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シャーロック・ホームズ 制作の原点

出会ったのは、社会人になってから。もう10年以上も前のことです。
もともとミステリー小説が好きで、さまざまな作品に触れてきましたが、その中でも強く心に残ったのが、ボヘミア王の醜聞でした。

アーサー・コナン・ドイルが描くこの物語の中で、特に惹かれたのは、ホームズが変装してアイリーン・アドラーの家に運び込まれる場面です。
計算し尽くされた鮮やかなシナリオ。読者を一気に引き込む展開。
その巧みさに驚かされると同時に、「文字だけで、ここまでわくわくするシーンが描けるのか」と強く感動しました。

ページをめくる手が止まらない、あの感覚。
そして、頭の中ではすでに、声や物音、空気のざわめきのようなものが自然と立ち上がっていました。

そのときふと、この物語を“音”として再現したい、と思ったのです。

ただ朗読するだけではなく、もっと立体的に。
例えば、エキストラのざわめきを加えることで場面に奥行きを持たせる。
テンポのよいジャズをBGMに採用して、緊張感とスピード感を演出する。
そうして、逼迫した雰囲気を保ちながらも、リスナーを退屈させない構成を考えていく。

その時間は、驚くほど楽しいものでした。

おそらく自分は、「物語をなぞる」ことではなく、「体験として再構築する」ことに魅力を感じていたのだと思います。
音だけだからこそ、聞き手の想像力に委ねられる余白がある。
その余白の中で、物語がもう一度生まれ直すような感覚。

だからこそ、自主制作という形でも、オーディオドラマを作りたいと思った。
それが、自分の制作の始まりでした。

今も作品を作るたびに、あのとき感じた高揚を思い出します。
すべての出発点は、あの一編にあるのだと。

2022年制作したこちらのオーディオドラマは下記のURL先で、ご視聴可能です。よろしければ、1880年代のロンドンへ、ホームズたちと一緒に冒険にでかけてみませんか?


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