見出し画像

『なろう』の埋もれた秀作『Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す』

※見出し画像は作品をイメージして独自に制作したものです。公式画像ではありません。

🐙かんべいが、これまで『なろう』で無銭ただ読みした作品群の中で、書籍化、メディア化されていない・・・・・・作品で…あ、あれ面白かったな…と思う作品を取り上げてみました。


『Takeda Kingdom!甲斐国は世界を目指す』

https://ncode.syosetu.com/n4718ev/

作者:登録情報はありません(退会したようです)

最終エピソード掲載日:2018/12/01

戦国時代に僧形が一心不乱に勉学に努めます。数学や物理にも長じ、化学にも長け、実験と記録で改革を目指します。地道な努力と向上心は、はたして戦国時代を変えていく。ちょっぴり願望と幸運を上乗せしたストーリーになっております。言葉使いは現代語です。酢酸トコフェロール(ビタミンE)……など発見されていない名称が出てきます。説明の為とご理解願います。

本文より転載

主な登場人物

※人物紹介は、作品序盤から中盤に示される情報を基準としています。後半については伏せています。
※以下の人物紹介は、作品序盤の内容をもとに小生が独自に要約したものです。

主要登場人物プロフィール

松戸彩円まつど・さいえん

奇妙寺を開いた僧形で、本作前半の中心人物。機知と好奇心に富み、医療によって寺院と孤児院を支えようとする。

未来知識を完全に持つ転生者ではなく、海外から断片的に伝わる知識、職人の経験、自身の観察と実験を組み合わせて新技術へ到達する人物である。把持鉗子、消毒、ガラス器具、蒸留、工作機械、化学など、奇妙寺の研究分野を次々に拡張する。第1話

成功だけでなく失敗も多い。しかし、それを記録・標準化し、個人の秘伝ではなく組織の共有知識に変えたことこそ最大の功績。彼の没後も奇妙寺は活動を継続し、国外へ進出していく。第42話「1450年松戸彩円死す」

丁翁ていおー

彩円の長年の協力者となる商人。堺、明、中国、イスラム圏、インド、南蛮へつながる広大な交易網を持ち、書物、鉱石、薬草、ガラス、機械模型などを奇妙寺へ運ぶ。

自ら発明する技術者ではないが、「必要な知識や素材を世界から探し出す」能力は彩円に劣らず重要。読めないイスラム技術書を調達し、希少鉱石を求めて日本各地を巡るなど、奇妙寺を閉鎖的な寺院から国際的研究機関へ変えた功労者である。第9話

彩円とは約半世紀にわたって行動を共にし、その死を心から悼んだ数少ない人物でもある。

莫斯利もすり

奇妙寺に集まった異能の技術者の一人。鋳造と切削加工を得意とする鍛冶師で、機知に富む。

リンゴの皮剝きから回転切削の原理を連想し、旋盤開発を進めるなど、日常の動作から機械構造を閃く直感型の技術者。天才的だが、興奮すると少々言動がアホっぽくなる、愛嬌ある人物でもある。

高速度鋼や工作機械の開発に関わり、職人の手加減に依存していた加工技術を、再現可能な機械工業へ変えていく。高速度鋼開発編

宮天ぐうてん

塑性加工を専門とする奇妙寺の研究僧。金属板を変形させるプレス加工、多段絞り、薬莢や缶の製造などを担う。

複雑な工程を複数段階へ分解し、失敗を一つずつ潰していくことを得意とする。派手な思想家ではないが、彼の加工技術によって火器、薬莢、保存容器、大量生産品が現実のものとなる。

奇妙寺が「珍しい発明を一個作る研究所」から、「同じ品質の製品を大量に供給できる工業組織」へ進化するうえで重要な人物。

武田清信たけだ・きよのぶ

武田信虎の嫡男。史実では早世する人物だが、本作では奇妙寺の医療によって生き延びる。

機械工学に優れた知性派で、理論、設計、長期的な戦略を重視する。敵を力任せに倒すより、技術・補給・制度を組み合わせて逃げ道を塞ぐタイプ。武田家と奇妙寺の技術体系を最も直接的に結びつける人物である。

後には、膨大な記憶能力を持つ信之の才能を見抜き、その知識を武田家の未来に生かそうとする。第85話

武田晴信たけだ・はるのぶ

信虎の次男。史実の武田信玄に相当するが、本作では奇妙寺の科学教育と世界情勢教育を受けて育つ。

内政、外交、軍略のすべてに優れた万能型。甲斐国の貧しさを憂い、身分を隠して市井を歩くなど、民の暮らしを直接知ろうとする一面を持つ。

優秀である反面、慎重に考えすぎて決断が遅れる傾向もある。奇妙寺が世界規模でポルトガルやスペインの進出と対峙している現実を理解し、日本統一と国家規模の近代化を目指す。第60話

武田浅信たけだ・あさのぶ

信虎の三男。史実では早世する人物だが、本作では奇妙寺の医療によって生存する。

一見するとひ弱な美青年で、花鳥風月を愛し、何を考えているか分からない自然派。普段はぼんやりしているが、突然本質を突く閃きを示すため、清信と晴信から信頼されている。

実は人の精神や感情へ触れる超常的な感応力を秘める。この力は、戦場で敵を直接倒すものではなく、人間の決断や外交、統治へ静かに影響を与えるもの。序盤後半における、科学技術では説明できない武田家の「もう一つの力」を象徴する。

奇妙寺

人物ではないものの、本作全体を通じた実質的な主人公。

当初は孤児院、寺院、診療所を兼ねた小さな施設だったが、彩円のもとで記録、教育、標準化、実験を重視する研究組織へ発展する。

彩円の死後も特定の天才に依存せず、無名の僧形たちが研究を継承。医学、薬学、化学、冶金、工作機械、農業、印刷、発電、火器、蒸気機関、造船、航海術へと領域を広げ、やがて日本国外にも支部と情報網を持つようになる。

本作の本当の主役は彩円個人というより、

「知識を記録し、次世代へ渡す制度そのもの」


🐙かんべい

『なろう』でもありふれたジャンル、『日本の戰國時代』+『歴史改編』モノですが、変わっているのは、個人がどうこうではなく、組織・システムによる歴史の改編、甲斐かいの国から始まるルネッサンス。そして、詳細な工学技術の記載にあります。工学系のかたは興味を持たれるのではないでしょうか?