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チャンバラの先に求めること

――近接武器ゲーム『ウォリヘル』を始めて、見えてきたこと

どうも、サトミックです。

近接武器で戦うイベント「WARRIORS HELL(ウォリヘル)」を始めて、もうすぐ第3回を迎えます。


https://twipla.jp/events/715848
2026年10月4日に開催する今回のウォリヘルは、これまでとは少し方向性を変えるつもりでいる。

その話をする前に、そもそも僕がなぜ近接武器のイベントを始めることになったのか、少し振り返ってみたい。

というのも、ウォリヘルは最初から「近接武器でチャンバラをしたい」という発想で始まったイベントではないからだ。


MADサバと近接武器

第二回MADサバ、バーサーカー戦開始前の様子

僕が主催しているMADサバには、当初から近接武器を使えるルールが存在していた。

ただ、ここで一つ公平に書いておきたい。

MADサバが近接武器ゲームカルチャーの始まりだったわけではない。

MADサバ以前から、ダイソーなどで販売されていたチャンバラブレードを使った貸切など、規模は小さくても近接武器で遊ぶ文化はすでに存在していた。

その後、海外製のLARP用武器が日本でもユーザー増加に伴い使用数が増えるようになり、先行して活動していたLARPイベンターたちも、それらを使ったイベントを作り続け、様々な軸で遊び方を広げていった。

現在の近接武器ゲームのシーンがあるのは、そうした先達者たちの積み重ねがあったからこそだと思っている。

MADサバも、ある種その流れの中にいたイベントの一つだった。

一方で、MADサバはメディアなどに取り上げられたことで、

「近接武器が使える珍しいサバゲーイベント」

が先行して知られるようになった側面もあった。

すると、参加者が自分で近接武器を作るようになった。

100円均一やホームセンターなどで材料を買ってきて、自分だけの剣や斧、ハンマーなどを作る。

これは、「アイテムを通して世界観を表現する」MADサバらしい光景だったと思う。

ただ、安全面についてかなり神経を使うことになった。

「この武器は大丈夫なのか?」

「この素材は危なくないか?」

「この形状なら使えるか?」

近接武器はプレイヤー同士の距離が近いぶん、扱い方ひとつで相手に怪我をさせてしまう可能性がある。

だから、近接武器についてはかなり厳しいレギュレーションを設定していた。(重量100g以下、切っ先まで芯材を入れない、材質の指定など)


なぜ、あえて厳しくしていたのか

ここには、少し裏話がある。

当初のMADサバは、今ほどルールやレギュレーションが整備されていなかった。

そして、イベントの「熱気」が先行していた。

盛り上がっている。

楽しい。

みんなが武器を持って戦っている。

そうなると、近接武器に慣れていない人でも、その場の勢いで武器を振ることがある。

もちろん誰かが悪いという話ではない。

ただ、本人に悪意がなくても、慣れていなければ危険な動きになってしまうことはある。

僕が恐れていたのは、

「イベントの熱気に、プレイヤーのリテラシーが追いつかないこと」

だった。

だから、あえて厳しいレギュレーションを維持していた。

これは近接武器を信用していなかったからではない。

正確には、

まだ「プレイヤーを信用して、強度の高い武器を使ってもらえる環境」ではなかった。

ということだった。


時間が経ち、環境が変わった

その後、年数がたち、近接武器を巡る一時期の熱狂は一定の定着とともに、落ち着いていった。

参加者の入れ替わりもあり、MADサバそのものも時間をかけて変化していった。

一見すると、これは盛り下がったようにも見える。

でも、その結果として残ったのは、

レギュレーションを守り、遊ぶ相手を尊重できる良識的な参加者たちだった。

これは近接武器だけの話ではない。

MADサバを長く続ける中で、イベントの遊び方や雰囲気を理解してくれる参加者が増えていった。

運営とプレイヤーの間にも、少しずつ信頼関係ができていった。

そして、近接武器についても、

「この人たちなら、もう少し強度のある武器を使っても大丈夫だろう」

と考えられるようになっていった。

つまり、MADサバのレギュレーションを変えられるようになった理由は、武器そのものの進化だけではない。

プレイヤーのリテラシーが上がり、運営との信頼関係ができたこと。

それが大きかった。


LARP用武器がもたらしたもの

EPIC ARMOURY製のLARP武器。ある程度のリアルさと安全性が両立してていい感じ。
エアーガンでいうと東京マルイ製のような品質感覚かな?LARP SHOP JAPANさんで購入。

