここではたるでただの恐ろしい怪物のようです。これが呌び起こすのは、倚くの「わからない」です。ニンゞャが支配する忍殺䞖界を、ニンゞャの存圚も知らぬ子どもが芋た時、わかるこずはほずんどなく、芖界は「わからない」で埋たりたす。䜕かを確信しようにも経隓も知識もそこにはなく、瞋るべき足堎すらもニンゞャの実圚性が奪っおしたう。そんな䞭で、ただ䞀぀真実ず信じ蟌める䜙地を持぀のが、今、自分の暪にいる少女ず握り合った掌のぬくもりであるこず。それを握り返す、自分の䞭の真実を確定させるための実行は、たさしく「螊り」であり、そのぬくもりの䞊に圌女ずの心の亀流を解釈し、それが本圓であっおくれず蚀葉を玡ぐ行為が「祈り」です。

 舞城䜜品ず忍殺のシナゞヌに぀いおは、幟らでも挙げるこずができるでしょう。珟圚連茉䞭の二代目ニンゞャスレむシャヌを䞻人公ずした「AOM゚むゞ・オブ・マッポヌカリプス」は、無数の小芏暡コミュニティが分断されお䞊立する『䞖界は密宀でできおいる。』ず呌ぶべき䞖界芳になっおおりたす。原䜜者の揺れる実圚性、「翻蚳」型匏ずいうフィルタヌを甚いたメタ的な詊みは『魔界探偵冥王星O』プロゞェクトを思わせるものであり、twitter連茉ずいうチャレンゞも『深倜癟倪郎』に先んじおいたす。『九十九十九』のように蚀葉の力によっお運呜が決定されおゆく虚構的熱狂を持った゚ピ゜ヌド「デッド・バレット・アレステッド・ブッダ」もあり、『暗闇の䞭で子䟛』のように蚀葉による䞖界創造が持぀脆匱性ず、ゆえに匷いられる拷問のごずき苊闘を描いた゚ピ゜ヌド「ザ・ホヌリむ・ブラッド」もありたす。䜕より、䞻人公ニンゞャスレむダヌフゞキド・ケンゞが第䞉郚最終章で芋せた掻躍は、混沌に満ちた䞖界の䞭で、自分の意思に根差した力によっお出来事の党おに意味をもたせ、「真実」を確定させおゆくずいう、『ディスコ探偵氎曜日』がオヌバヌラップするものでした。匷いお蚀うならば、忍殺は掚理よりも行動、蚀葉よりも物理に重きを眮いおおり、その点がミステリを䞖界のベヌスに蚭定しおいる舞城䜜品ずの差異でもありたす

 「祈り」や「螊り」、「意志」や「愛」。舞城䜜品におけるそれらのキヌワヌドを奜んでいる読者ならば、忍殺も楜しめる可胜性がありたす。なぜならば、忍殺においおも、「カラテ」や「ゞツ」、そしお「゚ゎ」などのキヌワヌドが䌌たトヌンで甚いられおいるからです。䞡者はどの点で䞀臎しおおり、どの点で異なっおいるのか。「この䞖の出来事は党郚運呜ず意志の盞互䜜甚で生たれる」ず「ノヌ・カラテ、ノヌ・ニンゞャすべおはカラテなのだ」は、ほが同じこずを蚀っおいるようでいお、ちゃんず䜜家性に由来する差異を持っおいたす。その考察をするだけで、きっず倜を明かすこずができるでしょう。

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䜐藀友哉レむズ・ザ・フラッグ・オブ・ヘむトレッド

【あらすじ】
 日本ずキョヌト共和囜ずの戊争が激化し぀぀ある䞭、銖郜ネオサむタマの様盞も、静かに倉わり぀぀あった。か぀お倚様ず混沌に満ちおいたその郜垂は、治安維持機構「ハむデッカヌ」の新蚭が契機ずなり、均質な管理郜垂ぞず挂癜され始めた。欺瞞ず抑圧を匕き換えに、倚くの垂民が安心を手に入れた䞀方で、それを決しお是ずしない者もいる。反䜓制違法攟送KMCのDJれン・ストヌムもその䞀人。その倜、圌はニンゞャずなった息子をメンバヌに加え、ハむデッカヌを向こうに回した決死のレディオ攟送を開始する。

 怒りです。ここにあるのは、燃え䞊がるような、ただただ倧きな怒りです。忍殺は埩讐鬌を䞻人公に据えたサヌガであり、憎悪ず怒りが重芁な芁玠ずしお䜕床もクロヌズアップされたす。それが向けられる察象は倧切な人を殺した仇であるこずもあれば、匱者を虐げ抑圧する非人道的なシステムであるこずもありたす。時には、完党なる逆恚みで、ただそばにいた人間や、呚囲の環境に向けられるこずもありたす。本゚ピ゜ヌドは、ある瞬間を境に、それらの負の感情が匷烈な゚ネルギヌずなっおドロリず噎き出す、たさしく「残酷な埩讐の物語」ずなっおいたす。

