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2024年 優れていた温泉宿10選【すべて一人泊可能な宿】

はじめに

あけましておめでとうございます。(3月)
1日が24時間しかなくてつらいぞ定期。

Twitter(自称X)では昨年末に配信済みだが、2023年に引き続き、昨年宿泊した温泉宿で特に優れていた10軒について振り返りたい。


2024年は1年を通して温泉宿44軒、45泊に訪れることができた。
なお、日帰り入浴はハードな湯めぐり旅をほとんど実施しなかったこともあり約110軒。立ち寄り1~2軒+即宿チェックインでダラダラ、のゆるい旅程が多かった。

実は「温泉経県値」は50泊した昨年より高い

前提

対象

筆者は温泉宿で食事をとることを好むため、昨年と同様、原則として1泊2食付で宿泊した温泉宿が対象である。
しかし、2024年については旅程の都合上朝食のみ、あるいは夕食のみ、とした滞在でも特に優れた宿が複数あった。したがって宿でなんらかの優れた食体験ができた宿はすべて対象としたい。

一方で、たくさんの優れた宿を紹介したいという思いから、昨年リストアップした宿は「殿堂入り」として対象除外とする。

2024年の殿堂入り温泉宿は以下4軒。いずれも素晴らしい滞在だった。
1. 新潟 駒の湯温泉 駒の湯山荘
2.
岐阜 新平湯温泉 奥飛騨百姓座敷の宿 藤屋
3.
熊本 弓ヶ浜温泉 大洞窟の宿 湯楽亭
4.
鹿児島 霧島湯之谷山荘

温泉宿に求めること

筆者が思う「優れた温泉宿」の基準については昨年の記事をご参照いただきたい。改めて、重視するポイントは以下の3点である。

  1. 温泉の質(特に湯の鮮度と香り)

  2. 食事および提供される酒の質・量(食事も香りが重要)

  3. 一人で宿泊しやすい宿かどうか

限られた予算で旅をするため、コストパフォーマンスの観点も重視する。
したがって1泊2食付1万円弱で泊まれる安価な宿と、1泊4-5万円超のハイクラス宿では求める水準が大きく異なる。

優れた温泉宿10選

昨年と同様、記載順は立地の上から順であって優れていた順ではない。
また、各情報については2024年宿泊時のものなので、現在は記載内容と異なる可能性がある場合にご留意いただきたい。
特に宿泊価格や週末一人泊の可否については流動性が大きいので。

なお、価格は宿泊時の元価格で、クーポン・ポイント値引額、酒や料理などの追加注文は含まないものである。

1. 北海道 ヌプリオンド温泉 小さなオーベルジュ てぃんくる

緯度がてぃんくる>ニャー助>TAITOだったため、つぶやきと順序を入れ変えている

情報

  • 2024年9月宿泊・初訪問

  • 平日泊 ¥21,500 ※土曜・祝日でも一人泊可

  • WEB予約(OTA)

特長

屈斜路湖畔の別荘分譲地に佇む小さなペンション。客室はわずか4室のみで、まさに大自然の中の隠れ家といった趣。
訪問日は平日で他の宿泊客もおらず、風の音やときおり聞こえる動物の声(たぶん鹿)以外は、完全な静けさに包まれていた。

なにせ住所からして「屈斜路原野」だ

温泉は各部屋に小さめの露天風呂が備えられている。
別荘地の居住者向けに供給されている貴重な源泉は、pH8.7のアルカリ硫酸塩泉湯温40℃弱のぬるめ提供で、仄かな芒硝香とつるすべ感が心地よい。
川湯温泉を筆頭に周囲に多く湧く刺激の強い湯とは異なり、クセがなく肌に優しい癒しの湯である。

宿のすぐそばに源泉タンクが置かれている
1.5~2名サイズの湯船の底から新鮮な源泉が投入されている
新しい温泉分析書が各部屋に掲載されている

オーベルジュを謳うだけあり、食事はイタリアンベースの本格派。
夕食・朝食どちらも絶品で、ともにシンプルな調理ながら滋味深い味わいの品々を堪能できる。
とくに肉の冷菜が素晴らしく、強く印象に残る美味しさだった。

