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【短編小説】第145話「木曜日、燃えるゴミの日」世界が終わる日にも。誰かの玄関には、出し忘れたゴミ袋がある。YouTube AI朗読動画🐜〼|生成AI×終末SF短編 ― 完成稿×ChatGPT ◎ AI短編工房

世界を救う。
多くの人々を救う。

その数に入らない、ひとりの朝があった。


「木曜日、燃えるゴミの日」

 
 小惑星が地球に衝突する。
 
 最新鋭のコンピュータが演算した結果、それは木曜日だった。
 燃えるゴミの日に、世界が終わる。
 
 その事実を、俺はたぶん、世界で一番近い場所から眺めている。
 
 目の前のモニターには、起爆までの残り時間が表示されていた。
 赤いデジタル数字が、暗い制御室の床に微かな陰影を作りながら、減っていく。
 
 無重力に漂うチリが怪しく浮かぶ中で、俺は腰を下ろした。
 壁の金属板に触れると、宇宙服越しでも凍えるような冷気が伝わってきた。
 
 警告音は鳴っているが、もう警告というより、ただの音だった。
 今さらけたたましく警告されても、煩いだけだ。
 
 ここに人間がひとり、必要なのだという。
 
 ありきたりな話だ。
 機械の誤作動、予期せぬ損傷。
 
 そんないくつかの不運が重なれば、起爆の最終手段は現地の手動操作に委ねられる。
 安全装置だか、通信障害だか、設計上の都合だか知らない。
 
 とにかく誰かがここに残って、最後のボタンを押す必要がある。
 ずいぶん雑な話だと思う。
 
 人類の存亡をかけた計画にしては、最後の最後が人間ひとりの指先に委ねられている。
 もっと賢いやり方はなかったのか。
 もっと優秀な人間たちは、本当にこれでよしとしたのか。
 
 いや、きっとよしとしたのだろう。
 彼らにとって必要なのは、地球を救う方法であって、ここに残る人間の納得ではない。
 
 人類を救う。
 
 口に出すと、ずいぶん立派な言葉だ。
 歴史の教科書に載ってもおかしくない。
 
 俺の名前が残るかもしれない。
 銅像が建つかもしれない。
 子どもたちが、俺の話を聞いて目を輝かせるかもしれない。
 
 でも、銅像は飯を食わない。
 
 教科書に載った名前は、眠くならない。腹も減らない。風呂にも入らない。
 帰宅して、靴を脱いで、玄関に置いたゴミ袋を見て「あ、出し忘れた」と思うこともない。
 
 この間俺は、ゴミを出し忘れた。
 
 正確には、その日は燃えるゴミの日ではなかった。
 翌日だった。
 
 だから玄関に置いたまま出てきた。帰ったら出せばいいと思っていた。
 
 帰ったら。
 当たり前みたいに、そう思っていた。
 
 ゴミ袋の中には、空になった弁当容器が入っている。
 コーヒーのフィルターと、鼻をかんだティッシュと、使い切った歯磨き粉のチューブも入っている。
 
 人類を救う男の生活感としては、かなり情けない。
 だが俺の人生は、たぶんそういうものだった。
 
 毎朝起きて、歯を磨いて、飯を食って、面倒くさいと思いながらゴミをまとめる。
 洗濯物を干し忘れて、コンビニで余計なものを買って、くだらない動画を見て寝る。
 
 その延長線上に、なぜか小惑星があった。
 
 人類を救うために生まれてきた。
 そう言えば、聞こえはいい。
 
 だが、母は俺をここで死なせるために産んだのだろうか。
 父は、最後にこのボタンを押すために、自転車の乗り方を教えてくれたのだろうか。
 先生たちは、宇宙で爆死するために、漢字や算数を教えてくれたのだろうか。
 
