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#わたしと東京_誰の価値にも縛られない東京

別れて五年も経ってから、彼から届いた一通の手紙。

「俺の人生から、あなたを消す」と書いてあった。

これが、ただの執念だったなら、私は「怖かった」で終わらせることができたと思う。

けれど彼は、それほど長い時間をかけなければ、私を消すことができなかった。そう考えたら、私は、彼をそこまで追い詰めてしまったという、重い罪悪感を、何十年も抱え続けることになった。


私は東京で生まれ育ち、「誰の価値にも縛られない」ことを、当たり前の呼吸のようにして生きてきた。

東京は、それを許す街だった。

どんな生き方も否定されない代わりに、誰にも守られない。

一方で彼は、田舎で生まれ、「世間の価値の中」に守られながら、育ってきた。

彼は、誰の価値にも縛られていない私に触れることで、自分を縛り付ける「世間の価値(重力)」から抜け出せると、感じていたのだと思う。

世の中に「東京×田舎」のカップルはたくさんいる。けれど多くは、「社会的なルール」という共通言語を持っている。それは、いわば「文明の中での関係」だ。

けれど、私と彼は、共通言語を持たなかった。彼はルールの中で自由になろうとしていて、私はルールの外で呼吸をしていた。

私にとって当たり前の「誰の価値にも縛られない」は、東京では呼吸のようなものだった。けれど彼にとっては、どこを歩いていいのかもわからない、足場のない世界だった。


彼のあの言葉、「俺の人生から、あなたを消す」は、拒絶ではなかった。「あなたがいる限り、俺は俺でいられない」という、彼の生存のための選択だった。

残酷なのは、私もまた、彼の生き方に憧れたことだ。

私は、自分の命を守るために「島(彼)」を捨て、彼は、自分の命を守るために「雪(私の在り方)」を消した。

どちらが悪いわけじゃない。ただ、決定的に違っていた。


東京の街は、今日も濁流となって私を包み込む。

その濁りさえも、私を拒まない。

私は、この濁流の中でしか、呼吸ができない。



#わたしと東京
#J-WAVE
#MY STORY TOKYO

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