肉冷菜、若鶏のインボルティーニ
付け合せのとうもろこしのポレンタもワインがすすむ味
クラシックな道産牛頬肉の赤ワイン煮込み、ボリュームたっぷり
朝食の構成もすばらしく、自家製ハム、自家製パンが最高にうまい

小規模施設ながら2025年3月時点でも年中1人泊可、価格も非常に良心的。
立地上、公共交通機関でのアクセスがほぼ不可能なのが唯一の難だが、慣れない運転をしてでも行く価値が大いにある名宿だ。

2.  北海道 積丹シララ温泉 ニャー助のホテルん

情報

  • 2024年8月宿泊・初訪問

  • 土曜泊 ¥11,300(夕食のみ)

  • WEB予約(OTA)

特長

2018年に廃業した温泉民宿を買い取り、2022年にリニューアルオープンした新しい宿。近年、優れた温泉(宿)の廃業ニュースが相次ぐ中で、貴重な温泉資源を引き継いで営業してくださることは非常にありがたい。

屋号の「ニャー助のホテルん」は正直なところ、かなり意味不明なのだが(ホテルんって何…?)
名前の通り猫をテーマにした宿で、いたるところに猫モチーフのインテリアやグッズが飾られている。また、5匹の看板猫がおり、「猫宿」の名に違わない素敵空間となっている。

館内の猫濃度はかなり高い

湯は筆者の大好きな爆泡炭酸泉。(ただし遊離CO2は655mgで、鉱泉分析法指針における二酸化炭素泉ではない)
源泉40.4℃の、炭酸泉としては比較的高温の湯が100%かけ流しにされていて、湯に浸かるとすぐにたくさんの泡に包まれる。
湯口付近は特に鮮度抜群で、強い金気、硫化水素、アンモニア由来と思われる要素も感じられ、個性的で重厚的な香りを楽しむことができる。

左側の透明な湯口スポットがとくに素晴らしい
源泉40℃オーバーで爆泡を堪能できるのは全国的にも貴重

今回は翌早朝発だったため夕食のみのプランを利用したが、食事の質も非常に高かった。地元積丹産のマグロやタコの刺身は新鮮で、入荷があれば別注でウニを追加したり、カニがまるごと一杯つくアップグレードプランとすることもできる。

近海産の新鮮な刺身盛り、ホースラディッシュでいただく
積丹産のムラサキウニは夏の漁期限定(時価)
宿泊時は籠いっぱいで¥3,800、かなりの情熱価格で最高級の質

ハーフビュッフェ形式で提供される惣菜の数々やシーフードカレーなども美味なのだが、提供される品々だけで十分におなかいっぱいになるボリュームがあり嬉しい悲鳴だ。

食事中唐突に食べる数を宣言させられ、できたてを提供される餃子

積丹・余市エリアは札幌からのアクセスもよく、ぬる湯好きはもちろん、猫好きや美味しい食事、観光を目的に訪れる方にも(というか全人類に対して)強くおすすめできる宿である。

次回はぜひ朝食も楽しみたい。

翌日はLa Fête des Vignerons à YOICHI、こちらも最高の酒イベントだった
今年も必ず参加したい

3. 北海道 鶴居村温泉 ホテルTAITO

情報

  • 2024年9月宿泊・初訪問

  • 平日泊 ¥14,500 ※土曜・祝日でも一人泊可

  • WEB予約(OTA)

特長

鶴居村非公式キャラクター「鶴居いづる」をご存知だろうか。

ご厚意で部屋までご一緒させていただいた、かわいいね

彼女の「実家」ともいえる宿がHOTEL TAITOである。

鶴居村には3軒の温泉宿泊施設があり、それぞれ異なる源泉のモール泉を100%かけ流しで提供している。いずれの湯も優れているが、中でもHOTEL TAITOの湯は3施設の中で最も湯温が低く、ぬるゆ好きには最高の環境だ。

