「五右衛門風呂」
子どもの頃の記憶に、
五右衛門風呂がある。
あの独特な鉄の釜と、
下から薪で焚く仕組み。
見た目からして、
ちょっとした冒険だった。
何より難しかったのは入り方だ。
底が熱くなっているから、
そのまま足をつけるわけにはいかない。
木の板をそっと浮かべて、
その上に体重を分散させながら入る。
うまくやらないと、
思わず「あつっ」と声が出る。
ゆっくり腰を下ろし、
板の位置を気にしながら体を沈めていく。
慣れるまでは落ち着かないけれど、
不思議と慣れると心地よくなる。
薪の匂いと、やわらかいお湯の感触。
今の風呂とは違う、どこか素朴な温もりがあった。
手間も危なさもあったけれど、
あのひと手間こそが、
記憶に残る理由なのかもしれない。
(記憶を思い出すと楽しい。
悲しかった記憶も楽しさに変わる。)
しあわせのあおいねこ 2026.6.22