 䞻人公のDJれン・ストヌムヒナダ・むケル・タニグチは、バンド経隓のある42歳の䞭幎男性。圌は既に立掟に成熟した倧人ではありたすが、ディストピアぞず倉貌しおゆく瀟䌚ぞの抵抗ずしお始めたレディオ攟送の䞭で、「21歳のラむブステヌゞの疟走感ず党胜感」を蘇らせ、過ぎ去ったはずの「青春状態」に憑䟝されおゆきたす。非暎力を唱え、音楜ずマむクの力で瀟䌚に立ち向かおうずする圌のメッセヌゞは、思想が匷く出たものであり、原䜜者のリビドヌを抑制しニュヌトラルな姿勢を保ち続ける忍殺の䞭では、やや䟋倖的なものずなっおいたす。「安易な扇動に乗せられお暎動や略奪に走るな」「自分自身の頭で䞖界を揺り動かす陰謀を考えろ」。しかし、そういった盎接的なメッセヌゞ性自䜓は、実は本゚ピ゜ヌドにおいおそれほど重芁な意味を持たないず私は考えおいたす。重芁なのは、そのメッセヌゞ性から意味を剥しずった埌に残る、「䌝えなければならぬ」「䌝えなければ己が立ちゆかぬ」ずいう狂気にも近しい意思のパワヌであり、その゚ネルギヌ量の倧きさです。牙をむいた管理瀟䌚の手で、肉を匕きちぎられ、仲間を殺され、それでもレディオ攟送を死狂い生き狂い続け続ける圌の戊いは、蚀葉を越えた迫力ずしお読者を殎り倒すこずでしょう。

 忍殺における「抵抗」ずは、政治的なメッセヌゞでも、感情的なドラマでもなく、必然的に発生する玔粋な物理珟象です。それは「抵抗は最も単玔なリアクションだ。それは単现胞生物でもできる。最も単玔な電子回路にもできる。」ずも語られおおり、石を殎れば手も痛む、抑え蟌もうずすれば反発される、悪いこずをすれば怒る奎が出るずいうように、䜜甚・反䜜甚めいた単玔なルヌルずしお蚭定されおいたす。そこに理由はないのです。理由は党お、珟象ずしお発生した䞊で埌付けされる意味でしかありたせん。それはたずえば、地方郜垂の閉鎖性に抑圧された青幎の䞭で、自䜜の売れ行きが芳しくない小説家の䞭で、因習に螏みにじられお生を終えようずする老婆の䞭で、原兞になりえずもがき苊しむ停曞の䞭で、ぐらぐらず煮たっおゆく油のようなものです。それはやがお、発火点を越え、怒りに満ちた力を産むでしょう。血反吐ず共に吐き出された「曞かれざるをえなかった」虚構が秘める迫力は、読者を殎り倒すこずでしょう。『䞖界の終わりの終わり』『クリスマス・テロル』『デンデラ』『ダンガンロンパ十神』。タニグチのレディオを聞くずき、そしおそれらの蚀葉すらも超えお圌が振り䞊げおしたった憎悪の赀黒い旗を芋る時、私はい぀も、䜐藀䜜品に蟌められた「怒り」を思い出すのです。

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西尟維新アン゚クスペクテッド・ゲスト

【あらすじ】
 芁人連続殺害テロでネオサむタマ垂が揺れる倜。監獄島スガモ重犯眪刑務所に、䞀基の冷凍コンテナが墜萜した。その䞭に収容されおいたのは、生䜓兵噚補造䌚瀟ペロシ・バむオサむバネティカが秘密裏に開発を進めおいた、史䞊最悪のバむオ兵噚「カンれンタむ」 隙に乗じお脱獄を詊みる囚人。カンれンタむの完党芚醒を目論む瀟員。ファミリヌを守るべく立ち向かう䞭幎ダクザ。鎮圧に乗り出す譊官。人食いモンスタヌの巣ず化した監獄で、無数の決死行が亀錯する血みどろの生存闘争が、今、始たる。

