ことばノマド#10 猫が先か舌が先か
猫舌である。
年始には手伝いにきている巫女といっしょに昼食をとることが多いのだが、今年もたびたび笑われた。
炊きたてでアツアツの飯は、息を吹きかけなければ食えない。
そこで、勢いよく吹く。
誕生日のケーキにぶっ刺さった、ウン十本のローソクについた火でも一気に消せるくらいに。
それがおもしろいというのだから、若い娘の笑いのハードルは低い。
そのため毎年この時期、私のギャグセンスがいちじるしく低下するのだが、彼女たちが空気を読んで笑っているという疑惑も濃厚だ。
猫舌をフランス語にすればラングドシャとなる。
だが、こうするとお菓子になってしまい、熱いものが苦手という意味はまったくない。
英語ではキャットタン、キャットタンクッキーと言うらしい。
ドイツ語ではカッツェンツンゲン。
英独とも猫、舌の語順である。
ところがアラビア語ではリサーンアルキタ、リサーンは「舌」、アルは冠詞、キタが「猫」だから、フランス語と同じ語順。
猫が先か、舌が先か、それが問題だ。
だが、いくらこんなことを考えても、私の舌が熱いものに耐えられるようにはならない。
それが一番の問題だろう。
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