「蚊取り線香」
子供の頃の記憶
夏になると、どこの家にも
蚊取り線香の匂いが
漂っていた記憶があります。
今のような電気式ではなく、
渦巻きの蚊取り線香を金属の台に置き、
部屋の隅で静かに煙を上げていました。
家の中は独特の匂いで満たされ、
それが「夏の夜」の匂いでもありました。
ただ、あの煙はなかなか強烈でした。
夜、布団に入って目を閉じると、
煙がしみるのか涙が出てきて、
なかなか眠れなかったことも思い出します。
それでも窓を開ければ蚊が入ってくるので、
我慢しながら寝ていたのでしょう。
今思えば、少し煙たい不便さも含めて、
あれが昔の夏の暮らしだったのだと感じます。