 これは「停物」たちが、死の間際の倢の䞭で、「本物」になっお死んでゆく物語です。デッドコピヌから生たれるオリゞナル。リフレむンの果おに生じる新芏性。゚ラヌが䟋倖ずなっお打ち砎る閉塞。「停物」が「本物」になる瞬間は、忍殺においお䜕床も語られおきた普遍的な呜題です。忍殺は、「人は䞀瞬で倉われる」ず断蚀し぀぀も、倉われぬたたに蚪れる倏枯れの停滞を起こりうる未来ずしお描く小説であり、倉われないたたの欠陥補品が、倉わらないたたに救われるこずはありたせん。しかし、䞻芳ず蚀う幻の䞭で、死の間際ずいう特異条件䞋で、停物たちは玛い物の救枈を信じ蟌むこずができたす。それはたぎれもなく、「たっかなおずぎばなし」を倢芋るこずであり、『少女䞍十分』を語るこずでもであるでしょう。

 この゚ピ゜ヌドには本線で掻躍するメむンキャラクタヌはほが登堎したせん。䞻圹を務めるのは、どこかうだ぀の䞊がらない、しょうもない脇圹ばかりです。むンチキ日本語を話す胡散臭い倖囜人犯眪者ラッキヌ・ゞェむク。ダクザもどきの若者を自分の家族だず思い蟌む䞭幎ダクザ、ダマヒロ。䜏宅ロヌンの返枈に困りしけた金儲けに執心するダブ医者カブセ。愛瀟粟神を暎走させ公私の境界を倱くした瀟員コヌゟ。はみ出し者の暎力刑事の集たりネオサむタマ垂譊49課。雁銖をずらりを揃えたのは、停物、玛い物、劣化品、出来損ない。お話に䞭心にいるモンスタヌ・カンれンタむですらもが、登堎時点では未成熟な幌䜓であり、「完党䜓」ではなく、カタカナ衚蚘の「カンれンタむ」なのです。筋の通った䞭身を持たず、ゆえに狂人にすらなり切れない圌らは、降っおわいた灜厄の前に右埀巊埀し、今この瞬間を生き延びるために、「本物」の芚悟を匷いられたす。倉われぬはずの人間が、生き延びるために無理矢理自らを捻じ曲げ、絶叫し、「本物」になっおゆくその有様は、たさに生存闘争ずしか呌ぶしかない凄たじきものであり、その反動を受けるように、圌らはいずもたやすく死んでゆきたす。本゚ピ゜ヌドは、それらの熱いドラマが互いに圱響しながら事態を転がしおゆく、グランドホテル型匏の矀像劇ずなっおおり、ハマる人は、ずこずんハマる内容ず蚀えるでしょう。ちなみに、私が忍殺で䞀番奜きな゚ピ゜ヌドはこれです。是非読んで欲しいです。

 「たっかなおずぎばなし」ずいう芳点から語るならば、「ニヌド・フォヌ・アナザヌ・クルセむド」もおすすめですnote䞊でのみ公開されおいる有料マガゞン内の䜜品ですが、珟圚、マガゞンの詊読版ずしお党線が公開されおいたす。本䜜はニンゞャ狩りを生業ずする狂人・ダクザ倩狗が䞻圹を務めるシリヌズの䞀䜜であり、「ダクザ倩狗が損埗勘定から起こした行動を、死の間際のダクザが尊ぶべき聖なる行為ず錯芚し、停りの救枈に包たれお満足げに死んでゆく」ずいう奇怪なフォヌマットを持っお展開されたす。おもしろいずころは、ダクザ倩狗は狂人なので、圌本人も自分の行動を「聖戊士の闘い」だず認識しおいるずころです。぀たり、客芳的な事実をすっずばし、救う偎ず救われる偎が圌岞で手を繋いで共感しおいるわけですね。この、狂人同士の共感ずそれが生む救枈ずでも読むべきコンセプトは、『悲痛䌝』から『悲録䌝』たでの、空々少幎が四囜ゲヌム線で玡いだ物語ず比范しお読むずおもしろいかもしれたせん。 

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蟻村深月ナむト・゚ニグマティック・ナむト

【あらすじ】
 キョヌト共和囜の進孊校に通う少幎ナブナガ・レむゞは、䞖界の党おに倊んでいた。カロりシした父芪。気のふれた母芪。遺産を食いあさる芪族。クラスメヌトは教垫に远埓し、薄ら笑いで萜䌍者を嘲っおいる。圌が唯䞀奜むハむクですらもが、金ず暩力を持぀人間の読んだ句ばかりが評䟡され、正しい䟡倀が認められるこずは決しおない。そんな圌にある日届いたのは、そのハむクを高く評䟡するず蚀う䞀通のIRCメッセヌゞだった  。䞖界を呪う少幎の前に垂らされた蜘蛛の糞の䞊で埅぀のは、救枈か、それずも。

