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【空き家探偵録・第2部DIY解決編 #2補足】 所有者不明でも空き家を解体できる?〜上申書という切り札

*本記事はNPO法人ホームスィートホーム代表・NAO(行政書士・宅建士)の実務経験に基づく著作物です。

前回の「空き家探偵録・第2部 DIY解決編 #2 」では、
戸籍をたどって法定相続人を調査する方法をご紹介しました。

今回はその応用編として、「調べても、調べても、
所有者にたどり着けなかった
」場合に、
それでも解体まで進めた実例をご紹介します。

実は最初から狙っていたもの

登記簿を調べ、所有者やその子孫を探すために
お隣の県まで足を運びました。

しかし、登記名義人はもちろん、
その家族や親族を知っているという人にも出会う
ことはできませんでした。

もう打つ手はないのでは?
そう思われたかもしれません。

でも、実はここからが本番です。

私たちが本当に訪ねたかったのは、
登記名義人の住所地を管轄する市役所でした。

目的はただ一つ。
「不在住証明書」と「不在籍証明書」を取得することです。

不在住証明書とは?

簡単に言うと、


「その住所には、その人の住民票はありません」

ということを証明する公的書類です。

昔は住民票の除票の保存期間が短かったため、
亡くなって長い年月が経過すると、
住所の記録そのものが残っていないことがあります。

そのため、現在その住所に住民登録が存在しないことを
証明する制度が設けられています。

不在籍証明書とは?

こちらは、

「その本籍地には、その人の戸籍はありません」

ということを証明する書類です。

もちろん、この二つの書類だけで死亡や失踪が
確定するわけではありません

しかし、後ほどご説明する手続きでは重要な意味を持ちます。

ちなみに今回、念のため土地所有者からの委任状や
登記事項証明書を持参しましたが、
役所の担当者からは、通常は第三者でも取得できる
との説明を受けました。

では、なぜ現地まで行ったのか?

ここで疑問が出てきます。
だったら最初から市役所へ行けば良かったのでは?

実は、その通りです。
書類だけが目的なら、市役所に行けば済みます。

それでも私たちが現地調査を行ったのには理由がありました。

それは、
『できる限り所有者を探した』という証拠を残すため
です。

後に行う手続きで、この行動が重要な意味を持つことになります。

解体しても終わりではない

建物を解体した経験がある方はご存じかもしれません。
建物は壊せば終わりではありません。

物理的に建物がなくなっても、
登記簿の上では建物が残っている状態になるからです。
見た目は更地でも、登記上は建物が存在している。

この状態では土地活用に支障が生じることがあります。

そこで必要になるのが、
「建物滅失登記」です。

カギになるのは「上申書」

今回取得した不在住証明書と不在籍証明書は、
この滅失登記の場面で活躍します。

ただし、書類を添付するだけでは足りません。
法務局に説明しなければならないことがあります。

それは、

なぜ土地所有者が、他人名義の建物について手続きをしなければならないのか

という経緯です。
そこで作成するのが「上申書」です。

上申書には、

  • 所有者を探した経緯

  • 現地調査を行ったこと

  • 関係者が見つからなかったこと

  • 建物所有者との賃貸借契約がないこと

などを記載します。

写真を添付できれば、さらに状況が伝わりやすくなります。

つまり前回ご紹介した現地調査は、
どうせ見つからないだろう
と思いながら行った無駄足ではありません。

法務局へ説明するための大切な証拠集めだったのです。

法務局へ相談

私たちはこのプランと関係する書類を持って
法務局へ相談に行きました。

すると担当者から、
この内容であれば受け付け可能です
との回答をいただきました。

これにより土地所有者の権限で解体を進める道筋が見えてきました。
もちろん解体費用は土地所有者の負担になります。

それでも、

  • 土地を有効活用できる

  • 資産価値の向上が期待できる

  • 倒壊や飛散などのリスクを防げる

というメリットがあります。

その後、解体工事と滅失登記を行い、
この空き家問題は無事に解決しました。

「こんな方法があったのか」

そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。
実は、この方法は専門家の間では決して珍しいものではありません

ただ、一般の方にはあまり知られていないため、
所有者が分からないならもう無理だ
と諦めてしまうケースも少なくありません。

しかし、手続きを進める方法が残されていることもあります。

もし同じような問題で悩んでいるなら、
一人で抱え込まず専門家へ相談してみてください。
思わぬ解決策が見つかるかもしれません。


今回のケースは、土地所有者自身が動ける状態
にあったからこそ成立した解決方法です。
もし所有者本人が動けない、あるいは相続人が
誰一人存在しない、といったケースではどうなるのか。

第3部・制度編#4では、上申書方式だけでは対応
しきれない場合に頼ることになる「制度」について
お話ししますので、そちらもご覧ください。

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