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論文レビュー#03|膝蓋腱症に圧力波は効く?

1.結論

膝蓋腱症に対して、RPW(放射状圧力波)+運動療法と運動療法単独はいずれも症状・機能を改善した。

一方、症状の持続期間で調整すると、RPWを追加することによる明確な上乗せ効果は認められなかった。

※本稿では論文の表記に合わせてRPW(Radial Pressure Wave:放射状圧力波)と記載します。臨床ではrESWTや「拡散型体外衝撃波」と呼ばれることもありますが、集束型衝撃波とは物理特性が異なります。


2.今回の論文

論文名:膝蓋腱症を有する身体活動性の高いアスリートにおける、運動療法と組み合わせた放射状圧力波療法の有効性:ランダム化比較試験

著者:富樫維新 長尾雅史

研究デザイン:RCT

PMID:42529220


3.論文の要約

対象

膝蓋腱症による慢性膝蓋腱痛を有するアスリート33名を対象とし、RPW群17名、対照群16名に無作為に割り付けています。

方法

RPW群は4週間にわたり、週1回のRPW治療を計4回受けました。

両群とも理学療法士の指導を受け、毎日、下肢のストレッチと筋力強化運動を実施しています。

評価はベースライン時と、介入後4週、16週、28週に実施されています。

主要評価項目は日本語版VISA-P-Jで、膝蓋腱症による疼痛や機能、スポーツ活動への影響を0〜100点で評価しています。

0点は活動困難・強い症状、100点は痛みなく最大限の活動が可能な状態を示します。

副次的評価項目として、

・スポーツ中の疼痛をVASで評価
・超音波エコーによる腱の変性所見を評価

しています。

超音波所見については、腱障害の連続体モデルを用いて、

①反応性腱障害
②腱修復不全
③変性性腱障害

の3段階に分類しています。

結果

研究開始時のVISA-P-Jスコアは、

RPW群:68.8
対照群:67.4

でした。

その後のスコアは、

4週
RPW群:77.6
対照群:72.7

16週
RPW群:82.5
対照群:78.5

28週
RPW群:89.9
対照群:77.4

となっています。

両群とも時間経過とともに有意な改善を示しました。

調整前の解析では、28週時点でRPW群の方が大きな改善を示しましたが、症状の持続期間で調整すると群間差は有意ではなくなりました。

VASについても群間に有意差は認められませんでした。

また、超音波で評価した腱の変性所見についても、明確な変化は認められませんでした。


4.この結果をどう読む?

結果の解釈

RPWと運動療法を組み合わせた膝蓋腱症への治療は有効である一方、運動療法単独と比較して明らかに優れているとは言えない結果でした。

ただし、実際のVISA-P-Jスコアを見ると28週時点ではRPW群の方が高く、RPWの効果を完全に否定できる結果でもない点には留意しておきたいです。

また、症状・機能が改善しているにもかかわらず、超音波上の腱変性には明確な変化がなかった点も興味深い結果でした。

さまざまな疾患で、画像所見と症状が必ずしも一致しないことは知られていますが、今回も症状改善と腱の構造的な改善が必ずしも同時に起こるわけではないことが示唆されています。

RPWによる治療効果についても、腱組織そのものの構造改善だけではなく、自由神経終末などの侵害受容系への作用が関与している可能性もあるのでしょうか。

今回の研究では作用機序そのものは測定されていないため、ここは今後さらに調べてみたいところです。

研究の限界・注意点

本研究では、理学療法士による介入をある程度監督して実施しているものの、日々の運動療法をすべて管理できていたわけではないことが限界として挙げられています。

この点については、毎日の運動療法を扱う研究である以上、ある程度は避けにくい部分だと思います。

また、本研究で使用されたRPWの出力は、一般的に推奨される設定よりもやや低い出力であったことも述べられています。

そのため、「RPWを追加しても効果がない」と単純に結論づけるのではなく、治療条件も含めて結果を解釈する必要があります。


5.臨床・現場ではどう活用する?

臨床・スポーツ現場への応用

物理療法機器については研究上の限界も多く、本当にどの程度の治療効果があるのか、私自身は懐疑的なところがあります。

丁度、本日私の勤務している施設に集束型衝撃波のデモ機が届きました。

今回の研究で使用されているRPWは放射状圧力波であり、勤務先に届いた集束型衝撃波とは物理的特性が異なるため、今回の研究結果をそのまま当てはめることはできません。

ただ、実際の症例でどのような反応が得られるのか、運動療法との組み合わせも含めて臨床的に観察していきたいと思います。

特に、衝撃波や圧力波そのものによる変化だけを見るのではなく、運動療法を継続したうえで、疼痛や機能がどのように変化するのかを見ていくことが重要だと感じました。

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