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「一日に一行でも」 太宰治が弟子に残した言葉

三鷹市美術ギャラリーの太宰治展示室で、「『三鷹奇譚』 最後の人―師・太宰治」を見た。

展示の中心は、小山清だった。太宰の創作活動を支えた弟子だった。

1940年(昭和15年)、小山は『晩年』に魅了され、三鷹の太宰を訪ねた。

「生活は弱く、文学は強く」
太宰はそう言って気さくに応じたという。当時、『清貧譚』を執筆中だった。

戦中、小山は疎開した太宰の留守を預かった。1年7か月、師の家でひとり執筆を続けた。小山の『三鷹綺譚』という小説は、この経験をもとに書かれている。

会場で、小冊子を受け取った。小山に師事した宮原昭夫のインタビューや解説が収められている。

企画展示会場でもらえる小冊子

展示室の一角で、足が止まった。直筆の葉書が並んでいた。太宰から小山に宛てたものだった。

毎日、すこしずつでも書いて居りますか。君自身を、大事にして下さい。/すこしずつでも書きすすめていて下さい(一日に一行でも)

太宰治から小山清への葉書より

「生活を荒らさず、静かに御勉強を、おつづけ下さい。いますぐ大傑作を書かうと思はず、気永に周囲を愛して御生活ください」

太宰治から小山清への葉書より

「一日に一行でも」
その言葉が、残った。

小山は師について、このように書いた。

私は太宰さんと会って、太宰さんの人柄が、またその生活が、作品と一枚のものであることを知った。太宰さんはまた非常に率直な人であった。いつ死んでも悔いのないように、好きな人にはこだわりなく好きだと云っておけと云っていたが、すべてにそんなところがあった。見ていてはらはらするほど率直なところがあった。

小山清『風貌』より

太宰の人柄を小山の眼を通して感じることができた。
今日も、何か一行でも書いてみようと思う。

三鷹市美術ギャラリー 太宰治展示室にて、2026年5月17日(日)まで。

※引用、参考文献
 ・『風貌』(小山清、ちくま文庫「小さな町・日々の麵麭」所収)
 ・『太宰治の手紙』(小山清編、河出文庫)

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