灯台下暗し
「灯台下暗し」(とうだいもとくらし)という言葉がある。
学生のころまで私は、その灯台とは岬などに建っている灯台のことだと思っていた。
大人になるにつれ、しかし昔は灯台なんてほぼなかったろうから、どうしてこんな言葉ができたのかと不審になった。
ある時代小説を読んでいたら、武士にしろ町人にしろ、部屋の中に燭台(しょくだい)を置き、その中に油を入れて芯を入れてその先に火を点けるか、そこにロウソクを立てて明かりにしていたことを知った。
燭台は金属製で、長い足があって倒れないように下は大きく丸い金属製の板になっていたようだ。
灯すのは細い芯の先で、小さな火にしかならない。
その燭台のことを灯台とも言っていた。

昔はそんな明かりだけで夜を生活していた。
火を消せば真っ暗である。
消さなくとも、明るいのは灯台の上の一点だけで、部屋の中は薄暗く、特に灯台の真下は燭台の影ができてもっと暗い。
それで、「灯台下暗し」は「近くの物や身近なことほど、かえって見落としやすい」ということわざとしても使われるようになった。
考えがそこまで至ったとき、「なるほど」と私は嬉しくなった。
難しい謎を解いたような気持ちになったのだ。
考えることは面白い。
