MSX2++という、新PCの話
新年第一弾は極めて趣味の話なので、誰も読まないかもしれない前提で書いている。MSXという規格をご存じない世代も、もう,、かなりいると思われるので、少しだけ説明をすると、かのMSと日本の西和彦さんという人が共同でメーカーを問わない共通規格のハードを作ろうという構想で作ったのがMSXである。当時はメーカー各社がバラバラに独自規格を作っていて、OSなんて高尚なものがPCに付属しているなんてことはなかったのである(電源入れるとBASICインタプリタが自動的に立ち上がるのが普通だった)。
そういう画期的な話で、実際にその後、それなりに世界的に普及する。ただ、当時、高価だった半導体のせいで、お世辞にも高性能とは言えない、ホビー用途向けの入門機という形であった。その後、後継機としてMSX2が誕生するが、これまた、ホビー用途としては総合的な意味ではあるが、ファミコン以下となり、ゲーム機を望んでいたユーザーからは不満であった。もっとも、ファミコンはゲーム専用機であり、PCとして発売されているMSXと比較すること自体がナンセンスだという話もある。また、創始者の西氏も、あくまで、初代と完全互換である、共通規格PCとしての発展形を考えたらしいのだ。多くのMSXファンはそれで正解であったと思っているらしい。ただ、不満がないといえば嘘となり、早い段階でMSX3の登場を願っていたのだ。ところが、発表されたのは、MSX2+というマイナーアップデートされた機種で、その後、さらにCPUが高速化されただけのMSXturboRという機種が発表されて、MSXは終了となってしまった。
市場ではスーパーファミコンなどの時代となり、もはや性能差が著しく、また、PCの値段も下がって、安価なDOS/Vなどの共通規格へと流れていったのだ。現在はそれがWindowsマシンへとつながっているのであるが、今更、MSX2++なんて、新機種を出そうという動きが起こっている。コンセプトは1995年頃に、本当ならこんな機種が出たはずではないか?という歴史のifを埋めようという試みだ。さらに、ついにはMSX3を作成しようという動きまで出ている。こんな懐古主義に付き合うのは当時のオールドファンだけじゃないのか?そんな懸念が早くも出てきている。私も正直、そう、思う。しかし、この新MSXは合理主義で捨てられてしまった、夢があると思う。それは
ハードを超えたソフトウェア技術
というものだ。実際には物理的にそんなことは起こるわけはないのだ。ハード上で動くのがソフトなのだから。しかし、ハード設計者が想定していなかった使用方法をプログラマがあの手この手を使って、実現するプログラムに、特に当時のゲームユーザーは狂喜したものだったのである。ところが、現状のソフトウェアは、OSレベルだったり、ドライバやライブラリ、はたまたま、VM(JAVAとか)なんて技術で、ハードをプログラマが直接、叩くことは、ほぼ、許されないのである。そのため、ハードを超えたソフトウェア技術なんて、無作法なことは互換性のために許されない。そんなトリッキーなことをしなくても、十分なマシンパフォーマンスがあるだろ?遅く感じるなら、ユーザーがもっと速い機種に買い替えたら良いんだという発想である。
これに長くPCに触れてきた世代は、悲哀を感じているのではないか。そこで、開発者には敬意を払いつつ、新MSXには、期待を抱かずにいられないのである。