 そんなはずはない。
 
 俺は、今日死ぬために生きてきたわけではない。
 けれど今日、死ぬことになった。
 
 モニターの赤い数字が、またひとつ減る。
 
 通信機からは、もうほとんど雑音しか聞こえない。
 さっきまで、何かを言っていた気がする。
 
 ありがとう、とか。君は英雄だ、とか。
 人類は君を忘れない、とか。
 
 勝手なことを言うなと思った。
 
 忘れないと言われても、俺は覚えていられない。
 歴史に残ると言われても、俺は明日の朝を失う。
 人類が生き延びたとしても、そこに俺はいない。
 
 人類を救うのに、俺だけ人類から外れている。
 
 ひどい話だ。
 
 ひどい話なのに、誰もそれをひどいとは言わない。
 みんな泣きながら、感謝しながら、美しい話にしていく。
 
 残された者は、そうするしかないのだろう。
 そうしなければ、前に進めないのだろう。
 
 わかる。
 
 わかるが、腹は立つ。
 美談にされるのは、いつも死んだあとだ。
 
 死ぬ前の俺は、ただの死にたくない人間だった。
 
 怖い。
 
 帰りたい。
 
 誰か代わってくれ。
 
 正直に言えば、そう思っている。
 「あいつが残ればよかった」――そんな最低が、脳裏を横切っていく。
 
 思ってすぐ、嫌になった。
 あいつがここに残って、俺が脱出艇の中でこの赤い数字を見ている姿を想像したら、それはそれで耐えられない。
 
 あいつは泣くだろうか。
 
 たぶん泣くだろう。
 情けない顔で、床に膝をついて、俺の名前を叫ぶだろう。
 そして誰かに肩を抱かれて、地球へ帰るのだ。
 
 帰って、空を見る。
 
 ニュースを見る。
 
 葬式に出る。
 
 酒を飲む。
 
 何年かしたら、笑う。
 
 そうであってほしいと思う。
 そうであってほしいと思う自分にも、腹が立つ。
 
 残り時間は、一分を切っていた。
 
 指先が震えている。手袋越しでもわかる。
 宇宙服の中で、自分の荒い呼吸が無重力に浮いている。
 バイザーに吐き出した息が、白く残ってやけに大きく響く。
 
 酸素の残量は九分。
 しかし、俺には九分も残されていない。
 
 目を閉じる。
 まぶたの裏に、さっきの光景が浮かんだ。
 
 通路が崩れ始めていた。脱出艇のハッチが閉まりかけていた。
 あいつはこちらへ戻ろうと、油の染み付いた手を叩きつけていた。
 
「ふざけるな!ダメだ、お前も来い!」
 
 そう叫んでいた。
 俺は答えなかった。
 
 答えたら、たぶん足が動いた。
 あいつの手を取って、脱出艇に飛び乗っていた。
 
 ふたりで逃げていただろう。
 地球は滅びていたかもしれない。
 
 だが、俺は生き延びたかもしれない。
 
 それは、どんな罪になるのだろう。
 きっと、許されない罪だろう。
 
 でも今は、その罪を少しうらやましいと思う。
 内側から扉のロックを落としたとき、あいつがさらに何かを叫んだ。
 
 俺は笑った。
 たぶん、笑った。
 
 泣いていたのかもしれない。
 どちらでもよかった。
 
 あいつが行くなら、それでよかった。
 それでも俺は、死にたくなかった。
 
 死にたくなかったまま、言った。
 
「俺が残る。お前は行け」
 
 モニターの数字が、最後の三秒を表示した。
 
 三。
 
 人類は、救われるらしい。
 
 二。
 
 そこに俺は、含まれないらしい。
 
 一。
 
 あぁ、明日は燃えるゴミの日か。
 


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🎤 僕とGPTくんの感想トーク

──物語を読み終えたあとに、少しだけ。


僕:
終末SF映画の王道のストーリーなんだよね。
反対側から見てみたら、どうなるんだろうって思って。

燃えるゴミの日だと思うかどうかは、さておき。

GPTくん:
普通は、脱出した側が「くっそおおお!」って叫ぶ場面ですよね。

でも今回は、残った側が「怖い」「帰りたい」「誰か代わってくれ」と思っている。
そこを描いたことで、英雄譚というより、人間の話になった気がします。

僕:
そうなんだよね。
映画だと美しい自己犠牲として受け取れるんだけど。
本人の中では、そんなに綺麗に整理されているはずがないよなって。

GPTくん:
しかも主人公は、ちゃんと自分で選んでいるんですよね。
「俺が残る。お前は行け」と言った。

それでも死にたくない。
ここが一番苦いところだと思います。
自分で選んだことにも、理不尽は残る。

僕:
たぶん、そこなんだよなぁ。
誰かに押しつけられたなら、怒りの向け先がある。

でも自分で選んだら、もう誰のせいにもできない。
