「文系の仕事」か「理系の仕事」という区別について考え直す
理系だから、理系の仕事に就く。
これまでの自分の人生を振り返ると、かなり素直にこの道を歩いてきたように思います。
中学生の頃から数学や物理が得意だったこともあり、高校ではなく高専へ進学しました。その後は大学院の修士課程まで進み、計算力学の世界へ。就職してからは、CAEエンジニアとして仕事を続けてきました。
理系の学問を学び、その専門性を活かせる仕事に就く。キャリアのひとつとして見れば、とても自然な流れだったと思います。
一方で、最近は「理系だから、理系の仕事」という延長線上から、あえて自分を一度離してみたい。そう考えることもあります。

理系で身に付けたものは、理系の仕事だけで使うものなのか?
冒頭に示した疑問は、自分自身の経験によるところですが、noteの記事を別日に読んでいて、腑に落ちたことがありました。
数学を学ぶことで身に付くのは、「計算ができる」や「数式を扱える」という表層的なことばかりではない、ということです。
現実にある曖昧な問題を整理して、数理的に扱える形へ落とし込む。そこから分析した結果を再び現実の言葉へ戻して、他者へ伝える。
言い換えれば、下記の流れの往復作業です。
具体的な問題 → 抽象化・構造化 → 分析 → 再び具体的に言語化
この考え方を経て改めて思ったのは、「理系で培った能力は、必ずしも理系の仕事だけで使うとは限らない」ということでした。
複雑なものを分解する。情報を整理する。構造を見つける。因果関係を考える。そして、分かったことを他者に伝える。
こうした能力は、教育や福祉、企画、文章を書く仕事など、文系的な仕事と思われがちな領域でも、活かせると思います。
つまり、理系の専門知識を使わない仕事に変わることは、これまで積み上げたものを捨てることと同義にはならない。むしろ、理系で培ってきた思考法を違う対象に使うということ。
そうしたキャリアの拡げ方もあるのかもしれません。

理系だけでは扱いきれないもの
理系の強みのひとつとして、「正確性」や「再現性」があります。
数学や物理、工学では、条件を整理し、現象をモデル化し、論理を積み重ねながら問題を順序立てながら考えます。
自分は長い間、こうした行動に慣れ親しんできました。
しかし、人間社会に根付いた問題の中には、それだけでは扱いきれない場合があります。
人にはそれぞれ違う経験、価値観、そして、感情があります。加えて、置かれている環境や人間関係も違います。だからこそ、「何が正しいのか」とは違って、時には非合理的に感じられる問いも発生します。
その人にとって、何が大切なのか?
そもそも、誰にとっての問題なのか?
なぜその人はそう感じたのか?
研究や技術について考える場合でも、それらに関連する歴史や文化、当事者が抱える思惑など、様々な社会的文脈があり、理論と同じく必要不可欠な観点と言えます。
理系的な考え方が間違っている訳ではない。ただ、理系だけでは扱いきれないものが、人生には存在する。自分はそのように捉えています。


文系と理系のバランスを組み直す
noteでは、これまで数学や物理を中心とした記事を書いてきました。
一方で、社会に出て経験した苦労などもあり、心理学や教育学などにも関心を向けるようになりました。そこから、人間社会、感情、生きづらさ、働き方など、文系的なテーマにも触れるようになりました。
自分は学問に対して、文系・理系で区別するのではなく、人生という長い時間軸で見たときに、両輪で扱うものだと考えています。
理系で培った分析や理論を土台として、人文学や社会科学の視点も重ねることで、自分自身の思考や表現も拡げていく。
noteという環境で長年続けてきたことは、それを体現する場所でした。そして、今度は「書くこと」だけではなく、自分自身のキャリアにも転化していきたいという気持ちがあります。
理系の世界を中心に生きてきた自分が、人間や社会を理解するための学問へと視野を拡げたい。それは、自分の人生として、文系・理系のバランス感覚を組み直すことだと捉えています。

これまで、理系側に人生の重心を置いてきました。だからと言って、重心を一気に反対側に移す必要はない。
数学や物理、工学を通して身につけた考え方を持ったまま、これまで十分に学んでこなかった人間や社会についての視点を加えていく。それを、仕事という世界にも活かしていく。
理系から離れるのではなく、理系だけに自分を閉じ込めない。自分の再調整の時期に、いま立っているのだと思います。

おわりに
文系と理系という区別は、学問や進路を考える上では便利です。ただ、その分類だけで、人間の適性や人生まで決める必要はないと思います。
大切なのは、自分は何が得意なのか、何に心が動くのか、どんな問題に向き合いたいのか。その答えに合わせて、必要な学問や能力を選ぶこと。
理系という立場でこれまで培ってきたものを、全て捨て去るつもりはありません。
理系と文系で仕切るのではなく、自分がこれから向き合いたい人生に合わせて、自分なりの文系・理系のバランスを探していく。そんな生き方を、模索しています。
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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事が、何か皆さんの未来を変えるキッカケになれたら幸いです。
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⭐︎⭐︎⭐︎ プロフィール ⭐︎⭐︎⭐︎

