渡り鳥とアナスターシャ
アナスターシャの歌詞考察リクエストをいただきました。
とはいえ、メンバーシップ限定ですでに歌詞考察はやっているので、この内容も踏まえつつ、新たな視点で書いていければと思います。
メンバーシップが有料なのでハードルも高いかと思いますが、初月無料にしているのでお試し感覚でどうぞ。
とはいえ、メンバーシップをやっている理由は、ハードルを高くすることでよりこじつけ多め、より熱量高めで書きたいからなので、ほどほどが助かります。
限定記事は特に自分向けなので、それに対して冷めた意見言われると悲しいですからね。メンバーシップに入ってくださっている方からであれば、どんな意見も有り難く頂戴できます。予防線です。
岬の先を
ロシアの貨物が
ゆっくりと通り過ぎてく
そのコンテナに
何を乗せるのか?
夢はどこへ向かうのだろう
アナスターシャはロシア語。
この曲は別れの歌で、ロシアが好きな佐々木琴子の卒業も重なっている。
最後の2期生曲になった「ゆっくりと咲く花」。アナスターシャはキク科の花である「アナスタシア」のロシア語読みで、キク科の花はいわゆるスパイダー咲きという咲き方で、一気に開花する花と比べて、「ゆっくりと咲く」んです。
2期生あてがきであるのは間違いない。
アナスターシャとゆっくりと咲く花を重ねて考える場合、花=夢。
「ゆっくりと通り過ぎてく」「夢はどこへ向かうのだろう」というのも重なります。
その上空を旋回してる
たった一羽の渡り鳥よ
何度陽が沈み 何度昇れば
遥か彼方の大陸に辿り着く?
渡り鳥については、「空扉」考察でも書きました。
新しい世界、ここではないどこかに想いを馳せる歌で出て来がちの「渡り鳥」は、歌詞の主人公が飛べないからこそ出て来ています。
「空扉」は、空の向こうにあるはずの扉に今は届かないから、渡り鳥にはどんな景色が見えるのだろうと思う。
「遥かなるブータン」は、山の向こうにある愛に溢れた国の様子を渡り鳥に聞こうとしている。
「海流の島よ」は特に重要で、この曲だけ渡り鳥は飛んでいない。
どこかの渡り鳥が
羽根を休めてる
その止まり木
誰かが待ってること
ずっと信じていれば
つらくない
「海流の島よ」は2期生が加入前の曲であり、ラストが「君のために花を咲かすか?」で終わります。
遠い異国の地で
流した
ガラスの瓶の手紙と
花のタネ
花のタネも出てくる。
2期生は「ゆっくりと咲く花」なので、「海流の島よ」は2期生が花を咲かせる日を待っている。
渡り鳥もそれを待っているとしたら、アナスターシャに出てくる渡り鳥も同じ鳥かもしれない。
遥か彼方の大陸に向けて進む貨物線の上空を旋回する渡り鳥。
ごめんアナスターシャ
約束を守れずに…
あの夜の僕には
勇気がなかった
ごめんアナスターシャ
君はまだ若すぎて
止められなかった
愛すことのその重さ
背負えなかった僕さ
「ごめん」が「アナスターシャ」に向けられているとするなら、「僕」は「アナスターシャ」に対して、約束を守れなかったことについて謝っている。
君=2期生と仮定してみます。
さらにここに出てくる「約束」が、「海流の島よ」ラストから「君のために花を咲かせること」だとしましょう。
風にも吹かれたし 雨にも打たれた
日陰にだって いつしか花は咲くんだ
ゆっくりと咲く花は、2期生が実際に咲かせた花です。
この花は日陰に咲いた。しかし、アナスタシアの栽培方法は「戸外の日当たりと風通しのいい場所で育てる」。