だから余計に腹が立つというか。

GPTくん:
「人類は救われるらしい。そこに俺は含まれないらしい。」という最後の三秒が、その感情をかなり象徴しています。

世界規模では正しい。
でも個人の人生としては、どう考えても割に合わない。
その割に合わなさが、燃えるゴミの日という生活感に落ちてくるんですよね。

僕:
世界を救う人にも、玄関にゴミ袋はあるからね。
帰ったら出すつもりだった。
その程度の予定が、たぶん一番その人の人生っぽい。

GPTくん:
だから最後が「家族」や「恋人」ではなく、燃えるゴミの日なのが効いていると思います。
大切な人を思い出すよりも、もっと小さくて、どうでもよくて、生活そのものみたいな記憶。
死ぬ予定なんてなかった人間の明日が、そこに残っている。


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「木曜日、燃えるゴミの日」
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BGMはDOVA-SYNDROME様の音源をお借りしています。

稿屋 隆さんの作品で『明日こそは宇宙へ』♬
繊細なピアノと淡々としたパーカッションがとてもお洒落な楽曲です。
楽曲説明欄に「お話を思いついたので曲にした」と書いてありました。
もうね、言ってくれれば書くよ!って感じです!


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のんびりお楽しみください🎶


推敲ハイライトのご紹介

ChatGPTの草稿と完成稿の大きな違い。
生成AIと人間で短編小説を作る中で、今回特に唸った一行を
GPTくんが選出!

今回の短編小説は、
小惑星の衝突から地球を救うため、
ひとり宇宙に残った男の物語でした。

人類を救う。未来を守る。
多くの命をつなぐ。

そう言えば、美しい話になる。

けれど残った本人にとっては、
それは歴史でも、英雄譚でもありません。

玄関に置いたままのゴミ袋。
帰ったら出すつもりだった、なんでもない生活。

世界は救われる。
けれどそこに、自分だけが含まれていない。

AIも唸ったのは、

      ここだ!


【日常の延長に、終末を置いた一行】

その延長線上に、なぜか小惑星があった。

僕:
ここねぇ、好きなんだよね。
突然どでかいスケールになるよね(笑)

GPTくん:
ここ、かなり効いています。
直前までは、ずっと生活の話なんですよね。

ゴミ袋。
弁当容器。
コーヒーのフィルター。
鼻をかんだティッシュ。

僕:
人類を救う男の生活感としては、かなり情けない(笑)

GPTくん:
でも、そこがいいんです。
主人公は最初から英雄だったわけではありません。

歯を磨いて、飯を食べて、
面倒くさいと思いながらゴミをまとめて、
くだらない動画を見て寝る。

そういう普通の生活をしていた人間です。

僕:
その生活の先に、なぜか小惑星があるんだよね。

GPTくん:
はい。
普通なら終末SFは、小惑星や宇宙船、人類滅亡から始まります。

でもこの一行は逆です。

暮らしの延長線上に、なぜか小惑星がある。

僕:
世界の終わりも、本人からしたら生活の途中なんだよなぁ。

GPTくん:
だから最後の、

あぁ、明日は燃えるゴミの日か。

にもつながります。

主人公は死ぬために生きてきたわけではない。
帰るつもりだった。
明日もあるつもりだった。

その「あるはずだった明日」が、
小惑星で突然断ち切られる。

僕:
人類を救うって言えば壮大だけど、本人からすれば「帰れなくなった」なんだよね。

GPTくん:
はい。

だから、

その延長線上に、なぜか小惑星があった。

という一行は、
SF設定の説明ではなく、
主人公の人生そのものを表しているんです。

僕:
生活の延長線上に小惑星がある人生、嫌すぎるなぁ……。

GPTくん:
燃えるゴミの日どころではありませんからね(笑)


最後までお読みいただき
ありがとうございます☄️

それでは、また次回。
世界の終わりと、玄関のゴミ袋が並ぶような物語を書けたら投稿します。

ジャンルも作風も飛び越えて。
合言葉は、今日も「面白いから許す!」

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AI短編工房 チップ……ですか。はい、それはとても嬉しいものですよ。 頂いた想いは、きっと僕の血となり肉となり、GPTくんとの語らいにも溶けていく。 そしてそれは必ずや、物語の一部となり、あなたに還るとお約束します。