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📚【吉里吉里人(井上ひさし)】本で旅する思考の冒険|心に響く書籍レビュー第4回


本で旅する思考の冒険|心に響く書籍レビュー

地方から「国」を考える。井上ひさし『吉里吉里人』が描く、笑えて痛快な独立革命


いま、この国に“モノ申す”小説を。

「地方創生」という言葉が聞かれなくなって、もう久しい。
道州制の議論も立ち消え。
若者は都市に流れ、地方の風景は静かに老いていく。

そんな閉塞感の中で、ひとつの村が“独立”を決意する。

40年以上前に書かれた物語なのに、
今こそ読むべき一冊――それが井上ひさしの名著『吉里吉里人』です。


📘本の基本情報

  • タイトル:『吉里吉里人(上・中・下巻)』

  • 著者:井上ひさし

  • 刊行年:1981年

  • ジャンル:政治風刺 / 歴史パロディ / 社会批評

  • ページ数:約1,500ページ(3巻合計)

  • おすすめの読者

    • 地方の未来に関心がある方

    • 政治・制度に疑問やモヤモヤを感じている方

    • 笑いながら深く考えたい読書好き

    • 社会を別の角度から見てみたい学生さん



🗾ストーリー概要:「吉里吉里国」が日本から独立⁉

物語の始まりは、東北への一つの取材旅行。
三文作家・古橋健二と編集者・佐藤久夫が、黄金伝説を追って訪れた寒村「吉里吉里」。
そこで彼らが出会ったのは、すでに日本からの独立を宣言した「吉里吉里国」でした。

  • 通貨は独自の「イエン」💰

  • 言語は「吉里吉里語」(=東北方言)🗣️

  • 三権分立、金本位制、自給自足体制を備えた「完璧な国家」🏛️

  • 国際法を武器に、自衛隊=軍隊の侵攻さえ封じる周到さ🔥

独立劇は笑いと風刺に満ちていますが、その骨組みは恐ろしく本格的
まるでユートピア小説と社会科学の融合体です。


💡この本が与えてくれた「気づき」と「目覚め」

■ 「国家」とは何か?を根本から問う

大学時代に読んだ筆者は、ここで初めて
金本位制・国際法・三権分立といった仕組みに興味を持ちました。

日本から切り離されても生き抜くための、制度設計の妙
それは小説の皮をかぶった、まさに「国家の設計図」です。

■ 東北弁という“抵抗の言語”

作中で使われる「吉里吉里語(ズーズー弁)」は、ただの方言ではありません。
標準語という“支配の言語”への抵抗。
井上ひさしの育った東北への愛と、中央に対する異議申し立てが、ここに込められています。

■ いびつな「日本改造論」への風刺

高度経済成長を推し進めた時代、
中央による「地方切り捨て」の政治に違和感を抱いていた井上氏。
吉里吉里国の独立は、地方の声なき声を代弁する痛快なカウンターでもあります。


🌱いま読む理由が、ちゃんとある。

🏡 地方創生はどこへ行った?

  • 地方の高齢化と人口流出

  • 進まぬ道州制の議論

  • 終わりの見えない東京一極集中

『吉里吉里人』は、そんな日本に問いかけます。
地方が変わるには、自分で“国”をつくるくらいの覚悟がいるのでは?」と。

🛡️ 国を守るとは、軍隊だけじゃない

吉里吉里国は、食料・エネルギー・医療・教育すべてを自給自足。
それは、“人が人らしく生きるための『地方の安全保障』”を考え抜いた、もうひとつの理想のかたち。


👥こんな人におすすめ!

  • 自治体や地方議員を目指す若者

  • 社会学・政治学・歴史を学ぶ学生

  • 地元を離れたけど、いつか戻りたいと思っている人

  • 日本の未来に小さな不安と、大きな期待を抱いているすべての人


📚この本が刺さったら読みたい!

