【第3回】排泄ケアは「昼」と「夜」で絶望の種類が違う。私がたどりついた、心を折らない考え方
排泄ケアは、単なる「作業」ではなかった
在宅介護における排泄ケアは、ただおむつを替えるだけのことではありませんでした。
漏れないようにすること。
肌を守ること。
本人の羞恥心を傷つけないこと。
そして、介護する私自身が、明日もまた笑って母の前に立つこと。
母の介護をする中で、私は何度も失敗し、排泄ケアの後始末の多さに立ち尽くしてきました。
その中でたどり着いた結論は、「排泄ケアは、昼と夜で全く別のものとして考える」ということでした。
昼と夜では、しんどさの種類が違います。
だからこそ、ここだけはちゃんとしなければならないという自分との約束や目標も変えていいのです。
昼間の排泄ケアは「調整と観察」の時間
昼間は、まだ介護者の側にも体力と「明るさ」という味方があります。
食事や水分摂取のあとに訪れる「軟便」との戦いは確かに大変ですが、ここは「どうすれば次を楽にできるか」を整える時間だと割り切りました。
「拭く→洗う→乾かす」の三段跳び
焦って一気にお湯をかけると、汚れは広がり、泥沼化します。
初めのうちは呆然と立ち尽くしたことが何度もあります。
まずは拭き取り、その後に洗う。
この順番を守るだけで、肌トラブルも後始末の負担も劇的に変わります。
準備が8割「ノールック作戦」
汚れてから慌てるのが一番心を削ります。
手袋
ゴミ袋
ペットシート
オムツにセットしたパット
お尻拭き
ペーパー
これらが「見なくても手に取れる場所」に配置してあるかを確認し、
昼間のうちに、その「戦場」を整えておくのです。
夜間の排泄ケアは、昼とは「別の生き物」
夜の排泄ケアは、昼間のそれとは全く別物です。
静まり返った家の中、暗闇、冷え込む空気。
眠気で回らない頭。
「なんで今なの……」という黒い感情が、どうしても湧いてきてしまいます。
まず多いのが寝入り端これが結構やられます。
そして眠りについてから1時間後くらい経つと頭がボーとしてまわらず
フラフラ状態。
それでも、かつての私は、夜中も昼と同じように完璧にやらなければと必死でした。
でも、それでは続きませんでした。
夜に大切なのは、完璧さではありません。
大切なのは、「いかに早く、母と自分の眠りに戻れるか」。
それだけです。
夜は100点を目指さない。「最低限」を守る勇気
夜中の便処理で絶望しそうなとき、私は自分にこう言い聞かせます。
「夜は60点で合格。朝まで繋げればいい」
起こしすぎない、冷やしすぎない
照明は最低限。
声をかけすぎず、手早く。
自分を責めない
もし漏れてしまっても、「私のやり方が悪い」のではなく、「今日はそういう量だったんだな」と受け流す。
夜の時間は、きれいごとだけでは回りません。
明日もまた介護を続けるために、夜の私は「効率」という名の優しさを優先することにしました。
おわりに:続けられることが、最大のケア
排泄ケアは、介護の中でも特にお互いの「尊厳」がぶつかり合う場所です。
におい
汚れ
疲れ
それらに飲み込まれそうになったとき、思い出してください。
昼は、少し丁寧に整える時間。
夜は、倒れないように朝までつなぐ時間。
完璧でなくてもいい。
一回一回の成功に一喜一憂せず、「明日もまた、母の隣にいられること」を最優先にする。
それが、在宅介護における排泄ケアの、私なりの正解でした。
在宅介護の方々の、あなたのケアが、少しでも穏やかなものでありますように願っています。
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