その頃には、MADサバの外側でも近接武器を取り巻く環境が大きく変わっていた。

海外製のLARP用武器が日本でも手に入りやすくなり、先行して活動していたLARPイベンターたちによって、それらを使ったイベントも増えていった。

僕の周囲でも近接武器を使った貸切が複数立ち上がり、近接武器で遊ぶ文化そのものが多様化していった。

もちろん、どこからどこへ文化が移ったのかを明確に線引きできるような話ではない。

いろいろなイベントやプレイヤーが、それぞれの場所で試行錯誤してきた結果として、今の環境がある。

よく遊びに行くコンバットLARP系イベント「ダブルナイトストーリー」での一幕。
蜥蜴さんと対峙する著者。斧で剣撃をブロッキングしている。(やんじさん撮影)

僕自身も、その影響を受けた一人だった。

そして改めてLARP用武器を触ってみると、単に見た目のクオリティが高いだけではなく、

「受け」や「捌き」がしやすい。

という面白さがあった。

適切なルールと扱い方を前提にすれば、

攻撃を受ける。
受け流す。
構える。
間合いを取る。

そうした戦闘表現がしやすい。(と思う)

これは、世界観体験を重視することには大きなメリットだった。

近接武器を、単なる「敵を倒す道具」ではなく、戦闘を表現するための道具として使える可能性が見えてきたからだ。


「イベントで使っている」だけでは分からない

2023年開催のMADサバΓでの著者。
パワードスーツを着用し、銃弾や格闘攻撃を受け付けない前衛タンク的な敵キャラとして、
戦場の雰囲気を演出した。

ただ、そこで一つ問題があった。

僕自身が、近接武器を「イベントの一要素」として理解しているだけだったのだ。

ルールを作ることはできる。

安全性について考えることもできる。

でも、

実際に近接武器を持って戦う人間として、どこまで理解しているのか?

