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エレファント・マン

生まれながらの苦を解除できたのは美の心

 どうしようもない状況に、人は置かれることがある。死ぬのが最上の道と思えた時、救いの手を指し伸べる人が登場し、こういう人を変化の人という。木の根っこに兎が転がり込むのを待っていて現れるわけではなく、人として評価されるものを持っていた、人知れず努力していたということだ。

 主人公は奇怪な姿をしていて、見世物に使われていた。が、なかなか画面に現れないから、最後まで見せずに通すのかと思いきや、途中から普通に登場して、初めこそウッて思うが、見ているうちにすぐ慣れてしまうから、人の感覚は不思議だ。

 医者がたまたまエレファントマンを見出し、学会で発表し、病院で引き取ったら、頭が弱いと見えたのは演技で、シェークスピアを暗唱するような知性と美意識を持っていた。演劇界の大御所が、何を思ったが面会し、セレブたちがエレファントマンに会いに来るのがステータスのようになる。

医者は評価が高まり、見世物小屋の主人と変わらないことをしているのではないかと悩む。病院では、難色を示していた院長が、エレファントマンに理解を示す。洋の東西を問わず、こんな人が出世するのだ。

 エレファントマンは、また見世物小屋に連れ戻され、小さなオリに閉じ込められるが、仲間たちに救い出される。これも日ごろからの行いがあってこそのことだ。

よく言われることだが、良い思いが、良い言葉、行動として現れ、いつか習慣化し、優れた人格を作るという。優れた人格は、他人がほっておかない。エレファントマンのような奇怪な外見であったとしても、人は人柄に対して動く。

リンカーンは、40歳になったら自分の顔に責任を持てと言ったらしいが、確かに顔にはその人の人柄が出る。子どもの時ならいざ知らず、40歳にもなったら、顔にもふるまいにも表れる。この時の美醜は、いわゆる美人ブサイクとは次元が違う。にじみ出てくる美醜だ。心のありようだ。だから初めこそギョッとしたエレファントマンの姿も、すぐ気にならなくなったのだ。人の顔かたちは生まれながらにしてのものだが、それを超えて人を惹きつけたり遠ざけたりする容姿が人にはある。それは自分の意識次第で作れるものだ。


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