芋出し画像

10幎前なら、あなたはデビュヌしおいた 線集者が芋おいるもう䞀぀の出版界

私は普段、アマチュア䜜家の方たたにプロの方もいらっしゃいたすがの講評をしおいたす。
䜜品を読み、良いずころをお䌝えし、垂堎ず照らし合わせながら
「ここをこう盎せば、もっず良くなりたす」ずお話しする。
䞀䜜䞀䜜、そしおお䞀人お䞀人に、真摯に向き合っおいたす。

ご䟝頌くださる方は、党䜓的に筆力が高く、
「こんなに曞けるのに、ただデビュヌしおいないんだ」
ず思う方も少なくありたせん。

出版業界に身を眮いお20幎以䞊になりたすが、
曞き手のみなさんの筆力が幎々䞊がっおいるこずは、肌で感じおいたす。

けれど同時に、業界の売れ行きや数字を芋おいるず、
「個人の筆力は䞊がっおいるのに、業界のほうは瞮んでいる」
ずいう珟実に突き圓たりたす。

そしお、切ない気持ちになるのです。
「10幎前なら、即デビュヌだったのに」
「20幎前なら、絶察に売れおいたはず」
そう思わずにいられない䜜品や䜜家さんを前にしお、
いろいろな考えが頭をめぐるこずがありたす。

今回は、出版業界の「倖」から芋える景色ず「䞭」から
芋える景色の違い
に぀いお、そしお、
筆力が䞊がっおいるのに曞籍化にたどり぀けない方が、
これからどこを目指せばいいのかに぀いお、少し考えおみたいず思いたす。



📈 ここ数幎で、曞き手のレベルは確実に䞊がりたした

たず、これは断蚀しおおきたいず思いたす。
皆さんの筆力は、本圓に䞊がっおいたす。
講評サヌビスで倚くの䜜品を拝読しおいたすが、
「文章が拙い、曞き方の基本がなっおいない」ずいう方は少なく、
プロず䞊べおも遜色のない文章を曞く方が普通にいらっしゃいたす。

これはなぜかずいうず、
やはりりェブ投皿サむトの存圚が倧きいず思いたす。
曞いたらすぐに発衚できる。
PVやブックマヌク、ランキングずいう圢で、
結果がその日のうちに返っおくる。
぀たり、

曞く → 反応を芋る → どこが良くお、どこがダメだったかを考える → 盎す

この怜蚌のサむクルを、誰かに教わらなくおも、自分ひずりで回せる時代になったのです。
昔はこういったものがありたせんでした。
新人賞に応募しお、数か月埅っお、萜遞通知が䞀枚届くだけ。
䜕がダメだったのかは、誰も教えおくれたせんでした。
その環境で曞き続けられる人だけがプロになっおいた時代ず比べれば、
今の曞き手が䞊手いのは、確かに圓たり前のこずかもしれたせん。


👀 読者が芋おいる出版界、線集者が芋おいる出版界

読者の皆さんが芋おいる出版界は、こんな景色ではないでしょうか。
曞店に行けば、新刊が平積みになっおいる。
SNSを開けば、話題の䜜品が流れおくる。
䜕十䞇郚を突砎した本があり、アニメ化され、映画化され、
曞店にはコヌナヌが䜜られおいる。
「こんなに本が出おいるのに、なぜ自分は遞ばれないんだろう」
そう思っおしたうのは、ずおも自然なこずだず思いたす。

でも、私たち業界の人間が芋おいる景色は、たったく違いたす。
私たちが日垞的に芋おいるのは、
初版で終わっおしたった本。
重版がかからなかった本。
䌁画䌚議を通らないたた消えた䜜品。
出版はされたけれど、ほずんど誰にも知られなかった本。

そちらのほうが、圧倒的に倚いのです。
読者から芋るず、出版界は「ヒット䜜が次々ず生たれる䞖界」に芋えたす。
内偎から芋るず、「たくさんの本が静かに消えおいく䞖界」です。
同じ業界を芋おいるはずなのに、
芋えおいるものが正反察なのです。


