40歳になって、自分らしさを探し始めた
若い頃の私は、自分の可能性を信じていた。
努力すれば何にでもなれると思っていたし、優秀な人が勧めるものは自分にもきっと良いものだと思っていた。
だから投資も試した。不動産もやった。事業にも興味を持った。自己啓発本やビジネス書も読み、本社勤務にも挑戦した。
振り返れば、自分以外の誰かが「良い」と言うものを追いかけていた時期だったのかもしれない。
もちろん得たものは多かった。知識も経験も増えたし、自分の世界は広がった。しかし同時に、自分に向いていないものもはっきり見えるようになった。
若い頃は、それでも頑張れば乗り越えられると思っていた。
だが40歳を過ぎると考え方が変わる。
一番大きいのは体力だ。
昔は徹夜しても何とかなると思っていたことが、今は翌日に残る。新しいことを片っ端から試す気力も少しずつ減っていく。
そして、自分より若い世代の活躍を目にする機会も増える。
20代や30代前半で成果を出す人を見ると、自分には自分の強みと限界があることを嫌でも理解する。
これは諦めではない。
むしろ現実を受け入れることに近い。
私は何でもできる人間ではなかった。
誰よりも営業が得意なわけでもない。人脈づくりが上手いわけでもない。カリスマ性があるわけでもない。
その代わり、数字を見て考えることは嫌いではない。現場で改善を積み重ねることもできる。一度納得したことは長く続けられる。
40歳になってようやく、自分は何者でもないのかが分かってきた。
そして不思議なことに、自分に向いていないものを手放し始めると少し楽になる。
若い頃は可能性を増やそうとしていた。
今は違う。
可能性を広げるより、自分らしさを深めたいと思う。
遠回りだったと思う。
もっと早く気づけたかもしれない。
それでも、自分で失敗し、自分で納得し、自分でここまで来たからこそ分かることもある。
40歳を過ぎてからの人生は、新しい自分になるためではなく、本来の自分に近づくための時間なのかもしれない。