源泉45.2℃、湯船温度は38~41℃で全体的にぬるめ

内湯、露天ともに広々とした湯船に新鮮な源泉がたっぷりと注がれている。
pH9.2の烏龍茶色の湯はローションを思わせる圧倒的なヌルトロ感と、強い泡付きを感じられる。香りも非常に華やかで、アブラ臭を思わせる芳醇な香りを存分に楽しむことができる。

モール泉特有の強い泡立ちがみられる
※湯船撮影・掲載許可済
夏場でも夜間は比較的涼しく、外気浴がたいへん捗る
※湯船撮影・掲載許可済
広々とした湯船もよいが、1人サイズの壺湯が最高、湯温38℃弱で無限沈没できる
※湯船撮影・掲載許可済

道東エリアには優れたモール泉が数多く存在するが、湯温、香り、肌触りの良さから、筆者の個人的な好みでいえば日本一のモール泉と言ってしまっても決して過言ではない。

ホテルは村の中心部に位置し素泊まりも可能であるが、ぜひ食事付きをおすすめしたい。会席料理としてはカジュアルな構成だが、阿寒ポークを筆頭に地の食材が多く使われていて味も良い。

メインのポークソテーはボリュームたっぷり
廃校になった小学校を醸造所に改造したBrasserie Knot
非常にハイクオリティなクラフトビールで、工場見学も楽しかった

TAITOでの宿泊体験が素晴らしかったのはもちろんのこと、鶴居村の滞在自体が非常に楽しく、ぜひ今年も避暑に訪れたいと考えている。タンチョウが飛来する冬に訪ねるのも良さそうだ。

ハートンツリーでの昼食、こちらも非常に良かった
アイシナイ展望台、聖地巡礼

4. 山形 羽根沢温泉 松葉荘

情報

  • 2024年2月宿泊・初訪問

  • 祝前日泊 ¥11,500 

  • WEB予約(OTA)

特長

筆者の趣向からピックアップする宿の多くはぬるい温泉になりがちだが、ここで熱い湯宿を紹介したい。

羽根沢温泉は3軒の湯宿と共同浴場があるだけの小さな温泉地だが、最大の特徴は石油成分を含んだ独特の泉質にある。石油採掘中に温泉が湧き出したものを活用し、今でも間欠泉から自噴する湯が活用されている。

Good 情景

湯船ではpH8.3、源泉45.2℃の湯が強くオーバーフローしており、源泉が近いこともあり冬場でも43℃超と熱め。こちらもローションのような圧倒的ヌルトロ感があり、強いアブラ臭とゴム系の硫黄臭が刺激的だ。

源泉は温泉地で共通のもの
湯船付近はかなり滑るので注意が必要(1敗)

洗濯用ネットで濾過されているため湯船に湯の花はほとんどないが、湯口は常にパンパンであり、鮮度の良さと源泉の強さを強く感じられる。

洗濯用ネットは毎日交換しているとのことだが溜まり方がすごい
湯船には防ぎきれなかった湯の花もみられる

リーズナブルな宿でありながら食事も非常に充実している、地元名産のきのこをふんだんに使った料理は見た目にも華やかで、同価格帯で提供される食事としては全国トップクラスであると思う。

前菜の籠盛りで酒が進む、実は右中央部には卵焼きがもともとあり、つまみ食い後に撮影
3種きのこのチーズ茶碗蒸し、あつあつ
山形の銘酒の選択肢が多数あり、価格設定も良心的で嬉しい

内装にも工夫があり、古い施設ながら落ち着ける空間となっている。
ホスピタリティも素晴らしく、たいへん癒やされる滞在となった。

ふかふかのこたつ+ラグで地蔵化不可避

羽根沢温泉はアクセスが良い温泉地とは決して言えないものの、ひとりでも新庄駅からの送迎をしていただけるため、実質的には東京から電車一本で訪れることが可能な立地にある。
周辺は肘折温泉を筆頭に長期滞在必至の優れた温泉地が多数あり、「沈没」しにいくには最適な場所だ。

