打ち込み、生ドラム、電子ドラム、録音スタジオ。低予算バンドのドラム録音実践記録
ドラムの収録は、アマチュアバンドの音源制作の大きなハードルです…よね?
個人的には、みんなバンドやって!曲作って!録音しようよ!
人生ちょっと豊かになるよ!
と思っているので、そのハードルの解消につながれば嬉しいと思ってこんな記事を書いてます。
ドラムを音源に残す方法は、少なくとも4つある
自分が実際にやってみたのが次の4つです。
1. MIDI打ち込み
2. セルフ生ドラム録音
3. 電子ドラムで演奏したMIDIデータをドラム音で鳴らす
4. 録音スタジオでプロに録ってもらう
1. MIDI打ち込み:いちばん楽だが、参加感が課題
正直、制作を進めるだけなら一番楽です。
録音場所もマイクも要らず、直したい箇所は後から直せます。
その一方で、バンド音源なのにドラムだけ打ち込みだと、ドラマーには申し訳なさが残ります。ギター、ベース、ボーカルはそれぞれ演奏しているのに、ドラムだけが入力データになるからです。
本当に「バンド」の作品としていいのかな…という思いがモヤモヤと。
ただ、それでも、形にするからこそ見えてくる(音だけど)ものやできることもあるので、割り切って採用したこともあるスタイルです。
打ち込みを担当する人がドラマーなら、音色やフレーズ、ベロシティの判断を通して、少なくとも「自分のパートを作っている」感覚は残せるかもしれません。それでも、実演の揺れや、その日の演奏の感じまで残す方法とは別物です。
採用例:スウィープ@クリームズ#「頑張ったり、休んだり。」
2. セルフ生ドラム録音:実践したからわかる、機材・場所・技術の現実
学生時代に作ったスウィープ@クリームズ#の『パステルマニカ』は、サークルの部室で生ドラムを録音しました。マイクもオーディオインターフェースも、サークルにあったものを使って、自分たちでセッティングして録った音源です。

今思い返しても、生ドラム録音はかなり大変でした。
マイクのセッティングは難しいし、後から演奏データを直すことも簡単ではありません。ドラマーの負担も大きいし、ミックスでは音のかぶりもあります。
それでも、卵パックを貼った手作り感のある部屋で録った音には、自分たちで作ったという感覚がありました。クオリティだけで見れば足りないところはたくさんあったと思います。でも、録音場所も、演奏も、編集も、自分たちの手の届く範囲でやったという感覚は、今でもかなり好きです。
一方で、社会人になってから同じことをやろうとすると、かなり難しくなります。
サークルの部室のように気軽に使える場所はない。生ドラムを録れる部屋もない。マイクやオーディオインターフェースを生ドラム録音用に揃えるのも、簡単ではありません。
ここまでの方法を今の環境でそのまま再現するのは難しいです。だからこそ、曲ごとに何を優先するか考えることになります。
採用例:スウィープ@クリームズ#「パステルマニカ」
3. 電子ドラム:演奏の身体感覚と修正可能性の折衷案
そこで一度試したのが、電子ドラムとドラム音源の組み合わせでした。
電子ドラムを演奏してMIDIデータとして録音し、音はドラム音源から出す。これなら、生ドラムそのものを録るわけではないけれど、「自分たちが演奏したドラムパート」として音源に残せるのではないかと思いました。
実際にこの方法を使ったのが、こすもえらしぃの『未来エスカレーター』です。

使っていた電子ドラムはRoland TD-4。演奏したMIDIデータを録って、音はAddictive Drums 2(以下、AD2)で鳴らしていました。
この方法の良いところは、後から調整できることです。
リズムを少し直したり、ベロシティを整えたり、スネアの音色を差し替えたりできる。生ドラム録音では「ミスしたから、もう一回」という場面でも、電子ドラム+MIDIなら「こっそり一部打ち込み修正」という選択肢が一応あります。
もちろん、それが良いことばかりかというと、少し悩ましいところもあります。
直せるからこそ、どこまで直すのか迷う。演奏として残したいのか、音源として整えたいのか。その間で判断することになります。
ただ、自分たちの環境や時間、録音できる場所、マイキングの技術や演奏技術まで含めて考えると、電子ドラム+ドラム音源という方法はかなり現実的でした。
生ドラム録音の空気感とは違います。でも、演奏した身体感覚は残る。打ち込みだけでは出しにくい揺れも残る。後から音作りもできる。
今できることを使って、自分たちの音源を作る。
そういう意味では、電子ドラム録音もかなり好きな録音方法です。
採用例:こすもえらしぃ「未来エスカレーター」
4. 録音スタジオ:高価に見えて、全体ではコストパフォーマンスがよい
ただ、そこからバンドのドラム録音が電子ドラムに完全移行したわけではありません。
未来エスカレーターのMIDI録音は、ドラマーがマイスネアを購入する前でした。
その後、ドラマーがマイスネアを購入しました。
そうなると、話が少し変わります。
ドラム音源のスネアを鳴らすより、その人が選んだスネアの音を録った方が、バンドらしさは出るのではないか。そう考えるようになりました。
結果として、その後のドラムは録音スタジオで収録するスタイルになりました。
生ドラムをきちんと録れる場所で、マイスネアも含めて録る。コストはかかりますが、低予算の自宅環境やリハスタ録音だけでは届きにくいクオリティがあります。
コストはかかると言いましたが、マイク、入力数、録れる部屋、エンジニアの技術までを個別に揃える費用と時間を考えると、必要な日だけプロに頼む方が、むしろ現実的でコストパフォーマンスがよい場面は多いと思います。
自分達でセルフレコーディングしようと思ったら、多チャンネルオーディオインターフェース(数万円)、マイク(数万円〜)、そしてマイクの本数分以上のケーブル(一本数千円…8本なら万円…)
これから100曲、200曲作って、バンドで食っていくぜ!ということなら、アリかもしれませんが、機材費だけでも何曲分プロに頼めるんだ?という出費になります。
利用した録音スタジオには、1本80万円ほどするトップマイクが2本ありました。スタッフさんが「チャンガラじゃなくて、ちゃんとしたものを買いたくて」と話していたのが印象に残っています。
そんな機材を、プロの方がマイキングして、1時間数千円とかで収録してもらえる…圧倒的コスパ!
