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AT限定解除、ミッション車事件簿




胸が痛い。

そう感じたら、
たいていの人はちょっと不安になると思います。

私もそうでした。

「心臓のあたりが痛い気がする……」

そう思って病院に行き、
レントゲン、エコー、血液検査と、
いろいろ検査してもらった結果。


先生から告げられたのは、まさかのひと言でした。



「筋肉痛ですね」



……筋肉痛。

胸の痛みの正体が、筋肉痛。


今では笑い話ですが、
そのときの私はけっこう本気で心配していました。


そして、
その筋肉痛の原因になったのが、ミッション車でした。


きっかけは、愛車のオーバーヒート事件


もともと私は、
レトロ可愛い軽自動車「ミラジーノ」に乗っていました。

古い車だったけれど、
ずっと大切に乗ってきた相棒です。



そんなある日、事件は起きました。

高速道路を走っていたら、
ボンネットから煙が出てくる、出てくる……。

そう、オーバーヒートです。

高速道路ということもあり、私は完全にパニック。

でも、出口はすぐそこ。

ハザードをたきながら、時速30キロくらいでノロノロ走る私。
後ろからは、車がビュンビュン抜いていきます。

「頼む、もってくれ……!」

そう念じながら、
なんとか出口までたどり着き、料金所で停車しました。

そして、そこでミラジーノはエンスト。

二度と動かなくなりました。

結果、料金所を封鎖するという、
なんともご迷惑な行為をいたしました。
出口が3つあって、本当に良かったです。

その後、レッカー車を呼び、
自宅ではなく知り合いの修理工場へ向かうことになりました。


オーバーヒートを起こしていたのに、
すぐに停車せず走り続けてしまったせいで、
ミラジーノは走行不能に。

一生懸命走ってくれた相棒とのお別れは、
なんともあっけないものでした。



家には眠っていた「乗れない車」が2台


実はこのとき、
我が家には誰も乗っていない車が2台ありました。


1台はセドリック。


当時住んでいたマンションの駐車場でピカピカに磨かれていて、
まるでライオンズマンションのライオンのように鎮座していました。



もう1台は軽自動車。

ミラジーノよりもずっと新しくて、きれいな車でした。


でも、この2台。
どちらもミッション車だったのです。

オートマ限定の免許しか持っていなかった私には、
運転できない車でした。



車はある。
でも、乗れない。

なんというもどかしさ。


旦那さんと相談した結果、

「新しい車を買うより、限定解除した方がいいのでは?」

という、なんとも合理的な結論に至りました。



大人になってからの自動車学校


そんなわけで、
大人になってから自動車学校に通うことになりました。


久しぶりの教習所。

久しぶりの緊張感。

でも、真面目に練習を重ねた結果、
見事一発合格することができました。

やったー。

これで私もミッション車に乗れる。

……と思ったのですが。


教習所で受かることと、
実際に公道でミッション車を操ることは、まったくの別問題でした。


坂道発進が、いちいち怖い


ミッション車に乗り始めてから、
まず怖かったのが坂道発進です。

おそらく、みなさんの想像されている坂道ではありません。


止まれの標識で止まった時、
その場所がほんの少しだけ坂に感じます。

それだけで、もう怖いのです。

少し後ろに下がる感覚が怖くて、
つい教習所で教えてもらった必殺技のサイドブレーキを引いてしまう。


しかも今思うと、
シンクの流し台くらいの緩やかな傾斜でも、

「坂だ……!」

と身構えていました。

今、同じ道を通ると、
「あれ、これが坂と思ってたの?やば!!」
と自分でも笑ってしまうくらい、ほぼ平坦な道です。


でも当時は、本気で怖かったんです。


通勤路は、なんとか少しずつ慣れていきました。

同じ道なら、なんとかなる。

そう思い始めたころ。事件は起きました。



雨の日、知らない道、片道40分


ミッション車に乗り始めて、ちょうど1週間目。

仕事の都合で、隣の市まで行かなければならなくなりました。


車を走らせること、片道40分。
初めて行く場所で、道の様子もわからない。

それだけでも十分怖いのに、
よりによってその日は年に1度あるかどうかの大雨でした。


右手はウインカー。
左手はワイパー。
左足はクラッチ。
右足はブレーキとアクセル。

全身のすべてを総動員して、片道40分の道のりに挑みました。

もちろん、曲を聴く余裕なんてまったくありません。


全集中。


雨の音と、ワイパーの音と、私の心の中の「頼む、無事に着いてくれ」だけが車内にありました。

帰りも同じように緊張しっぱなし。

無事に家にたどり着くまで、ずっと気が張り詰めていました。


翌日、体に異変が


そして翌日。
職場で異変が起きました。

胸が苦しい。

今まで感じたことのない痛みでした。

顔をしかめていると、同僚が声をかけてくれました。

「体調悪いんですか?」

「なんか、心臓のあたりが痛いんですよねー」

そう答えると、
その日はそこまで忙しくなかったこともあり、
早退を勧められました。



「何かあってからじゃ遅いから」

そう言われて、病院へ向かいました。


レントゲン。エコー。血液検査。

ありとあらゆる検査をしてもらいました。

そして診察室に呼ばれた私に、先生はこう言いました。

「特に異常はありません」

ホッとしました。


でも同時に、じゃあ、なんでこんなに痛いんだろう?

とも思いました。


すると先生が聞いてきました。

「最近、いつもと変わったことはありましたか?」

私は少し考えてから答えました。


「ミッション車に乗り始めました。あ、でも関係ないですよね」


すると先生は、
少し間を置いてから聞き返しました。

「もしかして、長時間運転されたりしますか?」

そして告げられた診断は、「筋肉痛ですね」でした。



車に乗ることは、全身運動だった


胸のあたりが痛いと聞くと、どうしても心臓を疑ってしまいます。

でも実際は、雨の中、慣れないミッション車でクラッチを踏み続け、全身に力を入れっぱなしで往復80分。

緊張も重なって、体のあちこちが悲鳴をあげていたようです。

車に乗ることが、こんなにも全身運動になるとは。

正直、知りませんでした。

極度の緊張が長時間続くと、人は筋肉痛になるらしいです。

体験してみないと、絶対にわからないことでした。


恥ずかしさは、忘れられない


問題は、その後です。

翌日、仕事に行くのがとてつもなく嫌でした。


案の定、心配してくれていた同僚が、
「昨日どうだった?」と聞いてくれます。

そこで、

「実は……筋肉痛でした」

と報告したときの恥ずかしさは、今でも忘れられません。


あんなに心配させておいて、まさかの筋肉痛。


でも、今こうして笑い話にできているので、
それはそれでよかったのかもしれません。

ミッション車に乗るようになって、7年。
今も毎日クラッチを踏んでいます。

あのときの胸の痛みも、坂道発進の恐怖も、
雨の日の全集中も、今では全部ひっくるめて思い出です。



マイキーさんの記事を読んで
ちょっと恥ずかしい思い出を書いてみました😁


教習所に行かず、
いきなり運転免許試験場にいって解除することもできますよ😁


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