5. 福島 湯岐温泉 山形屋旅館

情報

  • 2024年8月宿泊・初訪問

  • 土曜泊 ¥16,000

  • WEB予約(OTA)

特長

泉質派の皆さまには周知の事実であるが、湧出口からの空気接触が皆無である足元湧出泉は温泉鮮度の頂点といえるものである。
しかし、足元湧出泉は全国でも希少であり、とくにぬるゆで湧出するものに至っては全国でも片手で数えられるほど(※2進数)しかない。

そんな貴重な湯を堪能できるのが、ここ山形屋旅館の混浴岩風呂である。

以前はもっとぬるかったようだが、湧出温度は増加傾向である

掘削自噴泉との混合泉とのことで、一見すると湯底のパイプから湯が供給されているように見えるが、よくみると岩の合間から新鮮な湯がぷくぷくと湧いているpH9.6のつるすべ湯は新鮮そのもので、しっかりとした泡付きがあり、淡いタマゴの香りも感じられる。

透明度の高い湯で、湯船のブルーが映える

また、24時間利用可能な貸切湯船も利用でき、こちらも同一源泉である。
(掘削自噴泉だと思われる)
湯船が小さいからか、泡付きや香りは岩風呂よりもむしろ強く感じられた。

ホースで湯底から新鮮な湯を投入できる、利用しなかったが追い焚き機能で加温も可能

部屋食で提供される食事のクオリティも高い。
そして日本酒の品揃えが圧倒的に良く、県産の銘酒、季節限定品を中心に豊富な選択肢を楽しむことができる。生酒の保存状態などもとてもよい。

十四代や新政のハイグレード品など、いわゆるプレミア酒の提供もある
しかし通常価格帯のラインナップこそ素晴らしい、メニュー外の隠し玉も豊富
手作りの先付&定番の大七小瓶からスタート、だいぶ飲みすぎてしまった
メインの常陸牛陶板焼はボリュームたっぷり、わさびと自家製ダレでさっぱりいただける

こちらの宿も決してアクセスは良くない立地だが、ひとりでも駅からの送迎対応を行っていただける。真夏の訪問で長時間のぬるゆ沈没には暑すぎた部分もあるので、次回はぜひ寒い時期に訪れたい。

首都圏からは茨城県ルートのほうがアクセスしやすい
寄り道した大子ブルワリーも良かった(温泉むすめ要素)

6. 福島 いわき湯本温泉 松柏館

情報

  • 2024年2月宿泊・初訪問

  • 土曜泊 ¥26,400

  • WEB予約(OTA)

特長

2024年は福島県への訪問回数が多く、温泉宿泊数は計5泊でトップタイ(同率1位は新潟県)。他県は複数泊の滞在がほとんどであるのに対し、福島県へはすべて異なる時期に一泊ずつ訪れている。

松柏館は、有馬、道後と並ぶ日本三古湯(※正しくは白浜温泉のような気もするが)としても知られ、県内有数の温泉地であるいわき湯本温泉の中でも老舗の宿である。ファサードやロビーは高級感が漂うが、ユニットバスの「内風呂付き」の客室であれば比較的リーズナブルな料金に宿泊可能だ。

広々としたロビーやラウンジは、団体客を多く受け入れてきた往時の面影を残す

「内湯」の湯船はビジネスホテル然とした情緒のないユニットバスだが、源泉蛇口をひねると60℃弱の熱い源泉が100%掛け流されている。
いわき湯本温泉は集中管理であるためどの施設でも源泉は同じだが、投入直後ほぼ無色透明の湯は強い焦げ系の硫黄臭とともに甘い香りがあり、いくつか入浴した温泉街のどの湯よりも新鮮に感じられた。

そのままでは熱すぎるので加水するか冷ましてから入る
写真は2時間ほどため湯したもので、時間経過とともに薄く白濁している
大浴場の湯も大きくオーバーフローしており鮮度良好

