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日本人なら日本語の文章を書け!

私は長い間、編集の仕事をしていた。

そこで身につけたのは、正確でわかりやすい文章を書くことだった。

文章が難解だったり文法がいい加減だったりすれば、言いたいことが読み手に正確に伝わらない

昔、札幌に秋山愛生館という薬の卸問屋があった。

そこは道内の薬局向けに月刊誌を出していた。

私はその企画・編集に携わった。

同時に、同社は秋山記念生命科学財団というものを立ち上げ(現在は「秋山記念生命科学振興財団」という名で存続しているようだ)、優れた論文を発表した道内で活躍している研究者に研究費用を進呈していた。

薬を扱う会社だったから「生命科学」の財団にしたのだろう。

それら研究者が発表した論文を一冊にまとめ、年報として毎年発行していた。

その編集も私に任された。

初めに、各研究者の論文が続々と送られてきた(研究費をもらう研究者は毎年十数人いた)。

それらの論文には当然ながら専門用語が多かった。

それは何とか想像できた。

困ったのは、論文のほぼすべてが正しい日本語ではなかったことだった。

主格(欧米語でいう主語のようなもの。日本語独特のもの)が不明だったり、述語がなかったり、目的語があいまいだったり、目的語を説明する修飾語が何がなんだかさっぱりわからないという文章ばかりだった。

文章構成もメチャクチャで、とても読めるものではなかった。

「こいつら大学出てるくせに日本語も知らないのか」と呆然とした。

そんな論文を評価した人たちの頭をも疑った。

彼らはどのようにしてこれらの論文を読んだのか不思議だったのだ。

しかも、ろくな研究論文がなかった。

私は毎日、それら下手な論文と睨めっこし、「この文章の主格はおそらくこれだから、じゃあそのように書き直そう」とか「この文章はこう書き直せば意味が通るだろう」とか「この論文で言いたいのはたぶんこういうことだろうから、この後ろの文章を冒頭に持ってきたほうがいいに違いない」とか考え、その通り直したもののコピーを取って各研究者にFAXした。

しばらくしてから研究者に電話し、修正が「可」か「不可」か問い合わせた。

全部の研究者が「オーケー」を出してくれた。

それで出版に漕ぎ着けた。

〈現在の「秋山記念生命科学振興財団」の授賞式〉

そんな経験をたくさんしていたので、『Zensoku Web』というホームページ(今はない。その内容のほとんどはブログ〈Zensoku Web〉に転載している)を運営しはじめたときも、いろいろ困りはしたが乗り切ることができた。

というのも、『Zensoku Web』には喘息患者や医者や看護婦さんや薬剤師さんや製薬会社の人などから毎日たくさんのメールが来て、それにいちいち返信する必要があったのだが、多くのメールが意味不明の内容だったり要点があいまいだったりしたので、解読に難儀したからだ。

それらのメールの中には、「こういう話題はぜひ『Zensoku Web』で紹介したい」と思うものも多かったのだが、メールをそのまま『Zensoku Web』に載せても読者には理解不能な文章ばかりだった。

そこでメールをくださった方に「いただいたメールを『Zensoku Web』で紹介したい」旨をまずメールして了解を得て、文章の直しに取り掛かる。

何度も何度もメールを読み、何が言いたいのか汲み取り、メールをくださった方が何を望んでいるのとかも想像し、全面的に文章を書き直すというのが普通だった(中にはちゃんとした文章のメールをくださる方もいたが)。

それが毎日毎日の作業だったから、あのころは本当に疲れた。

しかし、直した文章をメールをくださった方に送ると、すべての方は了承してくれた。

そうやって何百というメールを『Zensoku Web』に紹介した。

日本の学校教育では日本語をどう教えているのだろうか。

「主語・述語が大事」と今でもそう教えているのだろうか。

大事なのは「主格」と「述語」であって、また目的語を説明する修飾語の配列(長いものから順に並べる)も大事だ。

何より大事なのは、自分の書いた文章を読む人が内容をすぐ理解してくれるかどうかだ。

日本語の文法なんて難しく考える必要はない。

読み手にわかりやすい文章、正確な情報や考えなどを書く方法なのだ。

教員たちには、それを生徒たちに教えてほしい。

昨年1月、千歳の障害者就労継続支援B型事業所の職員にパワハラをかまして辞めて札幌に引っ越した女性利用者(障害者就労継続支援事業所に通所している障害者は利用者と呼ばれる)がいる。

この女性は、職員に猛烈なパワハラを仕掛けて誤りもせず辞めていった(しかも、社長を強請って金をもらった疑いもある)。

このおばさんはうつ病膝が痛むのと胃腸の調子が悪いため生活保護を受けているが、タバコはズバズバ吸うし食い物は食べ漁るし、普通に街歩きをするし、ウツとは到底思えないほど元気である。

たぶんみんな嘘で、役所を騙して生活保護を受けているのだろう。

それはともかく、彼女が職員にパワハラをしたとき、私は「あの職員に謝るべきだ。あなたはパワハラという犯罪を犯したんだよ」といったメッセージをLINEで送ったのだが、返ってきたのは「なんでわたしが謝らないといけないのよ!」という無反省の内容だったので、呆れて私は彼女とのLINEトークルームを削除した。

それ以前、彼女からしばしばLINEが来たのだが、その文章がいつも解読不能で悩ませられた。

だいたい、「私は」を「私わ」と書くのだ。

漢字の熟語は、どういうわけなのか半分漢字で半分ヒラガナだったりする。

句読点も満足に打ってなくて、文章がどこで切れるのかわからないという問題もあった。

文法なんてメチャクチャである。

「小学校出てんのかいな?」と言いたくなるほど稚拙な文章で、しかも書き言葉じゃなくしゃべり言葉そのままで、彼女の場合、いろいろ省略して話すのだが、それをそのまま書くので意味不明のところが多く、言い回しも不適切なことが多く、慣用句も間違っていることが多く、打ち間違いも多く、メッセージをもらうたびに解読に苦労した。

日本人の中にはこのおばさんレベルの文章しか書けない人が結構いるような気がしてならない。

これは個人の勉強不足によることはもちろんだが、学校教育にも問題があると思う。