人生のギフト、個人の時間 ①「20年」の数字の根拠から見ていきましょう
定年後の不安をどうにか分解・整理できたという前提で、あなたを待ち受けている「人生のギフト」と名づけた20年の時間の説明をこの章で始めます。
「20年も自由に元気に動ける時間がある」と言われても、俄かには信じがたいかもしれません。
この記事を読むと、この「20年」が単なる希望的観測ではなく、公的な統計とかなり近い水準であることが分かります。
なぜなら、健康寿命や要介護認定率といった一次データが、この時間軸をはっきり裏付けているからです。この章は数字のデータが続き読みにくいでしょうが、数字に裏付けられた事実をまず認識してください。
(1)まず、平均寿命と平均余命の公式データを確認してください
ご承知のように「寿命」のデータは、平均寿命と平均余命の2つがありますね。日本人が何歳まで生きられるかを示す平均寿命は、(厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表」によると)日本人男性は平均81.35歳、女性は87.33歳まで生きるというのが、現在の最新統計です。
ただし、この平均寿命のデータは、生まれたばかり0歳児がこれから生きられる年数を表しています。新生児でなくなった子どもも中学生でなくなった人も50代や70代の死亡データも全て含めた平均値です。定年前後の人が平均81.35歳までしか生きられないのかというと、そうではありません。
実態に近い数値は「平均余命」という、現在の年齢からあと何年生きられるかという数値の方です。
2025年の生命表では、例えば65歳まで生きた人のその後の平均余命は、
65歳男性 → あと19.68年 約84.7歳
65歳女性 → あと24.52年 約89.5歳
さらにこの平均余命で見ると、90歳まで生きられる確率は男性 26.7%で4人に1人。女性 50.8%で2人に1人です。
(2)健康寿命という「元気に動ける期間」の目安
もう一つの壽命の数値が、「健康寿命」です。
日本の「健康寿命」の最新公表値は、2022年(令和4年)で、男性は約72.6歳まで、女性は約75.5歳までが「健康上の制限なく生活できる期間」の平均値です。
ただし、ここは注意が必要です「健康寿命72.6歳」という数字を、「男性は73歳になったら健康ではなくなる」と受け取ってはいけません。これは個人の寿命を予測した数字ではなく、国民全体を統計的に見た指標です。むしろ定年後の人生を考える場合には、次の数字が重要です。
「不健康期間」
平均寿命と健康寿命の差、つまり日常生活に何らかの制限が生じる「不健康期間(フレイル(虚弱)期・要介護期)」は、男性8.49年、女性11.63年です。(2022年・令和4年)
見逃せないのは、この不健康期間が年々縮まっているという事実です。2010年から2022年の12年間で、男性は9.22年から8.49年へ、女性は12.77年から11.63年へと短くなっています。
長生きするほど不自由な期間も比例して延びるわけではない、というのが実データの示すところです。

(3)要介護は「定年後20~25年後の、85歳以降に集中する
さらに重要なデータが、要介護認定率です。
年齢階級別に見ると、65〜69歳ではわずか2.8%、70〜74歳で5.7%にとどまります。75〜79歳になっても11.3%、80〜84歳で25.6%、そして85〜89歳で47.7%、90歳以上で73.0%と、後半になるほど急上昇していきます。
つまり75〜79歳でもまだ約9割が要介護でない状態で、80〜84歳でも4人に3人は要介護ではありません。
認定率が本当に「急上昇」と呼べる転換点は85歳前後で、そこから90歳以上にかけて7割超に達するという、2段階のカーブになっています。
数字のオンパレードで読みにくいでしょうが、もう少しガマンしてください。
(4)定年から15〜20年は、ほぼ丸ごと「自分の意志で動ける時間」
これらを時間軸に並べると、はっきりした3段階の構造が見えてきます。
① 60代から70代前半(〜74歳)は、ほぼ健康寿命の範囲内にあり、要介護認定率も1桁台です。
② 75〜79歳で初めて認定率が2桁に乗り、フレイルへの移行期の入り口に差し掛かります。
③ そして80代後半から90代にかけて、要介護が本格化していきます。
定年を60〜65歳とすると、フレイル・要介護が本格化する85歳前後までの間には、15年から20年程度の「元気に動ける時間」があることになります。
(5)案内人の18年の実感からお話すると
私自身の60歳から78歳までの18年間、実際に元気に動き続けてこられた実感を少し詳細に振り返りますと、
60代はまったく、体力・気力の衰えを感じませんでした。東京と京都の2拠点で生活していて、仕事の出張も含めて年間100回の新幹線移動も苦にならず、食事量も酒量も50代と変わリませんでした。
ゴルフもコロナ禍の自粛期までの72歳ころまでゴルフもよく行っていましたし、ライザップに入会して体重10kg(脂肪量14.6kg減・筋肉量4.4kg増】減量したのも73歳でした。
体力や気力から実年齢を意識しだしたのは、75歳でサイクリングで転倒して大腿骨を骨折して手術入院、リハビリで体力を戻すときにやはり若くはないと言うことを痛感しだしました。

75歳というのが、一つのターニングポイントかもしれません。(また数字データーで恐縮ですが)東京都健康長寿医療センター研究所が行っている「全国高齢者の健康と生活に関する長期縦断調査」によると、
高齢期の自立度(日常生活の自立)の推移を見ると、男性の約70%は75歳頃から緩やかに低下し、約11%は80代・90代になっても元気なまま自立を維持します。女性も約88%が同じく70代半ばから緩やかに低下してい区分ということです。
ただ、それでも、77歳からの20ヶ月間、週2日出社契約(繁忙期は3日)の業務委託をこなせる体力はまだまだ充分にありました。
いかがでしたか。
「20年のギフト」は、根拠のない励ましの言葉ではなく、厚労省の健康寿命・要介護認定率、そして全国高齢者の自立度データという、それぞれ独立した複数の一次データに裏付けられた、かなり現実的な時間軸でした。
次回は、この「20年」に、世界の研究者たちがどんな名前をつけてきたかを見ていきます。
あらい好一(シニたの) 定年後・天職案内人
定年後18年、ゼロから始めた個人戦の実績を記します。
60代で商業出版3冊(マイナビ出版・ソフトバンク・クリエイティブ・象の森書房)
「対面コミュニケーション」メソッドを開発し、スピーチ・対面コミュ講座を東京・大阪で200回以上実施。経営者&トップアスリートにもパーソナルレッスン多数。
東京海上日動の管理職向け・企業研修講師として8年間レギュラー継続
定年後18年間で新たに1,000人超とコミュニケーションの仕事を通じて交流
YouTube・ブログ・オンラインストアで複数の収入源を構築