夕食はオーソドックスな海鮮会席だが、一品一品のクオリティが高く、丁寧な仕事が感じられた。あえて粗野な表現をすれば「料理店の味がする」味わいである。
ハイクラスの宿は別として、筆者は旅館会席には「家庭の味」「郷土の味」を求めるのだが、ここでの食事は素直に満足感を高いものであった。

地物メヒカリの唐揚げがとても美味だった
メインはあんこう鍋、上品な味わいでボリュームたっぷり
熱々の海鮮グラタン(金目鯛)やローストビーフなどの洋皿もいくつかあり、
こちらも満足できるクオリティ
朝食も良かった、小鉢サイズだが朝に刺身がつくのが嬉しい

7. 愛知 弥富温泉 ホテルNUQU

情報

  • 2024年11月宿泊・宿泊は3年ぶり3度目 ※「休憩」は利用多数

  • 平日泊 ¥10,900(朝食のみ) ※土曜・祝日でも一人泊可

  • 予約なし ※下記参照

ラブホスタイルなので基本は現地で空いている部屋に入る、
スイート以上は公式サイトやOTAで予約もできるようだが若干割高

特長

まとまった情報が非常に少なく、筆者も限られた知見しか持たないのだが、全国にはけっこうな数の温泉付きラブホテルが存在する。
中には泉質自慢の施設もあり、その特性上ほぼ必然的に土休日一人泊可、温泉付客室となる。同スペックの旅館はたいていハイクラス宿となるため、価格も相対的にリーズナブルであることから非常に利用価値が高い。

いくつかの温泉付きラブホテルに宿泊した中で、
(温泉付きでないところも含めて)私が日本一の宿だと考えているのがここNUQUである。
数年来の定宿であり、デイユースがたいへんお得であるため「休憩」は昨年も複数回行っていたのだが、宿泊は久しぶりであった。

派手な部屋もあるが、落ち着いた内装のほうが多い
なお、外観やシステムは完全にラブホテルだが、未成年でも宿泊可能になったり入浴税を取られたり、近年「旅館」に営業転換したようである

客室によって湯船の形は異なるが、低めのグレードでも一人泊には十分な広さの湯船が設置されており、コックをひねると源泉46.6℃の100%源泉がドバドバ供給される。黄~黄緑色のツルスベ感の強い湯で、しっかりとしたモール香と微硫化水素臭があり、ときおり湯の花もみられる。
冬場であれば41-42℃程度の適温であることが多く、熱いときも貸し切り湯船であることを活かして水で薄めたり溜め湯にすることで、ぬるゆを錬成するのが楽しい。

各部屋に新しい温泉分析書が掲載されている、全項目「なし」のフルスペック
湯船が1-2人サイズであることもあり、激しくオーバーフローする
白い湯船で水色が映える、こちらはジャグジー付きの湯船

上位グレードであれば露天風呂付きの部屋やサウナ、岩盤浴付きの部屋もある。ただしこれらの部屋は競争率が激しく、入れるかどうかは運次第だ。

サウナ付きのジュニアスイート
昨今流行のプライベートサウナと比較すると圧倒的にリーズナブルだと思う

食事はTVモニターで注文すると部屋まで届けてくれる方式。
品質はメニューによって波がある印象だが、総じて良心的価格で悪くない。

特筆すべきは和洋食どちらかを選べる朝食で、会員宿泊者であれば無料で提供される。特に和食がおすすめで、品数豊富な惣菜と「ふたりで仲良くシェア」がコンセプトの湯豆腐がつき、温泉旅館の朝と遜色ない体験ができる。

1人泊だと2人前食べられてお得(?) 味噌汁やドリンクもふたつつく

この手の宿の例に漏れず公共交通機関でのアクセスには優れないが、「日本一の金持ち村」で有名な飛島村のバスが活用できる。

総じて湯が優れているのはもちろん、部屋自体の質、アメニティの質、会員へのドリンクサービスなど至れり尽くせりで、非常におすすめの宿である。
そしてひとりラブホ滞在は非常に楽しいので、未経験の方もぜひNUQUでデビューしてほしい。