 この゚ピ゜ヌドは、『冷たい校舎の時は止たる』ずのマリアヌゞュず蚀えるでしょう。狭い芖野で埗た少ない情報を元に、小さな密宀の䞭で足りない蚀葉によっおもたらされたハッピヌ゚ンドは、䜕ずグロテスクで、歪んでいるこずでしょう。それは倧人の鑑賞に耐えられるものではありたせん。そこには、知識がなく経隓もなく、ただただ幌皚で未成熟な䞀方的な䞖界認識説明だけがありたす。しかし、それは間違いなく、誰にずっおの真実でもありたした。客芳性を持った正しさはなくずも、過去、その瞬間の少幎少女にずっおは、たぎれもなく本気で぀かみ取ったず思った「正しさ」です。その間違いは吊定するべきものではなく、黙っお抱きしめるべきものでしょう。過去、それがさも正しいかのように物語にオチを぀け、ある皮のグロテスクを生んだずしおも、時間の流れはその芖野をゆっくりず広げ、やがお『ロヌドムヌビヌ』で語られたような新たな䞖界の土壌ずなるはずです。

 ナブナガ・レむゞは、第二郚に登堎する悪の組織ザむバツの構成員であり、いわゆる「敵ニンゞャ」の䞀人です。初登堎時、ただの未熟な少幎ニンゞャに過ぎなかった圌は、ニンゞャスレむダヌずの戊いを生き延び、物語の䞭で成長を遂げおゆきたす。この゚ピ゜ヌドは、圌がニンゞャになるたでの顛末を語ったいわゆる「過去線」にあたりたす。そこで描かれたもの、それはニンゞャずいう存圚ぞの無邪気なたでの信仰でした。未熟な圌が信じ蟌んでいた「ニンゞャになれば党郚思い通りになっお、うたくゆく」ずいうバカげた倢想は、本゚ピ゜ヌド内限定で、匷く匷く肯定され、圌の冷たい校舎の時を停めおしたいたす。「ナむト・゚ニグマティック・ナむト」は、たさに、その䞀瞬の間だけに存圚する「幻のハッピヌ゚ンド」を切り取った嘘であり、それは、本線の䞭で、幟床ずなく螏みにじられ、吊定されおゆくこずなりたす。

 ナブナガ・レむゞは成長するニンゞャです。圌は幟倚の挫折ず出䌚いを繰り返し、ただの偶然に過ぎなかったハッピヌ゚ンドを、再解釈し、しかし、決しお吊定するこずなく、未来に向けおカラテを奮いたす。その物語は、『冷たい校舎の時は止たる』から近䜜に至るたでの、蟻村䜜品の倉遷ず重なり合う郚分が倚々ありたす。芖野の拡倧、他者の芖点の意識、時間がもたらす融和、あるいは劥協、それでいお、決しおあの頃を吊定はしない優しさ。今回メむンに取り䞊げたのは「ナむト・゚ニグマティック・ナむト」のみでしたが、もしこれで圌に興味をもったなら、第二郚、第䞉郚ず読み進み、圌の成長譚の結末を芋届けお欲しいずころです。珟圚、twitter連茉されおいるのは、第䞀郚第䞉郚の十幎埌の時系列である「AOM゚むゞ・オブ・マッポヌカリプス」シリヌズであり、そこには十幎埌の倧人になったナブナガ・レむゞも登堎したす。忍殺は基本的に、メむンキャラクタヌたちに「綺麗な幕匕き」を甚意するこずはありたせん。生き延びたものは、人生の続く限り、舞台の䞊に匕きずり䞊げられ、䜕らかの苊闘を仕入れられたす。死ぬずきは、テヌマを解題するための駒ずしおではなく、ただの生きた人間ずしおさっくりず死んでしたいたす。閉じられない物語は、過去の物語をちゃぶ台返しし、台無しにするこずもあるでしょう。しかし、ナブナガ・レむゞずいうキャラクタヌは、倧人になっお、それが独りよがりな物語だずしっおもなお、今なお未熟な芖点に寄り添い、新たな『冷たい校舎』を『かがみの孀城』のように語るこずができるキャラクタヌなのです。

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 以䞊、八人のメフィスト賞䜜家にひもづける圢で、八本の゚ピ゜ヌドの玹介を行いたした。本テキストは蚀うたでもなく私の読解に根差したものであり、実際に読んでみたら倚々「それは違うよ」が生じるこずでしょう。それを芋぀けだし、自分だけの読曞を実珟するためにも、是非、『ニンゞャスレむダヌ』に觊れお頂けるず嬉しいです。十幎間、ファンを惹き぀け続けた連茉の厚みは䌊達ではありたせん。めちゃくちゃおもしろいよ