2期生の堀未央奈がセンターの「バレッタ」ではこのような歌詞があります。
バレッタ
風の中
踊った髪を手で押さえ
バレッタ
太陽が
ああ眩しそうに
目を逸らしたのは
君だ
風は吹いているが、太陽は目を逸らしている。
太陽が目を逸らしたから、アナスタシアは日が当たらず、花を咲かせることができなかった。
ただ、2期生は自らの力で立ち上がれる人たちなので、日陰でも自分たちの花を咲かせることができた。
となると、アナスターシャに対して謝っている「僕」は、バレッタにおける太陽であり、加入間も無くセンターに抜擢された堀を受け入れることができなかった乃木坂。
2期生という変化の象徴をまだ受け入れられなかったかつての乃木坂。
あの頃は勇気がなかったけれど、「空扉」では「勇気があるとわかって欲しい」という歌詞があるように、後に乃木坂は変化することを恐れなくなります。
「勇気がなかった」から、変化を受け入れられなかった過去を思い返しているのがサビの歌詞。
気になるのは、「愛すことのその重さ 背負えなかった」の箇所。
乃木坂第2部において、変化を受け入れられるようになるために必要だったのは、自分を愛することでした。
自分を愛することができなかったから、変わることが怖いと思ってしまう。
2期生と一緒に、新しい乃木坂になることを恐れてしまったんです。
5期生は2期生のオマージュになっている。
太陽が目を逸らした堀未央奈のサイリウムカラーがオレンジで、太陽から目を逸らした中西アルノのサイリウムカラーはオレンジの反対色であるターコイズと水色。
太陽に手を伸ばして立ち上がった寺田蘭世、仲間に手を伸ばして太陽の下に出た井上和。ふたりのサイリウムカラーは同じ赤白の組み合わせです。
2期生がいた頃の乃木坂は、ほとんどの2期生がアンダーで1期生を中心にした選抜でしたが、今の乃木坂はご存知の通り、選抜メンバーの大半は5期生です。
Same numbersでデジタル時計が出て来ましたが、デジタル時計の2をひっくり返すと5になります。
アナスターシャで「君」は異国へと旅立ちます。その異国がロシアだとするなら、ロシアへ旅立って別れたのに対して、5期生の岡本姫奈がロシアに行くのをやめて乃木坂に加入したのも運命的。
僕の教科書に
走り書きをされた
知らない街のアドレス
もし逸れたら
ここで会おうと
君は未来信じていたんだね
2番からは1番の「君」の視点ではないかと思っています。
未来を信じて、教科書に走り書きをした「君」が1番の「僕」。
「僕」は1番で若過ぎた「君」です。
秋元康の歌詞でよくある視点の入れ替えですね。
気になるのは、未来に会おうと約束している「知らない街」。
この「知らない街」って、最近出てきましたよね。
ネーブルオレンジ なぜに握りしめて
僕は知らない街へ来たのか?
この香りに惹かれ どこかで君が
気づいてくれたなら あの頃を語り合おう
逸れても、未来で会える「知らない街」。
これ、乃木坂は卒業しても乃木坂という考え方と似ている。
乃木坂が最終的にたどり着くのは乃木坂であり、知らない街は乃木坂に帰るまでに遠回りしている途中の街なので、実際に会う場所ではない。
ではなぜアナスターシャでは「知らない街」で会おうとしているのか。
これは単純に「僕」と「君」がどちらも未熟だからではないかと思っています。
勇気がなかったり、若過ぎたり。
今この手にはチケットがある
国境越えたリグレットよ
何度夢を見て 何度覚めれば
胸の痛みは跡形さえなくなるの?