ちなみに周辺はパキスタン料理店激戦区で、徒歩圏にも優れた店がある

8. 滋賀 尾上温泉 旅館紅鮎

情報

  • 2024年5月・9月宿泊

  • 平日泊 ¥36,300/¥37,800 ※一人泊可能なのは平日のみ

  • WEB予約(OTA)

特長

滋賀県最強の温泉。
唯一年内2泊(※連泊ではない)し、2024ベストオブ温泉宿でもある。
詳しくは以下の記事を参照してほしい。

9. 大分 大分温泉 休庵

情報

  • 2024年7月宿泊・初訪問

  • 平日泊 ¥10,430 ※土曜・祝日でも一人泊可

  • WEB予約(OTA)

特長

関西圏から大分県へのアクセスは陸・海・空と多様だが、いずれのルートをとっても玄関口は「泉都」別府となる。
その存在感があまりにも強すぎるゆえに見過ごされがちだが、実は大分市も温泉資源が豊富な都市で、市内各所に良質なモール泉が点在している。

休庵は大分市東部の海沿い、郊外住宅地と臨海工業地帯の混在するエリアに位置している。最寄駅からやや距離があるものの、十分に徒歩圏内でアクセス可能な立地だ。
外観や内装に温泉宿らしさはあまりなく、立地や内装から察するに、もともとはラブホテルだったのではないかとも思う。とはいえ、広々とした客室とシティホテル並の充実したアメニティは大変ありがたい。

1泊1万円とは思えない広々としたツインベッドルーム
ベッドはシモンズでパウダースペースも充実している

各客室には源泉46.1℃のつるすべモール泉が100%かけ流しにされており、芳醇な香りが漂う。湯船には鮮度の高さを示す気泡が浮かび、泡付きも感じられる。色合いやモール濃度は、上述のTAITOよりいくぶんかアッサリ系であるように思う。
なお、100%かけ流しだと熱すぎるので、上述の宿と同様に部屋独占のメリットを活かしてぬるゆを錬成するのがおすすめである。

すばらしいモールカラー
成分組成は大分市街地のモール泉としては一般的なタイプと思われる

屋上には24時間利用可能な貸切の露天風呂も用意されておち、ここでは工場夜景を眺めながら湯浴みを楽しむことができる。
源泉蛇口をひねると新鮮な源泉がドバドバ出てきて、水、白湯の3つの蛇口があるため温度調整も容易だ。

貸切露天は3室ありそれぞれレイアウトが異なる、目の前は造船所

宿は素泊まり専用で食事提供はないが、ラウンジにビールサーバーや焼酎、ワインや簡単な菓子類が置かれており、滞在中自由に利用することができる。嬉しいことに深夜24時まで営業しており、湯上がりのビールが捗る。

ラウンジも広々としており、ハイクラス宿を思わせる優れた空間

宿の周囲にめぼしい飲食店はないものの、駅方面の大通り沿いまで出れば複数の飲食店やスーパーがあり、市街地であるため出前の選択肢もある。
今回は別府高架下の名店、野田商店の惣菜を持ち込み夕食とした。

奇しくも先駆者と同じ行程を辿っていた模様

現在は提供を終了してしまったのだが、宿泊時はラウンジで無料朝食の提供も行われていた。内容はごくありふれたビジネスホテル的な軽ビュッフェであったが、驚くことにビールサーバーが稼働していた。

グラスも冷えていて臨戦態勢

朝からビール三昧できる最高の体験、ぜひ復活してほしいものである。

10. 鹿児島 紫尾温泉 旅籠しび荘

情報

  • 2024年9月宿泊・初訪問

  • 土曜泊 ¥15,600

  • WEB予約(OTA)

特長

「日本一の『おんせん県』」が大分県であることは疑いようがないが、2位はどこか、という問いに対する最も有力な回答となるのは鹿児島県だろう。
鹿児島県は源泉総数・自噴湧出量ともに大分県に次ぐ全国2位で、高品質の温泉が数多く存在している。

