「枕詞」の謎
古代の和歌(初めは「万葉集」)には「枕詞」(まくらことば)というものがある。
「あかねさす」
「あをによし」
「うつせみの」
「そらにみつ」
「ちはやぶる」
「むらぎもの」
とかいう、和歌の頭に付く言葉だ。
これらの多くは日本の学者でも意味を解けていないものが多い。
「こういう意味だ」と確定されている枕詞でも、下の歌の意味からして「こじつけだ」としか思えない解釈が多いのが実情だ。
和歌そのものも、その意味が確定されていないものがある。
だいたいにして万葉集の歌はすべて漢字で書かれている。
「あかねさす」は「茜草指」である。
「あおによし」は「青丹吉」である。
「うつせみ」は「空蝉」である。
「そらにみつ」は「虚見都」である。
本当にそう読むべきなのかさえわかっていない。
万葉集が作られた時代は8世紀である。
飛鳥時代からの昔の和歌もたくさん収録されている。

万葉集より昔といえば、多くの渡来人が活躍した時代である。
特に朝鮮半島からの渡来人が多かった。
だから古代日本語は古代朝鮮語からの影響を多く受けて成立したと思われる。
飛鳥時代の飛鳥の人口の8割が渡来人かその子孫だったという調査報告がある。
大和朝廷の政治家や役人には渡来人やその子孫が多く就いた。
例えば「古事記」や「日本書紀」は渡来人かその子孫、つまり漢字に精通していた人たちが書いたと思われる。
(「日本書紀」は全文漢文。「古事記」は一部漢文で、その他は和語の音〈おん〉に当てはまる漢字を使って書いてある。つまり、すべては漢字なのだ)
それで古代朝鮮語が古代日本語に影響を与えないわけがない。
私は、万葉集に収められている和歌の多くは、古代朝鮮語の影響を受けたそういう言語で書かれていると思っている。
そう考えれば、古代の和歌、特に枕詞の意味を日本語学者が解けない理由に合点がいく。
古代の和歌、特に枕詞は、古代朝鮮語で解いてみることが必要ではないか。
しかし、新羅(シラギ)が朝鮮半島を統一してから、朝鮮(李氏朝鮮)はそれまでの言葉をすべて捨て、中国から漢字を取り入れてそれを古代朝鮮語の発音に合わせて使い、国民の氏名も漢字に変えさせた(ちなみにハングル文字ができたのはこの李氏朝鮮時代の14世紀。その後は最近までハングルと漢字の両方を使っていた)。
そのため古代朝鮮語はほとんど消えてしまった。
古代朝鮮語としては、わずかに「郷歌」という歌の断片が残っているだけだ。
それだけでは日本の古代の和歌や枕詞を解読することはまず無理だろう。
しかし、現代韓国語には古代朝鮮語の断片が残っているらしい。
例えば「アギ」という言葉が今あり、昔からあったらしい。
意味は「子ども」で、これが日本に伝わって訛って「ガキ」になったという説もある。
それらの断片から、日本の古代の和歌や枕詞を解読してみてもらいたい。