これは別の問題だった。

実際に武器を持って戦わなければ、

「この距離ではどう感じるのか」

「この武器はどう扱いやすいのか」

「受ける側はどう感じるのか」

といったことは分からない。

そこで僕自身も、他の近接武器イベントに参加するようになった。

そして、自分でも近接武器イベントを開催することにした。

それが、

WARRIORS HELL――ウォリヘルだった。


単なるチャンバライベントにはしたくなかった


ここには、ちょっとした「魂胆」があった。

ウォリヘルを、単純に

「みんなで安全にチャンバラしましょう!」

というイベントにするつもりはなかった。

それなら、すでに先行しているイベントがある。

流行っているものを、自分もやってみました。

それでは僕がやる意味がない。

もともと僕がやりたかったのは、映画『サルート・オブ・ザ・ジャガー』に登場する競技「ジャガー」を、現実のイベントとして安全に実装・検証することだった。

ただ、いきなり「ジャガーをやります」と言っても難しい。

まずは近接武器を安全に扱えるプレイヤーに遊んでもらう。

近接武器を使った戦闘そのものに慣れてもらう。

そして、実際にゲームとして成立する前例を作る。

そのために、

「近接武器イベント」というパッケージを先に作ってしまおう。

これが当時の僕の魂胆だった。


第1回、第2回を経て

結果として、ウォリヘルは成功した。

中にはウォリヘルだけでなく、「ジャガー」という競技そのものに興味を持ってくれる人もいた。

当初の目的だった、

「近接武器を使えるプレイヤーを増やし、実装の前例を作る」

というところまでは、ひとまず達成できたと思う。

そして数ヶ月後、第2回を開催した。

当初は、ウォリヘルを定例会のように、比較的高い頻度で開催することも考えていた。

ただ、第2回までのウォリヘルには、今振り返ると、まだバラエティゲームイベントを運営してきた感覚がかなり残っていた。


初回ウォリヘルの一幕。設置された祠を制圧するゲームにて拝む参加者。
敵に制圧された祠を破壊して、制圧を無効化されるシーン。「お前あの祠を壊したんか」


「今回はこのゲーム」

「次はこんな変わったゲーム」

「祠を巡って戦うゲーム」

というように、いろいろなバリエーションを用意していた。

もちろん、楽しい。好評だった。

でも、振り返ってみると、

楽しいけれど、コンセプト的には蛇足だったかも。

僕自身が「イベントなのだから、たくさんゲームを用意しなければ」という感覚から、まだ抜け出せていなかったのだと思う。

でも、面白かったから、また形を変えて使いたいね!


