梅雨が明けた。カフェで副業をしたら、気づいたことがある。
梅雨が明けた。
7月中旬、午後の日差しがきつくなって、部屋のエアコンをつけっぱなしにしていた。それでも湿度は75%を超える日が続いていた。妻は洗濯物が乾かないと文句を言っていた。子供は「部屋が暑い」と夜中に起きていた。
それでも僕は部屋で副業をしていた。なぜなら、それが習慣だったから。
ただし、この習慣には副作用がある。湿度の高い部屋でPCに向かう時間が増えると、集中力が落ちる。体が疲れやすくなる。朝起きる気力が落ちる。それを知っていた。
だから、試してみることにした。
「梅雨が明けたし、カフェで副業やってみるか」
そう思い立ったのは、金曜の昼休みだった。13時半、会社の近くのカフェでコーヒーを1杯飲みながら、月曜から試す予定を立てた。
月曜の朝、カフェに行った。
いつもの場所——窓際の席。ノートPCを広げて、副業の作業を始めた。アウトプット業務で、3時間は続く予定だった。
1時間経った時点で、わかった。
集中力が全く違う。
部屋では「1時間で休憩を入れないと無理」という感覚があった。カフェでは「3時間ぶっ通しで作業できる」。周りに人がいるわけではない。むしろ、カフェはそんなに混んでいなかった。なのに、なぜ?
理由は簡単だ。部屋は「やらなくてもいい場所」で、カフェは「作業をする場所」だから。
部屋では、PCの横に洗濯物がある。遊んでいるゲーム機がある。寝転がれるベッドがある。「今やめてもいいか」という選択肢が常に目に入る。だから、無意識のうちに心が分散する。
カフェはそうじゃない。来たのは作業をするため。周りも作業をしている人ばかり。「ここで何もしない」という選択肢がない。
つまり、環境が判断を代わりにしてくれる。
3週間カフェで続けた。
月曜から金曜まで、毎日1時間半から3時間。可能な限りカフェに行った。
結果、いくつか数字が変わった。
まず、月の稼働時間が明らかに増えた。部屋の時と比べて、週で3時間は長くなっている。月換算で12時間。いい加減な計算だが、時給換算すると月1,200円分の効率改善。小さくない。
次に、生成物の品質が変わった。部屋で作った原稿と、カフェで作った原稿。読み返してみると、カフェの方がテンポがいい。修正が少ない。明らかに「疲れている感」が出ていない。
最後に、体感が変わった。部屋で副業をしていた時は「疲れた、もうやめたい」という感覚が毎日あった。カフェに行くようになってから、その感覚がない。「やることを全部やったから、今日はここまで」という達成感がある。
この差は大きい。
ここまでで見えたこと。
「副業が続かない」という理由は、意志の問題じゃなくて、環境の問題かもしれない。
会社員が副業を続けるのに必要なのは、モチベーションでも、才能でも、時間管理スキルでもない。判断を代わりにしてくれる環境。
部屋は「やらなくてもいい」という選択肢に溢れている。それに対抗するには、毎日のように意志力を消費する必要がある。3ヶ月なら続くかもしれない。だが、1年続けるのは難しい。
カフェは違う。来た理由が「作業をすること」だから、「やるか、やらないか」という判断をする必要がない。ただ、PCを開くだけ。それだけで環境が仕事を代わりにしてくれる。
意志力を消費しない副業。それが、実は一番続く副業なんじゃないか。
正直に言う。このカフェに来たのは、単に「環境を変えてみたい」という気持ちからだった。梅雨で気分が暗いから、変化が欲しかっただけ。
だが、見えたのは、それ以上のことだった。
「何を自動化するか」じゃなくて、「どこで何をするか」という選択が、実は一番重要なんだ。
カフェのテーブルの前では、僕は「副業をする人間」になる。部屋のPCの前では、僕は「何かをする人間」にしかならない。
環境が、人を変える。それだけの話だ。
次の月曜も、カフェに行く。
