休み明け初日から、100点で戻らなくていい
休み明けの朝。
パソコンを開くと、メールが溜まっている。
チャットも増えている。
予定表には会議が並んでいる。
部下から相談が来る。
取引先からも連絡が入る。
休みは終わった。
だから、いつもの自分に戻らなければならない。
管理職なら、なおさらそう思いやすい。
自分が動かなければ、チームも動かない。
遅れを取り戻さなければ。
部下にも切り替えてもらわなければ。
そうやって、初日から一気にアクセルを踏み込む。
でも、少し考えてみたい。
休み明け初日の役割は、本当に「成果を最大化すること」なのだろうか。
人は、スイッチのようには切り替わらない
休暇中、頭は仕事から少し離れていた。
毎日の判断。
人との調整。
数字。
案件の文脈。
部下の状況。
細かな優先順位。
それらを、休み明けの朝に一瞬ですべて読み込み直せるわけではない。
自分では「頭が回っていない」と感じるかもしれない。
でも実際には、仕事の文脈を思い出し、もう一度つなぎ直している途中なのだと思う。
特に管理職は、自分の再起動だけでは終わらない。
チーム全体の再起動も同時に求められる。
誰がどこまで進んでいたか。
何が止まっているか。
誰が困っているか。
何を今日やるのか。
自分の頭を仕事へ戻しながら、周囲の状態まで見なければならない。
それなら、初日に100%で動けないことの方が自然なのかもしれない。
全部処理する前に、全部を見る
休み明けにやりがちなのは、目の前にあるものから片づけ始めることだ。
メールを上から返す。
チャットに反応する。
会議に入る。
相談された順に対応する。
でも、最初に必要なのは、処理ではなく俯瞰かもしれない。
このメールは今日返す必要があるのか。
この案件は午後でもいいのか。
これは自分がやるべきなのか。
誰かに任せられないか。
すでに解決している話はないか。
全部を片づける前に、一度全部を見る。
それだけで、初日の負荷は変わる。
休み明けは、仕事量が増えているのではなく、「仕事が一気に見える」ことで圧倒されることもある。
だから、最初に分類する。
緊急。
重要。
後でよい。
任せる。
やらなくてよい。
処理能力を上げる前に、処理しなくていいものを減らす。
それも立派な仕事だと思う。
今日やらないことを決める
休み明けは、「何をやるか」ばかり考えてしまう。
でも、初日だからこそ必要なのは、「今日はやらないこと」を決めることかもしれない。
今日中に返さなくてよいメール。
明日確認すればよい資料。
今週でよい打ち合わせ。
自分が持たなくてよい相談。
やらないことを決めるのは、怠けることではない。
優先順位をつくることだ。
全部を今日に詰め込めば、かえって重要な仕事がぼやける。
特に管理職は、自分だけでなくチームの優先順位も整える役割がある。
「まず今日は、この3つでいこう」
それだけでも十分な場合がある。
休み明けに必要なのは、勢いより順番なのかもしれない。
人を動かす前に、人の状態を見る
部下の動きが鈍い。
休み前の進捗を忘れている。
返事が遅い。
そんなとき、
「休みは終わったんだから、切り替えよう」
と言いたくなることがある。
もちろん、仕事は始まっている。
いつまでも休暇モードでよいわけではない。
ただ、人は同じ速度で切り替わるわけではない。
「どこまでやっていたっけ」
「今、何が一番詰まっている」
「今日の優先は何にしようか」
そこから始めてもいい。
部下を動かす前に、今どこにいるかを見る。
元気づける必要もない。
無理に場を明るくしなくてもいい。
全員の調子を上げることまで、管理職の仕事ではない。
ただ、詰まりを見つける。
迷っている人がいれば、入口をつくる。
それだけでも、チームは少しずつ戻っていく。
「70%しかできなかった」をどう見るか
午前中が終わって、
思ったより仕事が進んでいない。
そんなこともある。
メールも残っている。
資料も終わっていない。
チームもまだ本調子ではない。
そこで、
「こんなに休んだのに、全然戻っていない」
と自分を責めたくなる。
でも、本当に70%しかできなかったのだろうか。
状況を確認した。
優先順位をつけた。
部下の詰まりを把握した。
止まっていた案件をつなぎ直した。
明日から進める準備をした。
それなら、成果として見えにくいだけで、再始動の仕事はしている。
再始動には、再始動の仕事がある。
すぐに通常運転へ戻ることだけが、仕事ではない。
初日の3つだけでいい
休み明け初日に、私なら三つだけ意識したい。
一つ目。
全部処理する前に、全部を見る。
二つ目。
今日やらなくていいことを決める。
三つ目。
人を動かす前に、人の状態を見る。
これだけでも、明日の入口はつくれる。
初日から成果を最大化しなくていい。
今日の仕事が、明日につながる状態になっていればいい。
管理職は、自分にも部下にも高い基準を求めやすい。
だからこそ、初日くらいは「戻る途中」を許してもいいのだと思う。
私自身も、100点で戻ろうとしていないだろうか
休んだのだから、元気でなければならない。
管理職なのだから、切り替えなければならない。
部下より先に動かなければならない。
そんな思い込みを、私自身も持っていないだろうか。
休暇は、機械の充電ではない。
何日休んだから、何%回復するというものでもない。
人には、再び仕事へつながるための時間がある。
その時間を無駄と考えないことも、働き続けるためには必要なのだと思う。
休み明け初日は、仕事を取り戻す日ではなく、仕事とのつながりを取り戻す日でもいい。
今日100点でなくてもいい。
明日、もう少し進める状態をつくれたなら、それも十分に仕事である。
今日、成果を出すことではなく、明日につなぐためにやっておくべきことは何だろう。
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