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歌声の引力――音読と身体、声と宇宙




丸二日、YouTubeに沼っていた。

きっかけは、カバーソングだった。

僕はカバーソングが好きだ。

原曲もいいんだけど、別の誰かが歌うと、同じ曲が別の顔を見せる。その「別の顔」を作っているのは何だろう。そう考えて、今回は、

カバーソング。
アーティスト。
そして、声。

この三つが重なる曲だけを集めてみた。

洋楽、和物。
ロック、ポップス、ソウル、歌謡曲。

三十一曲。

選んでいるうちに、結局残ったのは、改めて「この声、好きだわぁー」という感覚だった。

ハスキーだから。
透明感があるから。
低いから。
高音がすごいから。
情念があるから。

それだけもないな、
たぶん最初にあるのは、もっと身体的な反応なのだ。



このことを考えていたら、ポール・ヴァレリーの詩論を思い出した。

ヴァレリーは、詩を単なる「意味の入れ物」とは考えなかった。

散文を「歩行」、詩を「舞踏」と捉え、詩では意味だけでなく、音やリズム、声、身体の運動そのものが重要になると考えた。

詩を読むということは、文字から意味を取り出すだけではない。

声に出し、呼吸し、身体を通す。
そこではじめて現れてくるものがある。

この考え方が、今回の「声」に妙に重なった。同じ歌詞。同じメロディ。

そこにサウンドとアレンジ、そして「」が加わる。すると、世界が変わる。
カバーソングの面白さは、そこにあるのかもしれない。



声は不思議だ。

声を考えていると、もう一人浮かんでくる。

空海の「声字実相義」。

声と文字と実相を、別々のものとしてではなく、深く結びついたものとして捉える。声は、何かを伝えるための道具なのではなく、声そのものが何かを現している。声とは、宇宙の実相と空海はいう。

そう考えると、歌声も不思議だ。

「悲しい」と歌っているから悲しく聴こえるのではない。声そのものが、悲しさを持っていることがある。(そう感じる)

だから僕は、歌詞を理解する前に、声に掴まれる。洋楽を聴くというのは、その雰囲気を味わっている感覚なんだと思う。(リアルに何を歌っているかわからないから)



今回、三十一曲を選んでみて、改めて思った。
「良い」と「好き」は、少し違うなということ。

「良い」には、評価や物差しがある。でも、「好き」は、その手前にある。

この声、好きだわぁー

丸二日かけて、僕がやっていたのは、たぶんそれを確認する作業だった。

昔、好きな曲を自分なりに編集して、カセットテープに録音していた。それを思い出した。

一曲、一曲、語りたいこともないではない。でも、こうしてまとめるのは、自分の備忘アルバム的な意味なのだと思う。

音楽は時代とともに流れていく。いつも新しい音楽には触れていたい。音楽は時代の先端。そして流れる。

同じところには、ずっと留まっていない。

だから、たまにこうして備忘録的にまとめてみる。振り返る。

そのとき、自分の「好き」に立ち会える。それが、なんだか嬉しい。

十分楽しかった。また、思いついたらやろう。
音楽はいいな🎵❤️




曲目リスト一覧



01|女性ボーカル編


1. Just Missed the Train|トリーネ・レイン|ダニエル・ブライスボワ
2. Creep|ビリー・アイリッシュ|Radiohead
3. **Headlight Taillight(ヘッドライト・テールライト)**|ジャニス・イアン|中島みゆき
4. Tougher Than the Rest|Everything But the Girl / トレイシー・ソーン|Bruce Springsteen
5. In a Big Country|エディ・リーダー|Big Country
6. Gimme Shelter|The Rolling Stones with Lisa Fischer|The Rolling Stones
7. Don’t Look Back in Anger|ROSÉ|Oasis
8. You’re So Vain|オリヴィア・ロドリゴ|カーリー・サイモン
9. Sweet Jane|Cowboy Junkies / マーゴ・ティミンズ|The Velvet Underground
10. China Doll|スザンヌ・ヴェガ|Grateful Dead
11. Blowin’ in the Wind|スザンヌ・ヴェガ & ヴァネッサ・パラディス|Bob Dylan


02|女性ボーカル編



1. As Tears Go By|The Primitives / トレーシー・トレーシー|The Rolling Stones
2. I Will Survive|シャーリー・バッシー|グロリア・ゲイナー
3. Go Your Own Way|The Cranberries / ドロレス・オ・リオーダン|Fleetwood Mac
4. Just Like a Woman|スティーヴィー・ニックス|Bob Dylan
5. Killing Me Softly with His Song|Fugees / ローリン・ヒル|ロバータ・フラック
6. Nothing Compares 2 U|Martha Davis & The Motels|Sinéad O’Connor / Prince
7. La Vie en rose|ベリンダ・カーライル|エディット・ピアフ
8. Still in Love with You|Sade / シャデー・アデュ|Thin Lizzy
9. Redemption Song|リアーナ|Bob Marley
10. Ain’t No Mountain High Enough|ダイアナ・ロス|Marvin Gaye & Tammi Terrell


03|和物編



1. 異邦人|EGO-WRAPPIN’ / 中納良恵|久保田早紀
2. ホームにて|手嶌葵|中島みゆき
3. 廻廻奇譚|小柳ゆき|Eve
4. 舟唄|藤圭子|八代亜紀
5. 君と歩いた青春|太田裕美|伊勢正三(風)
6. 月光|アイナ・ジ・エンド|鬼束ちひろ
7. 黄昏のビギン|薬師丸ひろ子|水原弘
8. ネオンを消して|YURI(HANA)|chilldspot
9. LOST CHILD|満島ひかり|藤原ヒロシ+大沢伸一 feat. クリスタル・ケイ
10. 空洞です|小泉今日子|ゆらゆら帝国

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