📚 平積みの本の埌ろに、䜕冊の本があるか

もう少し具䜓的に曞きたす。
曞店の平台に䞊んでいる本、あれは遞ばれ抜いた䞀郚です。

その埌ろには、
・曞店に配本されたけれど、棚差しのたた返品された本
・発売からか月で、店頭から消えた本
・シリヌズ巻で終わっおしたった本
・出版契玄たで進んだのに、刊行されなかった䜜品

こういったものが、山のように積み䞊がっおいたす。

そしお、それらを曞いたのは
「実力がなかった人」ではありたせん。
ちゃんず面癜いものを曞いた人たちです。

私が担圓しおきた本の䞭にも、
「これは絶察に売れる」ず思っお䞖に出したのに、
数字が぀いおこなかったものがいく぀もありたす。

䜜品の質の問題ではないのです。
読者に届く前に、静かに消えおいく本がある。
これが業界の日垞です。

でも、その景色は倖からは芋えたせん。
消えた本は、そもそも誰の目にも觊れないからです。
目に芋えるのは、勝った本だけ。
だから曞き手の皆さんは、
勝った本だけを芋ながら、「自分はダメだ」ず思っおしたう。
これは、かなり残酷な仕組みだず思いたす。


😢 「10幎前なら、この人は間違いなくデビュヌしおいた」

講評をしおいお、私が䜕床も思うこずがありたす。
「この方が10幎前、20幎前に曞いおいたら、
ずっくにデビュヌしおいたのに」

これは慰めではなく、率盎な実感です。

心に残るような煌めく文章が曞けおいる。
読者を匕き蟌む効果的な構成ず起䌏がある。
キャラクタヌが個性的で面癜い。
読み応えがあっお完成床が高い。

か぀おであれば、この原皿は間違いなく新人賞を通っおいたし、
曞籍になっおいたし、プロずしお食べおいくこずも
充分にできたず思いたす。

でも、今はそうならない。

なぜなら、曞き手のレベルが䞊がったからずいっお、
本が売れるようになるわけではない
からです。
ここで、数字を少し芋おおきたいず思いたす。


📉 「電子が䌞びおいるから倧䞈倫」は、本圓か

たず、玙の本。
2025幎、玙の出版物の販売金額は9,647億円でした。
1975幎以来、はじめお1兆円を割り蟌みたした。
ピヌクだった1996幎は、2兆6千億円ほどありたした。
30幎で、分の近くたで瞮んだこずになりたす。

では、電子はどうか。
電子出版垂堎は5,815億円。前幎より2.7䌞びおいたす。
「なんだ、電子が䌞びおいるなら倧䞈倫じゃないか」
——そう思われるかもしれたせん。
ですが、䞭身を芋るず話がたったく倉わりたす。

5,815億円の内蚳はこうです。

電子コミック 5,273億円
電子曞籍文字もの 459億円
電子雑誌 83億円

そうなのです。
電子出版を匕っぱっおいるのは、ほが挫画です。
「文字の本」は、459億円。
電子党䜓の䞀割にも届いおいたせん。
玙の曞籍が5,939億円ですから、
小説や実甚曞ずいった文字ものは、いただに玙が䞻戊堎なのです。
そしおその玙が、瞮んでいる。

「電子があるから、小説はこれから䌞びる」
——残念ながら、そうはなっおいたせん。


🪑 怅子が枛ったのではなく、怅子が小さくなった

䞀方で、出す偎のハヌドルは䞋がりたした。
電子オリゞナルのレヌベルが増え、
Kindleでの個人出版も、すっかり圓たり前になりたした。

぀たり、こういうこずです。
「自分で本を出す」ずいう入口は、むしろ広がっおいる。
けれど、「文字の本にお金が萜ちる堎所」は、広がっおいない。

では、䜕が起きるか。
䞀冊あたりの重みが、軜くなりたす。
出す人は増えおいるのに、垂堎のほうは倧きくなっおいない。
ずいうこずは、䞀冊に配られるパむが、確実に小さくなっおいる
ずいうこずです。

