原種の見分け方は簡単!植物の命名ルール12種類✏️|メキシコ多肉ノートvol.5
Hola👋
Alma Méxicoのはいじです。
日本では、和名や流通名で出回ることが多く、ラテン語の学名で販売されているケースはあまり多くありません。お店に行くと、「スノーベルベット」や「ピンクハニー」など、可愛らしい名前で販売されているのを目にしますよね☺️
一方で、メキシコから植物を輸入する際には、分類階級や学名の理解が欠かせません。そこで今回は、基礎からわかりやすく整理していきたいと思います!
Alma Méxicoの仕入れカタログも基本的には学名・栽培品種名になるのでこのnoteを見てからカタログを見るとより把握しやすくなると思います📖
【マガジン】メキシコ多肉ノートはじめました。
植物の学名には2つのルールがある!

植物の分類階級(界・門・綱・目・科・属・種・亜種など)の階層構造自体は、野生植物も園芸品種も共通です。
正式な学名の付け方(命名ルール)は、大きく2つの国際規約で管理されています🧑🏫
【①】自然界の植物
└ ICN(国際藻類・菌類・植物命名規約)が管理
【②】人が作った・選んだ植物
└ ICNCP(栽培植物国際命名規約)が管理
複雑だなぁ…「1つに統一してくれたらいいのに」と思い、深掘りするとどうやら元々は一緒だったそう。
1753年にリンネが二名法(属名+種小名の学名システム)を作ったとき、まだ「園芸品種」という概念は命名ルールの中に入っていなかった。
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ところどっこい。18〜19世紀にかけて、ヨーロッパで園芸・農業が爆発的に発展。チューリップ、バラ、リンゴ……人が作り出す新品種が次々と生まれ、それぞれの国・業者がバラバラに名前をつけ始めた。
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同じ植物が国によって違う名前で売られる、まったく別のに同じ名前がつく、という大混乱が起きる。
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1952年にワーヘニンゲン(オランダ)で初めてICNCPの原型が合意され、正式に分離。それ以来、2つのコードは独立して改訂を続けている。
なるほど…確かに分けないとカオスになりますね(笑)
【ICN管轄】自然界の植物の種以下の命名階級(8カテゴリー)

① 原種(Species)

種(Species)=原種
略称:なし(スペースで区切られた2語が学名)
原種とは、自然の中に自生している、人の手が加わっていない野生の植物のこと。分類上は「種(Species)」という単位で、学名はイタリック体の2語(属名+種小名)で表記されるので分かりやすい👏

② 亜種(Subspecies)

略称:subsp. または ssp.
書き方: Euphorbia characias subsp. wulfenii
種内でも地理的に隔離され、交配が起こらないグループを指します。見た目や性質にも、はっきりとした違いがある場合に使われます。
多肉植物の文脈では var.(変種) の方が多く使われていますが、近年の分類見直しで subsp. に格上げされる例も増えているようです👀
③ 変種(Variety / var.)

略称:var.
書き方: Echeveria setosa var. minor
変種とは、原種の中に自然に生じた「見た目や特徴が少し異なるグループ」のこと。
人為的な操作ではなく、自然界での地理的隔離や環境適応によって生まれた違いです。亜種よりも小さな違いで、同じ地域に分布していることもある自然なバリエーション。
つまり var.(variety の略) が入っていたら「同じ原種の中の自然バリエーション」ということ。
🔑 ポイント: 変種は人間が作ったものではないので、ICNの管轄内です。種(Species)と同じルールで命名される。
④ 亜変種(Subvariety / Subvarietas)
略称:subvar.
書き方: Astrophytum myriostigma subvar. glabrum
変種をさらに細分化したもの。だんだんと理解が追いつかなくなってきた😭が、、、使用頻度はかなり低い。多肉植物の世界ではほとんど見かけないみたいなので安心(笑)
ギジェルモ曰く「使う必要があるケースは非常に限られる。でも論文では時々見る」とのこと。
⑤ 形態変種(Forma / Form)

略称:f. (メキシコだとfa.が使われることが多い)
書き方: Echeveria sp. f. cristata
forma(フォルマ)は、種・亜種・変種の中で、特定の形態的な逸脱を示す個体群に使われます。f.の後ろは「どんな違いか」を示す名前が入ります。
例えば、
Euphorbia heterophylla f. cyathophora(杯状の構造をもつもの)
Cereus jamacaru f. cristatus(石化・綴化したもの)
⚠️ 注意点
forma(形態変種)による違いは通常、環境的な理由で生じるものであり、次世代には引き継がれないことが多いとされています。つまり遺伝的に安定していないケースが多く、これがcultivar(栽培品種)との大きな違い。
また、最近の分類の見直しでは、多くのformaが亜種や種そのものとして再分類されるケースが増えているという傾向もあるそうです。
⑥ 亜形態変種(Subforma)
略称:subf.
formaをさらに細分化したもの。
まだあるのか!と思いましたが、ほぼ使われていないそうです。ICNでは一応認められていますが、現代の植物学では実質的に存在しない分類と思っていいくらい稀のよう。
⑦ 雑種・ノソスピーシーズ(Nothospecies)