  • 1️⃣『国際法〔第2版〕』(玉田大・水島朋則・山田卓平 ):国際法の諸学者向け、わかりやすく解説された入門書

  • 2️⃣『日本の地方政府 1700自治体の実態と課題』(曽我謙悟):現実の自治体制度を知る入門書

  • 3️⃣『国家の品格』(藤原正彦):国を形づくる“品格”という概念の提言


✨まとめ:この村は「夢」か、それとも「警告」か?

『吉里吉里人』は、フィクションという仮面をつけた国家論。
それは笑えるのに、読み終えると静かに突き刺さる現実の鏡です。

「このままでいいのか、日本。」
その疑問がふと浮かんだ人には、
今すぐ読んでほしい名作です。


地方の力を信じたいあなたへ。
この本がきっと、新しい視点をくれます。


🛡️「安全保障」という言葉、ちょっと広げてみましょう

「安全保障」と聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのは:

  • 軍事や防衛

  • 国を守るための自衛隊や外交戦略

  • 国際的な安全保障条約

といった国レベルのものだと思います。

ですが、『吉里吉里人』で描かれるのは、もっと生活に根ざした安全保障です。


🏞️「地方の安全保障」とは?

井上ひさしがこの作品で訴えかけているのは、
単に「日本」という国家をどうするか、という話ではありません。

それよりもむしろ、

「人が人らしく、安心して生きられる社会を、地方からどう築くか?」

という視点です。


🌾吉里吉里国に見る「安全保障」のかたち

作中で吉里吉里国が準備した「安全保障」のしくみは、軍事力に頼らない、まさに生活インフラとしての保障でした:

🍚 1. 食料の自給自足

  • 農業・漁業・林業を柱とする「持続可能な暮らし」

  • 外部に頼らず、食べていけることは最大の安心

🔋 2. エネルギーの自立

  • 地元資源を活用し、再生可能エネルギーも導入

  • 輸入や大手電力会社に頼らない体制

🏥 3. 高度な医療体制

  • 村の中で先進医療まで提供(脳死移植など)

  • 命の価値を“自分たちで決める”という覚悟

📚 4. 教育と文化の尊重

  • 子どもたちに方言(吉里吉里語)を教える

  • 自分たちの文化を「誇り」として引き継ぐ教育


💬なぜそれが「安全保障」なのか?

答えはシンプルです。

「外の支配がなくても、生きていけること」こそが、本当の安全保障。

中央から押しつけられる政策ではなく、
地域の人々が、自分たちで決めて、自分たちで生きていく。

それは、どんな武力や条約よりも強く、しなやかです。


📚『吉里吉里人』が教えてくれたこと

筆者自身、大学時代にこの本を読み、
「国際法」「通貨制度」「三権分立」などに興味を持ちましたが、
読み終えたときに一番心に残ったのは、

「地方が生き延びる知恵は、中央が与えるものじゃない」

というメッセージでした。


🔍現代に引き寄せて考えると…

現在、日本では:

  • 経済・産業の中央集権化

  • 地方の医療・教育の空洞化

  • エネルギー供給の中央依存

  • 食料自給率の低下(40%未満)

が進んでいます。

これらは、軍事とは別の意味での「安全保障の危機」です。

『吉里吉里人』は、それを40年以上前にユーモアと痛烈な風刺で予言していたのです。


🗣️まとめ:「地方の安全保障」とは、尊厳のこと

地方の安全保障とは、
人間が人間らしく、文化を保ち、働き、育ち、老いるという当たり前の営みを、他人に頼らず、自ら守る力のことです。

そしてそれは、軍事や財政よりも、
“誇り”と“知恵”と“連帯”から生まれるのかもしれません。


📚最後まで読んでくださってありがとうございます✨
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Kazuomi Matsunaga🍀 「クリエイティブの世界へようこそ!」 創造・表現することが好きで、日々新しいものを生み出しています。応援が次の創作の力になります!