GemもGPTsもなくなる? Xで広がる“Skills移行説”を調べてみた
「え、GemだけじゃなくGPTsも?」
XやYouTubeで、GeminiのGemやChatGPTのGPTsが今後なくなり、Skillsへ移っていくのではないか——そんな投稿や動画を見かけるようになりました。
でも、ここで一度落ち着きたいところです。
2026年8月18日時点で確認できた公式情報には、Gemの全面廃止も、GPTsの全面廃止も書かれていません。 一方で、GoogleとOpenAIの両方が「繰り返し使える仕事の手順」をSkillsとして扱い始めているのも事実です。
では、何が噂で、何が公式なのか。
この記事ではそこを分けながら、消える・消えない以上に大きな変化——AI活用の軸が「人格プリセット」から「仕事の型」へ広がっている可能性を、初心者向けに整理します。
この記事の確認日は2026年8月18日です。XやYouTube上の投稿・動画は公式発表ではなく、削除・編集される可能性もあります。製品の提供条件は今後変わる可能性があります。
先に結論:どちらも「終了決定」ではない
結論から言うと、今の整理はこうです。
Gem:終了説やSkills移行説は出ている。ただし、Googleの全ユーザー向け正式発表は確認できない
GPTs:個人向けでは新規作成・公開に公式な変更が入った。ただし、既存GPTsは利用でき、全面廃止ではない
Skills:GoogleとOpenAIの両方に、公式の仕組みとして存在する。ただし、両社のSkillsは同じ製品でも同じ形式でもない
つまり、GemとGPTsを同じ確度で「廃止」と呼ぶことはできません。
それでも噂が気になるのは、単なる思い込みではありません。両社とも、AIに役割を与えるだけでなく、手順・判断基準・テンプレートを再利用する方向へ機能を広げています。
「なくなるか」より、「AIの使い方の重心がどこへ動いているか」。
この記事で本当に見たいのは、そこです。
Gem側で起きていること
Gemは、自分用に調整したGeminiです。
たとえば、役割、話し方、参照資料、回答方針などをまとめておき、「この相談相手に頼む」という感覚で使えます。
【公式で確認できること】
Googleの公式ヘルプには、現在もGemsの作成・利用方法が掲載されています。
同時に、GoogleはGemini Sparkで使うSkillsも公式に案内しています。Skillには、繰り返す作業の指示、好み、手順、出力形式などを保存できます。
つまり公式情報だけを見ると、GemsとSkillsは現在、併存しています。
【噂・外部情報として扱うこと】
XやYouTubeでは、「Gemが終了する」「Skillsへ移る」といった話が広がっています。
今回、直接確認できた例は、TestingCatalogのX投稿と、neco.の動画、AIキャンプの動画などです。ただし、確認した動画の一部は同じTestingCatalogの投稿や記事を参照していました。動画の本数が増えても、独立した複数の公式発表になったわけではありません。
外部メディアのTestingCatalogも、Geminiの未公開機能に関する表示から、Gemの終了とSkillsへの移行を示す文言が見つかった可能性を報じました。そこでは2026年10月20日という日付も紹介されています。
ただし、これはGoogleが全ユーザー向けに公開した正式発表ではありません。未公開表示や機能フラグは、公開前に内容や日程が変わることがあります。
今言えるのは、次の二つまでです。
Gem終了説には、噂だけでなく未公開表示に関する外部報道もある
それでも、Googleによる全面廃止の正式確定とは言えない
GPTs側で起きていること
GPTsは、ChatGPTを特定の用途向けにカスタマイズする仕組みです。
指示、知識、会話の始め方、利用する機能などを組み合わせ、「この用途専用のChatGPT」を作れます。
【公式で確認できること】
OpenAIの公式ヘルプでは、個人向けのFree、Go、Plus、Proで、新しいGPTの作成・公開ができなくなったと案内されています。これは小さくない変更です。