2番の「僕」視点なので、国境を越えるためのチケットを持っている。
1番では「何度陽が沈み何度昇れば」、2番では「何度夢を見て何度覚めれば」。
どちらも時間の経過を表していますが、日没と夜明けは乃木坂の変化を表しがち。サヨナラの意味とか、僕たちのサヨナラとか、夜明けまで強がらなくてもいいとか。
夢を見て、覚めればは、これも日時の経過でもいけるけれど、「それまでの猶予」ではこうあります。
どんな夢を見ていても
いつか必ず 覚める
この歌については別記事で考察していますので、よかったらこちらをどうぞ。
この曲は「大人になったら夢は見られない」と諦めていた人が、大人になっても夢を見られるようになる歌。
夢を見るのに対して、「覚める」は諦め。
夢と、現実を表している。
夢と現実を知って、胸の痛みはなくなるのか。
2期生の伊藤かりんが最後のコンサートで歌ったこの曲とよく似ている。
夢と現実の
両方を知って
落胆に慣れながら
逞しく生きるのが人生だ
アイドルに憧れていたセンターの高山一実もそうですが、伊藤かりんにもかなりマッチする。
落胆に慣れ、逞しく生きる。胸の痛みが跡形もなくなる。
リグレットは「後悔」。
後悔は、「君」と別れてしまったことに対してでしょう。
いつかアナスターシャ
悲しみを訪ねよう
目に浮かぶ面影
心の迷路を…
いつかアナスターシャ
埋められぬ過ちの
傷口辿って
愛されてたその意味に
苦しむべきだと思う
「いつか」アナスターシャ。
1番は「ごめん」で、2番は「いつか」。
ここは、アナスターシャに対して「悲しみを訪ねよう」と言っているわけではなく、「いつかアナスターシャ」ということかも。
1番のアナスターシャは太陽に目を逸らされ、咲かなかった花。だから謝っている。
この曲のあと、2期生は日陰でも花を咲かせます。それが「ゆっくりと咲く花」です。
アナスターシャはゆっくりと咲く花とは別の花とすると、「いつかアナスターシャ」は、いつか、咲かせられなかった花が咲くことを歌っているのかもしれない。
「埋められぬ過ち」はやはり変化を受け入れられず、目を逸らしてしまった過去ではないかと思います。
ということは、このサビの部分は、1番の「僕」であり、乃木坂視点。
2期生が太陽に手を伸ばして立ち上がったのは、乃木坂を愛していたからだと思っています。
愛されていながら、目を逸らしてしまったという過ち。
ごめんアナスターシャ
約束を守れずに…
あの夜の僕には
勇気がなかった
ごめんアナスターシャ
君はまだ若すぎて
止められなかった
愛すことのその重さ
背負えなかった僕さ
ラスサビは1サビと同じ歌詞。
最初は乃木坂から2期生への謝罪として読みました。
2番ではお互いの後悔が見えてきて、それを踏まえてのラスサビなので、ちょっと違う目線にしてみます。
ここまでの歌詞で、僕はそれぞれのブロックごとにどちらの視点かというところに着目してきましたが、実は割とどの視点でも問題ないんです。
アナスターシャは2期生が咲かせられなかった花であり、2期生が咲かせたゆっくりと咲く花とは別の花とするなら、ここでの「ごめん」は、2期生から、叶えられなかった自身の夢に対しての謝罪でもいいのかも。
若すぎる夢に向き合う勇気がなかったことを歌っている。
乃木坂が自分を愛せずに変化を受け入れられなかったように、2期生もまた自分を愛せていなかったのかもしれない。
前述の通り、5期生は2期生のオマージュ的な側面がある。
5期生の「心にもないこと」のラストに出てくる花が何の花かをAIで調べてもらったところ、中にキク科の花がありました。
5期生は2期生が咲かせられなかった花を咲かせられるのかもしれない。
ところでここからは完全に余談ですが、心にもないことのラストの花束の花言葉も調べてもらったら、あまりに5期生の物語に合い過ぎて震えました。
紫のバラ
花言葉は、誇り、気品、尊敬、神秘、上品。
紫のアスター
追憶、変化、信じる心、思い出。
紫のカーネーション
誇り、美しい仕草。
ピンクのスプレーローズ、ストック
スプレーローズは、温かい心、包容力、愛情。
ストックは、永遠の美、見つめる未来、思いやり。
かすみ草
清らかな心、無邪気、親切、感謝。
スターチス
変わらぬ心、永遠、途絶えぬ記憶。
誇りとか美しい仕草とか、清らかな心とか感謝とかは乃木坂的。
永遠、変化、変わらぬ心、追憶とかは5期生の物語っぽい。
AIって便利ですね。
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