第3回から、目的を変える


2026年10月4日に開催する第3回ウォリヘルでは、ここを少し変える。

今回のテーマは、

「装備を着ることの意味」と「戦場を攻略すること」の関係性をゲーム的に整理する。

近接武器で戦うことそのものだけではなく、

その装備を持った自分が、どうやって戦場を攻略するのか。

そこまで体験してもらいたい。


午前中は、身体にルールを覚えてもらう

最初は定番の無限復活戦。
ただし、これはあくまでウォームアップ。

その後に三つ巴戦を行う。

部位ヒット制。

防具による耐久力の違い。

一発当たったから即退場、ではない。

今までのサバゲーとは少し違う感覚を、まず身体で覚えてもらう。

「この防具なら何発まで耐えられる?」

「この武器なら、どの距離で戦いやすい?」

「ここを狙われると厳しい」

そうしたことを、説明ではなく実際の戦闘を通して理解してもらう。


「ジャガー」は、ウォリヘルの原点

ジャガーでスカル(ボール)をゴールさせるプレイヤー。ゴールしたら「ジャガー!」「ジャガー!」「ジャガー!」と歓声が上がる。

ジャガーについては、ウォリヘルを語るうえで外せない。

映画『サルート・オブ・ザ・ジャガー』に登場する、架空の競技「ジャガー」。

これを安全に実装することは、そもそも僕がウォリヘルを始めた大きな理由の一つだった。

ジャガーは、単純なチャンバラとは少し違う。



武器を使って相手と戦いながら、同時に「ゲームとしての目的」を達成しなければならない。

そのため、単に武器を振るのが上手い個人が勝つわけではない。

味方との連携、自分の役割、そして刻々と変化する競技の状況。

それらを見ながら、

「ゲームの目的を達成するために、どう戦うか」

を考える必要がある。

ここが、僕がジャガーを面白いと思っているところだ。

ウォリヘルでは少人数のチーム戦として実装しているが、そこで求められる戦略性やチームワークは、今回の要塞攻略戦にも共通している。

「自分一人で戦う」「個人の武勇だけを求める」のではなく、「仲間とともに戦う」。

その感覚を身につけてもらうという意味でも、ジャガーはウォリヘルの中で重要なゲームだと思っている。

だから、ジャガーはウォリヘルを始めるための「きっかけ」だっただけではない。

今でもウォリヘルの主力コンテンツの一つだ。

そして、MADサバの世界観の中で、近接武器を使った競技を成立させるという意味でも大切なコンテンツだと思っている。

今回ももちろん、ジャガーはしっかり遊んでもらいたい。


午後は「要塞攻略戦」

今回、一番やってみたいのがこれだ。

ルールそのものはシンプル。

要塞にある攻略目標を、攻撃側が制圧する。

制圧したら、自分たちのフラッグを掲げる。

でも、体験してほしいのは制圧する瞬間だけではない。

その前にある、

「どうやって、この要塞を攻略する?」

という時間だ。

防衛側は、要塞周辺に布陣する。

そこで、

「大盾はどこに置く?」

「弓はどこから撃つ?」

「右翼は誰が守る?」

「この人は遊撃に回そう」

「突破されたら、後詰をどう動かす?」

と、チームで考える。

攻撃側も同じだ。

フィールドの端であれば、どこから攻めてもいい。

ならば、

「正面から行くか?」

「右から回るか?」

「左翼に戦力を集中させるか?」

「相手の大盾には誰を当てる?」

「損耗が激しそうなのはどこか?回復薬のヒーラーはどう判断してもらう?」

と考える。

戦闘が始まる前から、すでにゲームは始まっている。


そして、当然ながら計画通りにはいかない。

右翼が押される。

左翼が突破する。

思ったより防衛が固い。

味方の大盾が倒れる。

ヒーラーの回復が間に合わない。

そこで、

「遊撃部隊をどちらに回す?」
「右翼は一時撤退して回復するか?」

というような判断が生まれる。

最初に立てた作戦をそのまま実行するのではなく、戦況を見て判断する。

装備の特性を考える。

地形を見る。

相手の配置を見る。

仲間と相談する。

協力して連携を図る。

そして、また動く。

今回やりたいのは、そういう**「戦場を攻略するための思考」そのものを遊びにすること**だ。


僕が作りたかったのは、チャンバラの先にある光景だった


こうして振り返ると、ウォリヘルを始めた理由は少しずつ変わってきた。

最初は、ジャガーを実装するためだった。

そのために近接武器を使えるプレイヤーを増やしたかった。

でも実際にイベントをやってみると、別の面白さが見えてきた。

それは、

「武器を振ること」だけよりも、「その武器を持って戦場に立ったとき、何を目標に考えて戦うのか」そういうゲーム性の進化で実感する戦場体験。

ということだった。

剣を持っているなら、その役割がある。

大盾を持っているなら、その役割がある。

弓を持っているなら、その役割がある。

軽装なら、機動力を活かせる。

仲間と相談すれば、装備の組み合わせにも意味が生まれる。

そして地形があれば、

「どこから攻めるか」そのものがゲームになる。

だから、たぶん僕がウォリヘルを通して作りたかったのは、

「単に近接武器で戦えるイベント」ではなかったのかもしれない。

「近接武器を持った人間が、戦場で何を考え、どう動くのかを遊べるゲーム」

だったのだと思う。


「装備を着る」から、「装備で戦場を攻略する」へ

ウォリヘル3で導入される「防具ルール」

第3回のウォリヘルでは、そこを一段進めてみたい。

武器を選ぶ。

装備を着る。

仲間と作戦を考える。

戦場を見る。

そして、実際に戦う。

その一連の流れを、一つの体験として楽しんでもらう。

もちろん、これが完成形だとは思っていない。

実際に遊んでもらえば、また想定していなかった問題が出てくるだろうし、逆に自分では考えていなかった面白さが生まれるかもしれない。

そして、またルールを変える。

その繰り返しになると思う。

でも、そうやって実際に遊び、考え、修正していく。

それ自体が、僕にとってイベントを作る面白さなのだと思う。

ウォリヘルが、これからどんなゲームになっていくのか。

まずは10月4日の第3回で、その一歩を試してみたい。


最後に

ここまで書いてきたけれど、僕自身、近接武器を扱うプレイヤーとしてはまだまだ経験値が足りないと思っている。

戦士らしく身体を動かせているか。身体操作はできているか。状況を読んで動けているか。いわゆる「ファイトIQ」も、まだ低い。だから奥深い。

僕が究極的に目指しているのは、勝ち負けそのものや強さではなく、自分が納得できる解像度で「戦い」や「世界」を表現することだ。

そのためには、ウォリヘルだけでなく、殺陣や他のイベント、ゲーム制作やMADサバの運営など、様々な経験を通して、プレイヤーとしても、表現者としても、そして娯楽を作る側としても経験値を積んでいきたい。

チャンバラの先に何があるのか。

まだ僕自身も、その答えを探している途中です。ガンバルゾー!

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