Graptoveria Lovely Rose
略称:なし(× 記号で表記)
書き方: Echeveria × (雑種名)
例:
× Graptoveria
(グラプトベリア:グラプトペダルム × エケベリアの属間雑種属)
× Sedeveria
(セデベリア:セダム × エケベリア)
自然界で2つの種が自然交配して生まれた雑種に使われます。
ノソスピーシーズは「notho-(雑種)+taxon(分類群)」を意味する「ノソタクサ」の一形態で、異なる属が関わる場合は「ノソジーナス(nothogenus)」として属名の前に × 記号をつけて表します。
⚠️ 「×」は自然の雑種に使う記号。
人工交配の栽培品種には使いません(ICNCPのルールで禁止)。
⑧ ノソバラエティ(Nothovariety)
略称:nothovar.
書き方: Salix rubens nothovar. basfordiana
ノソスピーシーズ(自然雑種種)の中に生じた変種。
1982年の国際植物学会議以降、ノソスピーシーズ内の下位分類はノソバラエティ(nothovar.)として扱われるようになりました。
① 普通の種(A) × 普通の種(B)
↓
② 雑種(ノソスピーシーズ)
↓
③ その中で違いが出る
↓
④ ノソバラエティ(nothovar.)
【ICNCP管轄】人が作った・選んだ植物の命名階級(4カテゴリー)

① 栽培品種(Cultivar)
略称:cv.(ただし実際の名前表記には使わない)
書き方: Echeveria 'Laulindsa'(シングルクォーテーション)
栽培品種は、人間が意図的に選抜・育種・交配して作り出した植物。
ICNCPのルールでは、栽培品種名はシングルクォーテーションで囲まれ、各単語の頭文字を大文字にして表記します。
⚠️注意
2004年以降に命名された栽培品種の名前は「ラテン語以外の言語」で付けることがルールになっています。これは原種と区別するためのようです。
- 栽培品種が生まれる3つのパターン
交配(hybridization) ── 異なる種を人為的にかけ合わせる
実生選抜 ── 種子から育てた中から特徴的な個体を選ぶ
スポーツ(枝変わり) ── 突然変異で生まれた形質を固定・増殖する
ほとんどのケースは、①交配によって生まれた個体群、②あるいは自然変異や既存種の中から優れた個体を選抜し、それをクローン増殖によって固定しているのかなと。
② グループ(Group / Gp)
略称:Gp
書き方: Rhododendron boothii Mishmiense Group
Groupは2004年のICNCP改定で「cultivar-group」に代わって導入された正式な分類カテゴリーで、共通の特徴を持つ栽培品種の集まりを指します。
「Brassica oleracea Capitata Group(結球キャベツ類)」のように、複数の栽培品種をまとめてひとつのグループとして扱うものです。多肉ではあまり使われませんが、アイリス属や野菜などではよく使わるようです📝
③ グレックス(Grex)
略称:gx
書き方: Paphiopedilum Maudiae
グレックスはラテン語で「群れ」を意味し、同じ両親を持つランの交配種すべてをまとめて指す特別なカテゴリーです。現在は洋ランの命名にのみ使用されているカテゴリーで、多肉植物には登場しません!
④ 接木キメラ(Graft-chimaera)
記号:+(プラスサイン)
書き方:+Crataegomespilus
接木キメラは、異なる種・属の植物を接木したときに、両方の植物の組織が混在した新しい植物体が生まれた場合に使われる分類で、+ 記号で表します。遺伝的な交配(×)とは異なり、物理的に組織が融合したものです。
こちらも多肉ではほぼ見ません!
【覚えておくと便利!】不確かさを示す注釈 aff. / cf.
aff. や cf. は、国際命名規約(ICN)における正式な分類階級(タクソン)ではありません。これらは同定の確実性を示すための補助的な表記で、植物を特定の学名で完全に確定できない場合や、非常に近いけれども確信が持てないときに使われる暫定的な記号になります🙆♀️
① aff.(affinis)
aff. = affinis(ラテン語)=「〜に近い」
例:Echeveria aff. cuspidata
aff. は「かなり近いけれど、完全には確定できない」という意味。
ある種に非常によく似ているものの、細部の違いや情報不足により、正式に断定できない個体に使われます。
② cf.(confer)
cf. = confer(ラテン語)=「比較せよ」
例:Echeveria cf. cuspidata
cf. は「比較してみてほしい」「もしかするとこの種かもしれない」という意味。aff. よりも確信度は低く、候補のひとつとして示されている状態です。
ちなみにこの注釈は、自身で栽培しているナーセリー(生産・販売を行う場所)で使われることが一般的です。
多肉植物の仕入れカタログで復習する


どうですか?学名が少し読めるようになってきた気がしませんか?💡
ナーセリーによって表記にブレはありますが、基礎を押さえておけば予測はできるので命名ルールは覚えておきたい!
⚠️仕入れカテログの表記と注意点

・formaは、fa.表記になっています。
・ローカリティは[〇〇]表記になっています。
・カラーは「Echeveria kimnachii rosa/morado」のように小種名の隣に記載されているものあります。この場合、赤/紫になります。
・カタログに記載の単価はドルではなくメキシコペソになります🇲🇽
仕入れカタログは公式LINEから無料ダウンロードすることができます。
カタログには現在約430種の多肉植物を掲載しています📗
メキシコ多肉植物の原種に興味がある方はご登録ください💨
【次回】原産地と自生地、産地の違いについて🇲🇽
どんな植物にも共通しますが、原産地情報や自生地情報は栽培するうえで非常に重要な手がかりになります。
どのような環境に自生しているのかをデータから読み解き、イメージできるようになると、日本での栽培にも応用できるヒントが見えてくるかもしれません💡
それでは、また次のnoteで。
Alma México はいじ
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