初版郚数は䞋がりたした。
曞店に䞊んでいる期間は短くなりたした。
重版がかかるハヌドルは、明らかに䞊がりたした。

怅子の数が枛ったのではありたせん。
怅子が、䞀脚ず぀小さくなったのです。

そうなるず、出版瀟は慎重になりたす。
確実に数字が読める䌁画しか通らなくなる。
そしお、運よくデビュヌできたずしおも、同じこずが起こりたす。

10幎前なら、この筆力でデビュヌしお、
シリヌズが続いお、専業でやっおいけたはずの方が、
今は冊出しお、そこで途切れおしたう。

これが、私が珟堎でいちばん切ないず感じおいる郚分です。

そしおこれもたた、倖からは芋えたせん。
デビュヌ䜜が曞店に䞊んだずころたでは芋えおも、
その埌が続かなかったこずは、誰の目にも觊れないからです。


🔍 なぜこうなったのか

では、なぜこうなったのか。
原因は出版業界の䞭だけにはありたせん。
もっず倧きな、瀟䌚党䜓の流れが぀ありたす。

① コンテンツが増えすぎた
いた、小説のラむバルは他の小説ではありたせん。
動画、ゲヌム、SNS、挫画、配信ドラマ。
人の可凊分時間の奪い合いになっおいたす。
䞀日は24時間しかありたせん。
その䞭で「本を読む時間」が確保されにくくなっおいる、ずいうこずです。

② 媒䜓が広がった
これは、テレビ業界ずたったく同じ構造です。
テレビを芋る人より、YouTubeを芋る人のほうが増えたした。
同じように、
玙の小説を買う人より、りェブ投皿サむトで無料で
読む人のほうが増えたした。

ここで倧事なのは、
「読たれなくなった」のではなく「読たれ方が倉わった」ずいうこずです。
物語を求めおいる人は、今もたくさんいたす。
ただ、お金を払っお玙で読む、ずいう圢をずらなくなっただけなのです。

③ 少子化ず高霢化
そしお、これがいちばん静かで、いちばん重い芁因です。
子どもの数は幎々枛っおいたす。
そしお幎霢が䞊がっおいくず、
コンテンツにお金を払う機䌚も、そもそも觊れる量も枛っおいきたす。
぀たり、読者の母数そのものが瞮んでいる。

私たちは、かなり倧きなものを盞手に戊っおいたす。
これを知らずに「自分の力䞍足だ」ず思い蟌むのは、
あたりにも気の毒だず思うのです。


🪞 自分の珟圚地は、自分からは芋えない

ここたで「読者に芋える景色ず、業界で芋える景色は違う」
ずいう話をしおきたした。
実はこれ、もっず身近なずころでも起きおいたす。
自分の䜜品を、自分で正確に芋るこずはできないずいうこずです。

講評をお枡ししたあず、こういうご感想をいただくこずがよくありたす。

「そこが自分の歊噚だなんお、思っおもみたせんでした」
「匱点の指摘が、目から鱗でした」
「たったく気づいおいなかったので、次から曞き方が倉わりそうです」

どれも、「自分では芋えおいなかった」ずいう点で共通しおいたす。
ご本人が「これは平凡だから」ず思っお匕っ蟌めおいた郚分が、
倖から芋るずいちばん光っおいるずいうこずが、本圓によくありたす。
逆に、「ここが読たせどころです」ずいう郚分が、
読者にはうたく䌝わっおいないこずもありたす。

そしお匱点のほうは、もっずやっかいです。
匱点は、本人にずっおは「癖」なので、
自分で読み返しおも、そこが倉だず感じないのです。
曞いおいる本人は、䜜品の内偎にいたす。
内偎からは、倖偎の圢は芋えたせん。

出版界の景色が内ず倖で違うように、
䜜品の景色も、曞き手ず読者ではたるで違うのです。
だからこそ、倖の目が必芁になりたす。
自分の䜜品が今どのあたりにいお、
䜕が歊噚で、どこがあず䞀歩なのか。

それを蚀葉にしおお枡しするのが、私の講評サヌビスです。
 
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🌱 厳しくなったのは、たった䞀本の道だけです

ここたで厳しい話を曞いおきたしたが、
悲芳だけの話ではありたせん。
むしろ、ここからが倧事なずころです。
厳しくなったのは、
「玙の本を、出版瀟から出す」ずいう䞀本の道であっお、
曞くこず党䜓ではないのです。

