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文系教員が挑むAI基礎の授業計画#13

第11回授業から始まった夏の新商品紹介動画の作成は、AIを使って最短ルートで成果物を作る体験ではありません。学生たちがいずれそのような仕事に関わるときのために、あえて工程を分解してから統合するという、AI理解の王道を歩んでもらうためのプロジェクトです。

第13回授業のテーマは「文章が音声になる過程を体験する」。Word に搭載された読み上げ機能を利用して、ナレーション用の音声ファイルを作成します。AIは一枚岩ではなく、言語を処理する技術、音声を生成する技術、そしてそれらを統合する技術は別物であることを体験的に理解してもらうことが目的です。自然言語処理とは何か、そして、音声合成とは何かについてのミニ講義も準備しました。

事前学修では、第12回授業の実習でNotebookLMに生成させた自分の新商品説明をもとに、ナレーション用の原稿を作ってきてもらいます。学生たちは、読み手が目で追う文章ではなく、聴き手が耳で受け取る文章にするために、一文を短くしたり、文の順序を入れ替えたりといった工夫をするはずです。そのときの気づきをミニ講義の後の活動につなげます。

その活動は、人間が語ることを前提に書かれたナレーション原稿をWordの読み上げ機能を利用して音声化するワーク。サマーピーチフールを紹介する原稿を題材に、人間が読む場合とAIが読む場合とでどのような違いがあるのかを学生に話し合ってもらう予定です。自分で原稿を書いたときには、無意識のうちに間をとる位置や長さ、強調する語句やその度合い、さらには語る速度の揺れを期待していたことに、ここで初めて気づく学生もいるかもしれません。

授業の最後は、学生自身が考案した商品の説明文を自動音声化する実習。事前学修で準備してきた原稿をWordに搭載された読み上げ機能で音声に変換し、わかりにくさや不自然さが軽減されるよう、最大3回まで原稿を書き換えます。そして、音声ファイルを保存したら、第11回授業でNotebookLMに生成させた画像とともに、PowerPointに挿入してもらおうと思っています。

事後学修では、どのような点に気をつけて原稿を書き直したのかを文章で振り返ります。学生たちは、句点の位置を変えてから読み上げを試したり、改行を加えてから再度音声化したりしたはずです。意味がわかるわけでもなく、呼吸をするわけでもない機械が読み上げをするとき、内部では文章を区切り順序づける処理と、それを音に変換する処理という 2つのことが行われています。第13回授業は自然言語処理と音声合成の境目に学生自身が立つ回と位置付けました。

人間が声を出して語る、そしてその声が聞こえるということそのものを不思議で豊かなことと感じる学生もいるかもしれません。授業の最後には、川原繁人氏、北山陽一氏、牧村久実氏による『絵本 うたうからだのふしぎ』(講談社、2024年)と川原繁人氏、北山陽一氏、牧村久実氏、藤井進也氏による『絵本 きこえる!うたうからだのふしぎ』(講談社、2026年)を紹介しようと思います。


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