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自分の体温を消さない働き方(2)

②訪問介護での信頼

「あなたに頼みたい」の一言

責任者を任されて、素直に嬉しかった。
それと同時にのしかかる責任と不安。
やると決めたからには、逃げないと決めた。

責任者業務を覚えるのと同時に営業活動を始めた。
営業なんてしたことがない。不安でいっぱいだった。

世間話をして終わる日々が続く。
好感触に思えても、繋がらない日々。
何度も訪問し自分を売り込んだ。

次第に、一件。また一件と依頼が増えた。嬉しかった。

一件、一件真摯に対応した。
利用者様に寄り添い、支えるご家族様にも寄り添う。
多職種との連携を怠らず、積極的に報告した。
その時々の状況にあったケアを心がけてきた。

順調に信頼を得られ始めた頃、一件のケア相談が舞い込んだ。

利用者様の名前を聞いた瞬間、衝撃を受けた。

「え、聞き間違い?」そう思った。

その方は、前に担当していた利用者様の娘様。
訪問している間も、とても良くしてくださり温かい方。
看護師としても働かれ、研修会などでの集まりでも顔を合わせていた。
とても尊敬していた方だった。

「終末期ケアをお願いしたい」

ショックだった。言葉に詰まった。
頼ってくれて嬉しい。
けど、期待に答えられなかったら。信頼を裏切ってしまったら。
そんな不安が一瞬よぎったのだ。

「あなたのところに頼みたいの」
「あなたなら、安心して任せられるから」
「〇〇さんも、あなたならお願いしたいと言ってくれてるの」

それを聞いた瞬間、
「止まってる場合じゃない。頼ってくださったなら全力で支えたい。」
ケアを受けることを決断した。

はじめは、笑顔も多く他愛もない話をたくさんした。
次第に、無理をしているような笑顔の日が増えた。
本当は苦しいはずなのに。
それでも、私にむけて「ありがとう」と言ってくださった。

その言葉が、胸に刺さった。
支えているつもりだったのに、支えられていたのは、私の方だったのかもしれない。

あの時の笑顔を、私はきっと一生忘れない。

あの経験は、私の介護感を変えたというよりも、確かなものにした。
私は、笑顔を守れる自分でいたい。

でも、守りたいものが増えるほど、組織の考えとの間に、少しずつズレを感じるようになっていった。

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