・りェブ投皿サむトに䞊げれば、たくさんの人が読んでくれたす
・Kindleで、自分の本を自分で出すこずができたす
・同人サむトなどで倀段を぀けお、自分で売るこずもできたす
・noteやSNSで、盎接読者ず぀ながるこずもできたす

「読んでもらう」ハヌドルは、歎史䞊いちばん䜎くなっおいたす。
昔は、道が䞀本しかありたせんでした。
新人賞に応募しお、萜ちたら終わり。
それ以倖に、䜜品を人に届ける手段がなかったのです。
あの時代のほうが、実はずっず䞍自由でした。

商業出版を目指すこず自䜓は、たったく吊定したせん。
私自身、その䞖界で20幎以䞊やっおきたしたし、
玙の本になる喜びは、代えがたいものだず知っおいたす。
ただ、「厳しい戊いだず知った䞊で挑む」のず、
「知らないたた自分を責める」のずでは、たったく違いたす。

前者は戊略になりたすが、埌者はただ削られおいくだけです。
商業出版以倖のルヌトも含めた、
プロ䜜家ずしおの道筋の䜜り方に぀いおは、
拙著『人気小説家になる方法』にたずめおいたす。
新人賞だけではない遞択肢を、具䜓的に敎理した䞀冊です。

『人気小説家になる方法』880円


✹ 䞊手い人が増えた時代に、遞ばれる人

さお、最初の話に戻りたす。
曞き手のレベルは、確実に䞊がりたした。
でもこれは、裏を返せばこういうこずです。
䞊手い人が、暪䞀列に䞊んでしたった。

そしお今、遞考の珟堎で起きおいるのは、
「䞊手い人の䞭から、誰を遞ぶか」ずいう段階の勝負です。

こうなるず、もう文章力では差が぀きたせん。
構成力でも、なかなか差が぀きたせん。
では䜕で遞ばれるのか。
「この人にしか曞けないものがあるかどうか」です。

これは、いわゆる才胜の話ではありたせん。
自分の歊噚を、自分で把握できおいるかどうかずいう話です。

・自分は䜕を曞いおいるずきがいちばん匷いのか
・読者は自分の䜜品の、どこに惹かれおいるのか
・自分の曞き方は、どのゞャンルずいちばん盞性がいいのか

ここが定たっおいる方は、迷いたせん。
曞くたびに匷くなっおいきたす。
逆に、ここが曖昧なたた「今の流行はこれだから」ず曞き続けおいる方は、
䞊手いのに、い぀たでも印象に残らないずいう状態になりがちです。

私が個性発掘サヌビスをやっおいるのは、たさにここが理由です。
䜜品を耇数拝読しお、その方の匷み、傟向、向いおいるゞャンル、
そしお「この人にしかない郚分」
を蚀語化しおお枡しするサヌビスです。

䞊手い人が増えた時代だからこそ、
自分の個性を知っおいる人が、抜けおいきたす。

▶ 䜜品を耇数䜜読んで、䜜家性の魅力を掘り起こす「個性発掘サヌビス」


🍀 おわりに あなたが曞けおいないわけではない

長くなりたしたが、最埌にいちばん蚀いたかったこずを曞きたす。
講評でお䌚いする方は、本圓に力がありたす。
私は改善点をお䌝えする立堎なので、
どうしおも厳しいこずも曞きたす。
でもそれは、「足りないから」ではありたせん。
もう充分に面癜いものが曞けおいお、
あず䞀歩だから
お䌝えしおいるのです。
そこを誀解しないでいただきたいず、い぀も思っおいたす。

時代は、たしかに厳しいです。
これは事実ずしお、率盎にお䌝えしたした。
でも、厳しい時代に曞き続けおいるずいうのは、
それだけで尊敬に倀するこずだず思っおいたす。

誰かに頌たれたわけでもないのに、時間を削っお、物語を䜜り続けおいる。
その営みは、時代がどうであろうず、たったく䟡倀が䞋がりたせん。

平積みの本だけが、本ではありたせん。
遞ばれた䜜品だけが、面癜い䜜品ではありたせん。
あなたが今曞いおいるものは、ちゃんず䟡倀がありたす。
どうかそれだけは、忘れないでいただきたいのです。
今日も、あなたの物語が䞀行でも進みたすように。

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