一方、既存のGPTは引き続き利用できます。Business、Enterprise、Eduでは、ワークスペースの設定に応じて作成・編集・公開を続けられます。
つまり、「何も変わっていない」は正しくありません。しかし、「GPTsが全面終了し、既存GPTも消える」も公式情報とは違います。
一方、OpenAIはSkillsについても公式に説明しています。
OpenAIのSkillsは、特定の作業を繰り返し実行するための指示や参考資料などをまとめた、再利用可能なワークフローです。ChatGPTやCodexで、同じ進め方を何度も使いやすくする考え方です。
OpenAI Academyは、Skills、GPTs、Projectsを「異なるが補完的」なものとして説明しています。またOpenAIは、管理対象ワークスペース向けのWorkspace Agentsを「GPTsの進化形」と位置づけ、その中でSkillsを使う構造を示しています。
ここから見える公式の構造は、単純な「GPTsがSkillsへ置き換わる」ではありません。
GPTs → Workspace Agentsという進化の流れがあり、そのエージェントが使う仕事の部品としてSkillsがある。
【噂・利用者の観測として扱うこと】
XやYouTubeでは、「GPTsがなくなる」「共有が終了した」といった強い表現が広がりました。Xの投稿例や、横田秀珠氏の動画、ハチコ氏の動画を確認できます。
ただし、公式に確認できる変更の中心は、個人向けの新規作成・公開です。既存GPTの利用継続や、管理対象ワークスペースでの提供まで含めて「すべて終了」と呼ぶのは広すぎます。
現時点での安全な表現は、こうです。
個人向けGPTsには大きな変更が入った。ただし、完全廃止ではない。SkillsとWorkspace Agentsが加わり、GPTsだけが唯一の中心だった構図は変わり始めている。
GemとGPTsに共通する変化
GemとGPTsは、まったく同じ機能ではありません。
それでも、使う側の感覚には共通点があります。
自分向けの役割を持たせる
話し方や回答方針を決める
参照する知識を渡す
専用のAIを選んで会話を始める
言い換えると、「誰に頼むか」を保存する発想です。
Skillsでは、保存の中心が少し変わります。
何から始めるか
どの順番で進めるか
何を根拠に判断するか
どの形式で出力するか
どこで確認し、どこで止めるか
こちらは、「どうやるか」を保存する発想です。
もちろん、GemやGPTsにも手順は書けますし、Skillsにも役割や文体を含められます。境界線がきれいに分かれるわけではありません。
それでも、中心の比喩は変わります。

Skillsとは何か
Skillsを短く言えば、**AIに渡す「仕事の型」**です。
たとえば「記事を校正して」と毎回頼む代わりに、次のような内容を一つにまとめます。
事実と推測を分ける
断定表現を確認する
初心者向けの短い段落に整える
見出しと結論のつながりを確認する
最後にチェック結果を出す
さらに、出力テンプレート、良い例、避けたい例、参照資料などを一緒に持たせることもできます。
ここで注意したいのは、GoogleのSkillsとOpenAIのSkillsは別の仕組みだということです。
Googleでは、Gemini Sparkの中で、タスクをどう進めるかを再利用する仕組みとして案内されている
OpenAIでは、指示や参考資料をまとめた再利用可能なワークフローとして案内されている
名前は同じでも、提供条件、作り方、動く場所、対応形式は同一ではありません。GemやGPTsから自動でそのまま移せると決まったわけでもありません。
共通しているのは、一度作った手順を、次の作業でも使える形にするという考え方です。
なぜ今、「人格」から「仕事の型」へ向かうのか
ここからは、各社が公表した統一ロードマップではなく、現在の機能から見た編集上の分析です。
1. 毎回の出来をそろえやすい
「優秀な編集者として答えて」だけでは、毎回の進め方が少しずつ変わります。
確認順、判断基準、出力形式までSkillにすれば、同じ作業を同じ流れで再現しやすくなります。
