創作物語『あっちの焼きそば、こっちの焼きそば』 シロクマ文芸部
夜店から1分ほど歩くと、先ほどとは別の焼きそばの屋台が現れました。
「あれ!さっき買ったばっかりなのに!」
テツロウが思わず口にすると、隣でお父さんが笑っていました。
「お、ここのは牛すじ入りだぞ」
「牛すじってなに?」
「お肉だよ、いい焼きそばだな」
覗いてみると、本当です。
大きな鉄板の上には、テツロウの知ってる焼きそばでは見たことのないお肉が散らばっています。
「えー!これがよかった」
テツロウは先ほど買ってもらった500円の焼きそばを恨めしそうに見つめました。
お父さんはニヤニヤしながら
「牛すじ入りは900円だから、来年か再来年だな」
と言い、行くぞ、とスタスタと歩き始めました。
テツロウとお父さんは、お祭りの通りの石垣に腰掛けました。
焼きそばとラムネ。お父さんはビールです。
焼きそばのパックから目玉焼きがこちらを見ています。
「冷めないうちに食べな」
お父さんにそう言われ、テツロウは渋々焼きそばを啜り始めました。
割れた目玉焼きの黄身と、味の濃いソースの味が思いのほか気に入り、テツロウはあっという間に焼きそばを平らげました。
喉が渇いたので急いでラムネのビー玉を落としてゴクゴク飲んでいると、その様子を見てお父さんはケラケラと笑っていました。
カラフルな夜店と深い藍色の夜空のコントラストは、いつ見ても不思議です。
喉に残る甘い炭酸と、この眺め、お父さんとの時間は、テツロウにとって特別でした。
「来年は牛すじ焼きそばがいい」
「おう。覚えてたらな」
二人はしばらく黙って、賑わう屋台通りを眺めていました。
テツロウの持つラムネの瓶の中で、ビー玉がコロンと鳴りました。
おしまい
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シロクマ文芸部のお題でもう一本書いてみました🏮
今回のお題は、夜店の数だけ物語がありそうですね!
一本目はこちら↓↓
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あむの
