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「伴奏ピアノは、ふたり分を頑張る。(7月21日)」

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「伴奏ピアニストのお仕事。」


ピアノという楽器は、舞台の上、終始おひとり様で演じ切るソロ・リサイタルや、例えばヴァイオリンやフルート、さらには声楽家さん、 
彼らソリストが艶やかに奏でるメロディーに寄り添い盛り立ててゆく『伴奏ピアニスト』としてのお仕事もこなす。

お相手のソリストさんが、これまでに共演してきたお知り合いさん、

さらには相手のちょっとした癖やスタイルの隅々まで分かり合えた旧知の仲なら、最初の企画段階、キックオフ(打ち合わせ)さえ、抜かりなくキメテおけば、

あとは本番前の音合わせでの微調整を経て、当日の午前の総練習(ゲネプロ)を過ごして、午後の本番へとスムースに流せる。


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ところがお互いに初対面だと、思いの外に厄介で、気を使う。

客席から見ている分は、同じステージに立ち、気持ちを合わせて心地よく音楽しているように見えていても、そのじつは薄氷を踏むが如くのことも稀にある。

特にソリストがデビュー間も無くで、自分の面倒を見るだけで精一杯な時は、ピアノは伴奏とはいえ、独奏楽器を押したり引いたり、たまに楽譜から落ちそうになるのをフォローせねばならなくなる。 

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「伴奏ピアニストは忙しい。」


あなたがもし、ソリストと伴奏ピアノの楽譜をご覧になる機会があれば、それぞれを見比べてみてほしい。 

ソリストの楽譜は、自分のメロディーのみの1段で描かれてあるのに対して、
ピアノは左手と右手の両の手を使って奏でるので、楽譜は左右それぞれ一段ずつ、計2段で記されている。

そして、合奏などでピアノがソリストを伴奏する時には、もともと2段のビアノの譜面に、"ソリストの1段"が足し込まれて、合奏時には、3段の楽譜を相手にしなくてはいけなくなる。 

すると、どうなるか。
情報量が増えて、音楽が見開き一枚に収まらなくなる。あふれた分は、次のページに回るから、それを追いかけて、楽譜のページを進める「譜めくり」が発生する。 
 
それでなくとも、ピアニストの両手は鍵盤の上、白と黒の鍵(キー)を追いかけてるし、足ではペダルを操作している。
 
さらにはソリストの相手もしなくては成り立たない合奏の舞台で、
「自力で楽譜を次のページへと進める」のは、
 
どこからどうみても"オーバーワーク"だと思うのだが、どうだろう。
 

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『譜めくり係』とは、何をしているのか。 
 

(譜めくり係とのコミュニケーションは、「アイコンタクト」と「笑顔」で。)


こういったアンサンブル(合奏)の舞台は、客席から見た時、手前からソリスト、少し離れて伴奏ピアニスト。さらにその奥には『譜めくり係』の3人が見える。

演奏中のソリストは、客席側に正面を向けている。その後ろに陣取る伴奏ピアニストから見ると、背中向きとなる。
 
互いに向き合っているなら、目は口ほどに物を言う"アイコンタクト"で意思の疎通を図るのだが、お客さまを入れて臨む本番の舞台では、そうはいかない。 
 
「ピアニストは、ソリストの背後から 
"阿吽の呼吸"で、アンサンブルを奏でる。」 


先ほども言ったが、ピアニストは、両手は鍵盤に、そして足でペダルを操作している。その上に、ソリストと協調をしようとすると、とても自分の譜面をめくるどころではなくなる。

だから、ピアニストに代わって、目の前の楽譜をめくることを一任される『譜めくり係』の登場となる。

しかしそうなると、今度は伴奏ピアニストにとって、ページが進むのが「早すぎず遅すぎず」の"心地の良い"タイミングで、ページを進めてもらいたいのが心情である。

そのために、譜めくり係からのアイコンタクトで、『そろそろページを進めますよ。』に応じて、譜めくり係へ、「はい。どうぞ!」と合図し、無事に楽譜を次のページへと送ってもらう。 

 
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「三人羽織の伴奏ピアニスト。」  
 

(練習では、何の問題もなかった事が、本番の緊張感で、思わぬ事故を招く。まさに『本番の舞台には魔物が住んでいる、のである。)


ソリストと自分の面倒をみつつ、さらに『譜めくり係』さんとのコミニュケーションも滞りなくする。

成り行き、演奏会が終わるまで、ピアニストは二人羽織どころか、「三人羽織」を演じることになる。

前述した通り、ソリストにも初々しい頃があるように、『伴奏ピアニスト』のお仕事に不慣れだった頃の私も、相当に変な汗をかいた。

おかげさまで、今では堂々とした振る舞いを見せられるようになってきた。

でも、初心忘るべからず。

不慣れなソリストが苦労している姿を見るたびに、心で「頑張って」とyellを送るとともに、わが身の嬉し恥ずかしを思い出しているのである。

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「生きてるとホント、色々ある。」 


(見た目は良くないけど、楽譜の上で迷子にならない唯一の方法は、ページを繋げて、常に目線が前に進むだけにするように製本してしまうこと。)


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余談。音楽は時間の経過とともに未来へ流れて行くが、時に楽譜の上では、今までたどってきた道を、大きく返して『振り出し』に戻るようにとの作曲家の注文がある。

音楽の専門用語では、「リピート記号」や、「ダ・カーポ」、さらには、「ダル・セーニョ」といって、指示された"任意の場所"まで戻るような指示書き、まである。💦

こういった場合、
付箋などで戻り先へ"お印"を置いていても、本番の魔物のせいで、何かの加減で戻り損なうことがある。

こう言った時は、一瞬で頭の中が真っ白。
そのような大事故を起こすくらいなら、
いっそのこと本番で「楽譜を戻すこと」自体を最初から諦めてしまうのが肝要。

では、どうするか?

戻り先の楽譜をあらかじめコピーして後ろに繋ぎ合わせる、「製本」という工夫をする。
そうすれば、"時の流れに身をまかせ"、ただ前から後ろへと素直にめくるだけでよくなる。

「生きてるとホント、色々ある。」

今日も、良い一日になりますように。
(🎹MIYABI)

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