かけ算は人生で使うからね
九九
よい子のみんな!「九九」は、おぼえているかなぁ〜?…そっか!えらいえらい!
「7×8=」〜〜??
そうだね。よく言えたね!
でも、言えなかった子も、おちこまなくていいんだよ!
これからとってもたいせつな話をするよ。よくきいてね。
〝しちはごじゅうろく〟というじゅもんを音でおぼえていたって、なんのイミもないんだ。
7を8回、たし算すると56になるってことを、わかることが、たいせつなんだ。
〝しちはごじゅうろく〟を言えなくても、これは、
【7+7+7+7+7+7+7+7=56】
のことだよねってあたまでわかっていて、べつにたし算でもいいから、そのけい算ができることに、イミがあるんだよ。
みんな、これから算数のおべんきょうをいっぱいするし、中学生になったら「数学」っていう、か目を習うよ。
「インスウブンカイ」とか「ニジカンスウ」とか、むずかしいことが、きょうかしょに、もうたくさん。ひゃあ〜、なにそれ?っておもうよね。
でもね、これだけ知っていてほしいんだ。
じゅもんをおぼえるんじゃなくって、「なんでそのしくみになっているのか?」をちゃんと考えて、なっとくすることが大せつなんだ。
いつもそうやってかんがえるクセをつけることで、キミの人生がたのしくなるんだよ。だいじなことだから、おぼえておいてね!
いっしょうけんめいかんがえてもわからないことがあったら、ガッコウの先生や、おうちの人たちや、ちかくにいるオトナたちをたよってね!
ボクたちも、そうやってオトナになったんだ。
キミたちのステキなみらいを、心からいのっているよ!
保護者の皆様方へ
かつて私は、教育現場で仕事をしていました。
この時代になってもなお、いらっしゃるんですよ。小学生のお子様に九九を「音」で覚えさせている親御さんが。
目的を識別されているのなら、全く問題ありません。本来は、かけ算とは足し算の積み重ねであることを理解した上で、暗記することによって、いちいち計算しなくて済んで便利だから覚えるのだと。
蛇足ですが、インドでは19×19まで暗記するというのは有名な話ですね。
さらに蛇足ですが、そろばんはめちゃくちゃ速いけど暗算はできないという子もいます。使っている脳が異なるわけです。
〝音〟で覚えさせたって、全くとまでは言いませんが、ほとんど意味ありません。
算数や数学って何のために学ぶのでしょうか?因数分解も二次関数も、日常では使うこと、まずありませんよね?
そうです。「考える力」を養うための教科なんです。脳の筋トレです。
微分積分を覚えていなくたって成功している大企業の経営者は世の中にたくさんいます。だからといって「じゃあ微積を学ぶ必要ないじゃん」という短絡的な思考に陥るのは愚の骨頂です。
たとえ習得できなかったとしても、理解しようと頭をフル回転させる経験を繰り返すトレーニングそのものに意味があるのです。
必ずしも公式を覚えていなくたって、解ける問題はあります。公式は「手段」でしかないのですから。
とても解けそうにない困難な問題に直面したときでも、自分の引き出しから持ち弾を総動員して、解決策を探る。諦めずに、それができるかどうか。逆境において、そのマインドを発揮できるかが肝要なのです。
テストでも、人生でも通じる話です。
たとえ〝しちはごじゅうろく〟が脳内にメモられていなくたって「なんでその答えになるのか?」という思考力が備わっていることが重要なんです。逆から言うと〝しちはごじゅうろく〟が機械的に言えたとしてもそこで思考停止の人間の人生は、成功するはずもありません。
ものすごく当たり前の話をしています。が、驚くほどご理解されていない保護者の方が多いと感じます。
新学期がスタートして間もない今。
お子様が学校の授業の進度に付いていけず焦っていらっしゃる方々も少なくないのでは。それでも、子どもを置いてけぼりにして先走ることなく〝学び〟の本筋を理解し、導いてあげられる大人でありたいものですよね。
大切なのは、有名校に進学させてあげることではなく、その子に幸せな人生を歩んでもらうこと。お勉強の上達は、あくまでその「手段」のひとつです。
説教くさい文面になってしまいました。申し訳ありません。それでも、私の中でとても大切だと思っている話をお伝えさせていただきました。