2. 仕事を小さな部品にできる
一体の大きなカスタムAIにすべてを詰め込むと、直したい場所が分かりにくくなります。
「要約する」「事実を確認する」「指定形式に整える」のようにSkillを分ければ、必要な部品だけ更新し、別の作業にも使い回せます。
3. エージェントと相性がいい
AIに目的だけを伝え、必要な道具や手順を選ばせるには、仕事の部品が整理されているほうが便利です。
将来のエージェントは、一体の人格を選ぶだけでなく、目的に合わせて複数のSkillsを組み合わせるかもしれません。
AI活用の流れを大きく整理すると、こう見えます。
プロンプト時代:その都度、指示する
Gem/GPTs時代:役割や専用設定を保存する
Skills時代:仕事の手順や判断ルールを保存する
エージェント時代:目的に合わせてAIが必要なSkillを組み合わせる
これは公式の移行予定表ではありません。ただ、各社の機能を理解するための見取り図としては分かりやすい流れです。

利用者が今やるべきこと
噂を見て、慌ててGemやGPTsを消す必要はありません。
やるべきなのは、サービスの中だけに置いている自分の工夫を、外へ出しておくことです。
1. Gem/GPTsの中身を保存する
次の内容を、Markdownやテキストへコピーします。
名前と目的
指示文
参照資料の一覧
会話の始め方
期待する出力例
禁止事項
うまくいった入力例
2. 重要なものを棚卸しする
すべてを同じ優先度で守る必要はありません。
よく使う
作り込みに時間をかけた
独自の判断基準が入っている
他で代えにくい
このどれかに当てはまるものから保存します。
3. 一つだけ「仕事の型」に直してみる
たとえば「記事づくりGPT」を丸ごと移そうとせず、まずは一つの作業へ分けます。
タイトル候補を作る
事実と推測を分ける
note向けに短い段落へ整える
そのうち一つを選び、手順、判断基準、出力形式、確認項目を書き出します。Skillsをまだ使えなくても、この整理はできます。
4. Markdownで持ち運べる資産にする
たとえば、次のような形です。
my-ai-workflow/
instructions.md
checklist.md
output-template.md
examples/
references/これなら名称やサービスが変わっても、別のAIや新しい仕組みへ移す材料が残ります。
ただし、各社のSkill形式へ自動で移植できるとは限りません。持ち運べるのはまず中身であり、完全な互換性ではないと考えておくのが安全です。

まとめ:消えるかどうか以上に、軸が変わっている
2026年8月18日時点で、GemもGPTsも「全面廃止が正式決定した」とは確認できません。
Googleの公式ヘルプにはGemsとSkillsの両方があり、OpenAIの公式資料にもGPTsとSkillsの両方があります。
だから、今すぐ「Gem終了」「GPTs終了」と断定するのは早い。
ただし、噂を完全に笑い話で終わらせるのも違います。
AIの使い方は、毎回指示する段階から、専用AIを作る段階へ進み、さらに仕事の手順を再利用できる部品にする段階へ広がっています。
大事なのは、名前が残るかどうかだけではありません。
自分がAIに覚えさせてきた指示、判断基準、テンプレートを、自分の資産として持っているか。
Gemが残っても、GPTsが変わっても、Skillsが広がっても、その備えは無駄になりません。
まずは今日、いちばん大切なGemかGPTsを一つ選び、中身をMarkdownへ保存してみてください。
それが、次のAI時代へのいちばん小さくて強い準備です。
参考情報(2026年8月18日確認)
※TestingCatalogの記事は、未公開機能に関する表示を根拠にした外部報道です。Googleの全ユーザー向け正式発表ではありません。
※X・YouTubeのリンクは噂や解説が広がった具体例であり、各社の公式発表ではありません。
※この記事中の「人格から仕事の型へ」は、各社の公式ロードマップではなく、確認できた機能をもとにした編集上の整理です。
