涼しさにも、少しの配慮をハンディファンをめぐる電車内マナー
電車の中でハンディファンを使うのはアリか、ナシか。そんな記事を読みました。
タレントのSNS投稿をきっかけに、「汗を気化させた風がこちらに来るのが嫌だ」という声まで出て、ネット上では賛否が分かれているようです。髪の毛が吸い込み口に巻き込まれそうになった、という話も紹介されていました。
読んでいて最初に思ったのは、そこまで「使うな」と言ってしまうのは少し極端ではないか、ということでした。
真夏です。
駅まで歩いただけでも汗をかく。ホームで電車を待っているだけでも暑い。車内に入ったからといって、すぐ体が冷えるわけでもない。体質によって暑さの感じ方にもかなり差があります。
ハンディファンは、いまや単なる流行の小物というより、暑さをしのぐための日用品に近くなっています。
暑い人が自分の体を冷やすために使う。それ自体をマナー違反とするのは、少し窮屈すぎる気がします。
「不快に感じる人がいるから使わない」まで広げてしまうと、
公共の場で使える物がどんどん減っていってしまう
満員電車で、隣に立つ人の顔へずっと風が当たっている。長い髪がファンの吸い込み口の近くまで来ている。それでも自分だけ涼しければいい、と使い続ける。
これは少し違うと感じます。
ハンディファンが悪いというより、使い方の問題だからです。
少し下に向ける。胸元へ向ける。混雑してきたら風量を弱くする。人の髪が近いならいったん止める。
ほんの少しでいいのです。
自分が涼しくなるための風が、そのまま隣の人への風になる
そこだけは頭の片隅に置いておきたいこと
電車という場所は、少し特殊です。
知らない人同士がかなり近い距離に立つ。満員になれば肩も腕も触れる。バッグが当たることもあるし、傘の先が気になることもある。香水、イヤホンから漏れる音、リュックの背負い方。小さなことが、近い距離では気になってきます。
ハンディファンも、その仲間なのだと思います。
ここで私は、「汗を含んだ風が嫌だから使ってほしくない」という話には少し違和感を覚えました。
そこまで言い始めると、かなり難しい。
人が集まる場所には体温もある。呼吸もある。夏なら多少の汗もある。完全に他人の存在を感じずに電車へ乗ることは現実的ではないでしょう。
便利な物を全部遠ざけるより、どう使うかを考えたほうが自然です。
私は、禁止を増やすより「周囲を少し見る」という感覚を残したほうが、公共の場は暮らしやすくなると思っています。
マナーとは、
「これ、隣の人は嫌じゃないかな」と一瞬考えることなのかもしれません
最近は何か問題が起きると、「禁止したほうがいい」「使わなければいい」という話になりやすい気がします。
分かりやすいからでしょう。
禁止なら迷わない。
でも、私には少し寂しく感じます。
本来なら、その間にかなり広い場所があるはずです。
使っていい。ただし、人の顔へ向けない。
使っていい。ただし、混んできたら少し気をつける。
暑ければ使う。周囲が近ければ少し向きを変える。
それくらいでいい。
便利な物を使う自由はある
その中に、周囲へのちょっとした配慮もあっていい
電車内でスマートフォンを使うのも同じです。電話は控える。音を出さない。画面を見ながら声を出さない。
誰も「スマートフォンそのものを禁止しよう」とまでは普通は言わない。
ハンディファンも似ています。
道具に善悪があるというより、距離の近い場所では使い方が少しだけ問われる。
ここだけは覚えておきたい。
暑い日は、暑い。
涼しくなりたいのも自然です。
その気持ちまで我慢する必要はないでしょう。
ただ、自分の涼しさのための風が、誰かの顔に当たり続けていないか。髪の毛に近づきすぎていないか。
ほんの数秒、周りを見る。
それだけでかなり違うと思います。
ハンディファンを電車内で禁止、とまで言う必要はないと思います。暑ければ使えばいい。ただ、隣にいる人へ少しだけ気を配る。便利な物を気持ちよく使い続けるために必要なのは、禁止ではなく、そのくらいの小さな気遣い、マナーなのでしょうね。