目先の出費はアマチュアバンドにはきつい!と思う。その気持ちはめちゃくちゃにそれはそれはわかります。わかりますが、ドラム録音で詰まっているのであれば、ぜひ、録音スタジオの利用も検討して、曲を世に送り出してくれたら嬉しいなと思います。
補足(MIDIドラムを生ドラムに寄せる努力)
MIDI録音した未来エスカレーターを上記のレコスタ収録曲と同じCDに収録するにあたり、ちょっと工夫したのでその紹介。
ドラマーのマイスネアはBlack Galaxy
まずはBlack Galaxyの音源プラグインを探したのですが、少なくとも現在購入できそうなものを見つけることができませんでした。
そこで、AD2のBlack Beautyを含むカスタムキットを追加で購入しました。
Black BeautyがBlack Galaxyそのものになるわけではありません。ただ、他の曲で実際に録音したBlack Galaxyのスネアの音程感に、気持ち近づけるようにピッチを微調整しました。
電子ドラム+AD2の録音であっても、完全に生ドラムと別物として扱うのではなく、バンドの生ドラム録音で聴こえているスネアの方向に少し寄せる。そういう作業でした。
また、今回に限った話ではありませんが、AD2を使う際、AD2のエフェクトは基本的に使わず、マイクで録ったまま(に近いはず)の音をAD2から出力して、リバーブなどは他の楽器やボーカルと共通でかけたりしています。
『いつか、明ける』には、電子ドラム+AD2で作った曲と、録音スタジオで生ドラムを収録した曲が同居しています。その聴こえ方について、客観的な感想はまだほとんどもらえていません。
作っている自分には慣れがあるので、違いを気にせず聴いてしまっているかもしれません。もし一枚のCDとして違和感なく聴けていたなら、とても嬉しいです。逆に「ここで音の質感が変わった」と感じた人がいたなら、それも今後の録音やミックスを考える大事な手がかりになります。聴いた人から、ぜひ感想を聞いてみたいです。
流れ星の秘密、空中ラインが録音スタジオ収録曲
未来エスカレーターが電子ドラム+AD2の曲です
それでも、自分たちで録る道に惹かれる
録音スタジオが単純なコスパでも、そして、クオリティでもまぁ上だよね。と思ってはいるのですが…
個人的には、なぜか、セルフレコしたい!自分の手で全てを作りたい!という思いが消えないんですよね。
自分たちでマイクを立てて、自分たちで録る。『パステルマニカ』で味わった、あの「自分たちで成し遂げた」感覚を、今の環境でももう一度試してみたいです。
ただ、現実的には難しいところも多いです。
マイクセット、スタンド、ケーブル、入力数の多いオーディオインターフェース、録れる部屋、音のかぶり、そして技術。
コスパを考えるとどうしても手がでない…
ただ、そんな中、一つやってみたいことがあります。
それは録音スタジオやリハーサルスタジオにあるSM58を4本だけ使って、ドラムを録ってみること。
キック、スネア、オーバーヘッド左右なのか。あるいはキック、スネア、部屋鳴り、ハイハットなのか。配置を変えながら、どこまでのクオリティが出せるのかを試してみたいです。
お金をかける前に、定番マイクだけでどこまで行けるのか。
もしそれなりに使える音になるなら、低予算バンドにとってはかなり大きい。逆に、やっぱり厳しいという結果になったとしても、「どこが厳しいのか」がわかるだけで意味があります。
MIDI打ち込み、電子ドラム、録音スタジオ、自主ドラム録音。
完成度と費用対効果だけを優先するなら、録音スタジオが現実解になる場面は多いと思います。それでも、低予算の機材でどこまでできるかを自分たちで試すことには、別の面白さがあります。
どれか一つが正解というより、自分たちの予算、時間、出したい音、そしてどんな制作として残したいかの間で、毎回選んでいくものなのだと思います。
録音の背景を知ってから曲を聴くと、ただ音だけを聴くときとは少し違った面白さがあると私は思います。
前述の通り『パステルマニカ』は部室で生ドラムを録った作品で、『未来エスカレーター』は電子ドラムで演奏したMIDIをAD2で鳴らした作品です。
そんな舞台裏も含めて感じてもらえたら嬉しいです。
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