日本温泉協会Webサイト掲載資料より引用

紫尾温泉は源泉が神社の拝殿下から湧出していることから「神の湯」をもつ。しび荘ではこの湯と自家源泉の2種類の湯の交互浴が可能である。

純温泉協会より引用
純温泉協会より引用

2種類の湯はともにpH9を超えるアルカリ性単純硫黄泉で100%かけ流し。
(自家源泉は冬期のみ加温されることがある模様)
浴感はどちらも化粧水のようなトロスベ肌触りで、香りは自家源泉のほうに焦げ感、共同源泉のほうにはタマゴ感をやや強く感じるように思えた。
共同源泉は43℃強の熱湯、自家源泉は38℃のぬるめで提供されており、交互浴がたいへん捗る。

今はなき名湯「新屋温泉」を思い起こさせる、すばらしいエメラルドグリーン

水色は日によってかなり変化があるようで、筆者宿泊時は共同源泉のほうが鮮やかなグリーンだったが、自家源泉のほうが色づくこともあるようだ。

1点留意点として、温泉利用時間が夜22時まで、朝6時からとかなり短い。
また、後述するように夕食には全力で挑む必要があるので、食後に湯浴みを楽しむことは困難である。
できるだけ早くチェックインし、明るいうちに湯を存分に楽しみたい。

鮮度は内湯のほうが優れていると思うが、露天風呂も41℃強の適温提供

食事は圧巻の一言である。
ボリュームが圧倒的に多く、各皿の品質もよい。この価格帯の旅館料理としては全国トップクラスと言い切っても過言ではないだろう。
記載は省略したが、朝食の質も高い。

ローストビーフ、猪鍋、豚しゃぶ、牛しゃぶが一度にでてくることある???

最後の御飯の時点で腹11分目、食後はベッドから動くことができなかった。
通常プランでもかなり量が多いと思われるが、グレードアッププランはさらに皿数が増えるので胃袋に自身のない方にはおすすめできない。

猪鍋、ふつうの宿ならメイン級のボリュームだが「炊合せ」の椀物扱いだ
この献立で蟹足フライや蟹甲羅グラタンは本当に必要か?(おいしいので不満はない)
グレードアップすると肉量が増える模様、本格的な鍋セットとカセットコンロで提供される
〆のメロンまでデカく、皿からはみ出し気味である

酒も薩摩焼酎を中心に良心的なラインナップ。
宿泊時はお腹を空かせて全力で挑むべし。

実は初めての森伊蔵でした、大変うまい

しび荘にはシングルルームが3室あるため、繁忙期を含めいつでも一人泊が可能であり、予約も比較的取りやすい印象だ。
鹿児島には魅力的な湯宿がたくさんあるが、優れた湯と圧倒的満腹体験をリーズナブルに両立したければ、宿泊先はしび荘で間違いない。

下宿部屋的な雰囲気があって悪くない、デスクがうれしい

総括および2025年の速報

2024年は2023年以上に「当たり」の宿が多く、次点と称して15~20くらい宿を挙げてやろうかと思っていたが力尽きてしまった。
一部はTwitter(自称X)に記載しているが、いずれも優れた体験だったので強くおすすめできる。

また、2025年は早めのスタートダッシュを切れており、執筆時点で12軒12
に宿泊し、いずれも優れた体験をすることができた。

特に都わすれの朝食は過去一番といっても良い素晴らしいものだったし、2023年ベスト温泉宿である妙見ねむへの再訪・連泊や、念願の石原荘への宿泊ができたのも非常に良かった。伊豆にも二度訪問できた。

日本一の朝食のすばらしい要素の例、食べ放題のできたて出汁巻き玉子(3皿目)
都わすれの朝、秋田の冬とは思えない圧倒的晴天
妙見ねむの圧倒的爆泡部屋露天を連泊で満喫
石原荘にたくさんある圧倒的に優れた湯船のうちの一つ
復興作業中の湯川内温泉かじか荘にもお邪魔した
寄付、しよう!

このハイペースを続けるのは流石に厳しいが、引き続き40-50泊くらいを目指して日々やっていきましょうというお気持ち。

今年も優れた温泉や温泉宿に出会う機会があれば嬉しく思う。

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