「小鳥を捕まえる罠」
子供の頃の記憶
子どもの頃、「小鳥を捕まえる罠があるらしい」
と聞いただけで、胸が高鳴った。
本当にあるのかも
分からないその話を頼りに、
山の中へと足を踏み
入れた日のことを覚えている。
道らしい道はなく、
木々の間をすり抜けながら進む。
葉のこすれる音や、
どこからか聞こえる鳥のさえずりが、
冒険をいっそう本物らしくしてくれた。
少し怖くて、でも引き返したくはなかった。
結局、噂の「罠」を見つけることはできなかった。
それでも、不思議とがっかりはしなかった気がする。
あのとき探していたのは、罠そのものではなく、
「まだ知らない何か」だったのかもしれない。
今思えば、あの小さな冒険こそが、
いちばん鮮やかな宝物だ。
