アラフィフ女、息子と行く入笠山(後編)
入笠山山頂まで。またトラブル発生
今回、夏休み中の息子とふたりで入笠山にやって来た。
※前編はこちら
入笠山(にゅうかさやま)は、長野県富士見町と伊那市の間にある標高1,955mの山。都内近郊からアクセスがよく、かつ標高が高いため涼しく、さらに途中までゴンドラで行けるために体力のない人間でも登りやすいということでChatGPTがピックアップした。
今回のコースはこちら。

まずは入笠湿原に入る。

特徴としては細かい分岐が多い。
ヤマレコのアプリが「この先、分岐です」とよく声をかけてくる。
しかし、分岐した10メートル先でまた道がつながっているようなものばかりで、見通しもよく、違う道に行くことで迷ってしまうこともなさそうだ。
入笠湿原の先で、花畑に入る。
花畑の中でも道が分かれていたが、近くにいた他の団体を誘導していた男性が、「どっちを選んでも山頂に行けるから」と声をかけてくれた。
しかしここでトラブルがあった。
花畑だけに蝶や蜂がたくさんいた。
息子は虫が苦手で、近くに虫が来るたびに「うわあ!」「ぎゃー」と大騒ぎしていた。
そして私を盾にして虫から隠れたりしていた。
我が家では自然とふれ合える機会が多いように、保育園も学童も外遊びの多いものを選んできた。
息子も虫を捕まえて遊んだりしてきた。
それなのに、なぜか今は虫が嫌いになってしまった。
息子は体格が良く、すでに成人男性並みの身長がある。そんな大きな息子が虫ごときで大騒ぎして、母親を盾にしている。
なんだか情けなくなってしまった。

花畑を抜けると、山頂付近に入った。
山頂までは岩場コースと岩場迂回コースというものがあった。わたしは五十肩なので、以前の大山の教訓もあり岩場迂回コースを選んだ。
と、そこでまたアクシデントがあった。
山頂までもうあとわずかである事は予測がついていたが、寝不足だったからか、それとも標高が高く、空気が薄かったからか、あるいは単純に日頃の運動不足からか、なかなか足が進まなくなってしまった。
20歩ぐらい進んでは立ち止まるを繰り返した。息子はわたしの状態に気づき、
「お母さん大丈夫?もう歩けないの?おばあちゃんなの?おれ全然大丈夫だよ」
などと声をかけてきた。
そんな感じでどうにか山頂にたどり着いた。
山頂は天気も良くとても見晴らしが良かった。
近くの家族と写真を撮りあったりした。

その後、昼食。
意外と暑く日差しも強かったことと、このあとの行動も考え、木陰で休みたいと思った。山頂には日差しを遮るものがほとんどなかったが、何とかすみにあった低木の下に潜りこんだ。
木陰で敷物を敷いて残りのおにぎり1つとおやつ、溶けたスポーツドリンクを補給した。やはり量が足りないと思った。
息子の分も充分とも言えなかったが、足りなくはなかったようで、情けないことに息子ののり巻きを少し分けてもらった。
前回の大山のこともあり、量が少ないにせよ休憩だけはしっかり取ろうと考えた。
12時前に山頂に着いたが、12時半ごろにまでゆっくりと休んだ。もともと麓のゴンドラ山頂駅からの高低差もなく身体もそこまで疲れていなかったのでその休憩時間で回復した。
帰りのバスのこともあり、12時半で休憩を切り上げ、山頂をあとにした。
下山中、息子からの難しい質問責め
さて、虫もいなくなり、息子はいつものテンションを取り戻していた。やはりふたりで歩いていると息子はおしゃべりになるようだ。
彼はわたしにいろいろな質問をしてきた。
「2をひたすら倍にしていき、どの数まで言えるかやってみて」
「天国のような景色だけど、お前がいるからここは地獄だ。というあおり文句があったら面白そう。これをかっこよく言ってみて」
「空はなぜ青く見えるのかをかっこよく説明してみて」
いちいち面倒な質問である。
わたしは生返事をしたり、それなりに頑張って答えたりなどをしていた。
最後に息子はこんな質問をしてきた。
「今までの人生で、気まずかったことトップ3を教えて」
わたしは答えた。
「知り合いと思って声をかけたら全然知らない人だった。これが3位」
息子は、それ、あるよねという反応をした。
「人の悪口を言っていたら、その人が近くにいた。これが2位」
「まだ上があるの?」
「飲み会の時に横に座っていたママ友が髪についたゴミを取ってくれたが、それはおそらくフケだった。これが1位」
「お母さんそれはちょっとやばいよ。それはまずい」
そんなやり取りをしているうちにゴンドラ山頂に着いた。
目安としていた14時までまだ時間があったので山頂のカフェでタコスを食べ、展望台に寄ることにした。

14時過ぎ。天気は多少曇って来たがまだ雨の気配はない。
無事にゴンドラに乗り、麓に到着した。
道中さまざまなトラブルに見舞われたものの、コースタイムとしては順調に下山することができた。
富士見駅にて。息子を見直す出来事
富士見駅で予約したあずさの帰りの電車を待っている間、駅前の商店とごはん屋が一緒になったような店で涼んだ。
息子は店頭に並んでいた駄菓子を選んでいた。
「これ欲しいんだけど、いくらかな」
そこに声をかけてきた小さな男の子がいた。
「値段書いてあるよ」
それをきっかけに息子とその子は色々とやり取りをしていた。彼はお店のスタッフの子どもで、5歳だという。年齢にしてはしっかりしていると思ったが、こういう場で多くのひととのやり取りが多いからだろうか。
その子は息子を気にいったようで、普段サッカーをしている話をしてきたり、レゴで作った作品を持ってきたり、最後には小上がりに息子をまねいて、自分の子ども用パソコンを見せてきた。
息子は、「そうなんだ」「すごい」などと優しく応じていた。
電車の時間が近づき、男の子にあいさつをしてお店をあとにした。
そこで聞いてみた。
「子どもがめちゃ話しかけてきたけど、どんな気持ちだったの?」
息子はこう答えた。
「小さい頃、年上のお兄さんに親切にしてもらったから、自分もそうしようと思った」
へえ。と感心した。そういう思いがあり、行動することができたのか。少し息子を見直して、帰りのあずさに乗った。
帰宅すると息子は早々に布団に入り爆睡してしまった。
虫のことで騒いで疲れたのもあるだろうが、やはり部活をやめて学校もなく日々ゴロゴロしているので、体力が落ちているのだろう。
なんとかしたいものだと思った。
